消費財は定期購入型へ — データ時代の最適なビジネス手法

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Image by Jaro Larnos

<ピックアップ記事>The Future for Consumer Goods in the Data Economy

私達は数多くのものをコンビニやスーパーで買い、消費しています。そんな個人や家庭で使われることを目的として生産されるものを消費財と呼びます。そんな消費財が、最近のデータ社会でどのように提供されるべきかということに関しての記事を見つけたのでピックアップしようと思います。

ソーシャルメディアを使ったマーケティング手法や、Eコマースを通じた販売が盛り上がりをみせる時代、ウェブから取得できる顧客データの重要性が叫ばれていますが、消費財は未だにデータ経済に馴染めずにいます。例えばCoca-Cola社のように、積極的にソーシャルメディアを利用したプロモーションを仕掛けているような企業でも、まだまだ小売店との結びつきが強いからです。

消費財を製造しているブランドは、小売店を通して顧客に商品を届けます。そのため小売店が顧客データを収集、握っているのが現状です。たとえ顧客データがブランド側に渡ったとしても、小売店との関係が続いているために、データ活用したEコマース化など、大胆な直販ビジネスへの路線変更は難しいと記事では指摘していました。

例えばP&GがAmazonと提携し、定期購入型サービスであるAmazon Momをアメリカ国内で始めたケースでは、大手小売業者の1つであるTargetが、自社内におけるP&G社の製品の位置付けをダウングレードしたという例があるそうです。

逆に言えば、スタートアップにとっては市場に切り込めるチャンス。実際、こちらのレポートにある通り、ソーシャルメディアを通じた販売市場は、2015年度で300億ドルになり、2010年から毎年50%程度の市場成長率を記録。市場規模、市場環境から見てもスタートアップにとっては魅力的かと考えられます。

顧客データを収集、解析して効果的にターゲットに商品を届けるのが昨今のトレンドです。この流れに対応するために、記事では消費財ブランドは定期購入型サービスへシフトすることを勧めていました。

最後に私が調べた定期購入型のスタートアップ事例を3つ挙げておきます。

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1つ目はBlue Apron。Blue Apronは週に一度食材とレシピを送ってくれるフードスタートアップです。すでに調理済みの料理を届けてくるSpoonRocketMuncheryと違い、顧客が食材を受け取って調理しなければいけないという手間が発生するにも関わらず人気であるのが興味深いですね。2012年にニューヨークで創業され、現在シリーズC。5800万ドルの資金を調達しています。

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2つ目がDollar Shave Club。Dollar Shave Clubは月に一度シェーバーと、髭剃りに必要なジェルなどを届けてくれるというサービスを提供しています。ピックアップ記事にもありましたが、現在では70万の定期購入者がいるとのこと。2012年ロサンゼルス創業、シリーズCラウンドで7200万ドルを調達しています。

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3つ目は消費財とは少し違いますが面白いスタートアップ、BarkBoxです。BarkBoxはドッグ製品に特化した定期購入型サービスを提供しています。まず自分の飼っている犬の大きさを指定、その後定期購入期間を指定すれば、毎月ドック関連製品が自宅に届くというものです。BarkBoxはニューヨークを拠点としており、現在シリーズB、これまでに2100万ドルの資金調達に成功しています。BarkBox以外に、犬に関する情報を届けてくれるBarkPostや、犬専用カメラアプリであるBarkCamも提供しています。

前述したように、大手消費財はブランドは、小売店との関係上、非常にビジネス的に動きづらい立場にあるようです。ここまで説明してきた市場環境や、データ時代の到来、そしてスタートアップのケースを考慮した上でも、まだまだ定期購入型の消費財スタートアップが登場してもおかしくないでしょう。今後は大手がどのように動き出すかも含めて注目される市場です。

Via WIRED

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