橋下氏「やっぱり間違っていたということ」

橋下徹氏(以下、橋下):大阪市民のみなさん、重要な意思表示をしていただきましてありがとうございます。大変重く受け止めます。僕が提案した大阪都構想、市民のみなさまに受け入れられなかったということで、やっぱり間違ってたということになるのでしょうね。

本当によくいろいろなことを考えていただいて、かなり悩まれたと思いますし、非常に重い重い判断をされたと思いますけども。日本の民主主義を相当レベルアップしたかと思います。大阪市民のみなさんがおそらく全国で一番政治や行政に精通されている市民ではないかと思っています。

またこれだけ多くの税金を投入してこの大阪都構想をずっと進めてきたわけです。大都市局、大阪市の職員、大都市局という職員も幹部はかれこれ5年以上、僕に付き合ってくれているわけです。大都市局以外にも関係各局の職員、相当なエネルギーを割いて、ここまで付き合ってくれました。

橋下:最後こういう結論になりましたけど、これはちょっとあまりにも納税者のみなさんに対して失礼な言い方かもわかりませんが、本当に政治家冥利に尽きるいろいろな活動をやらさせてもらいまして、本当にありがたく思っています。

税金を使っているということに関してですね、その点、お詫びといいますか、感謝といいますか、そういう思いも持ちながら、本当にありがとうございましたということを市民のみなさんに言いたいです。

司会:続きまして、松井幹事長よりコメントを述べさせていただいます。

松井一郎氏(以下、松井):大阪市民の皆さん、この悩ましい問題に対して二者択一のご判断を求めました。それぞれが悩まれて判断された結果だと思います。

この結果を真摯に受け止めて、次の時代に賛成・反対双方に問題があるというところが出たわけですから、任期の間はさまざまな問題解決のために働きたいと思ってます。

本当に大阪府庁でも多くの職員が都構想に向けてさまざまな努力をしてくれました。すごくストレスもあったでしょうし、マンパワーを割いていた部分、支えてくれた皆にお礼を言いたいと思います。

本当にありがとうございます。

こういう結果を受けて、究極の民主主義で決まりましたから、しっかりと残りの任期を働いていきたいと思います。

司会:それでは質問のある方、挙手をお願いします。

橋下氏が引退宣言「政治家はやりません。弁護士やりますから」

記者:負けてしまった原因は何だと分析していらっしゃいますか。

橋下:いやーこれは僕自身に対する批判もあるだろうし、やっぱりその僕自身の力不足ということになると思いますね。

記者:これまで仰っていた、任期満了で退くというお気持ちは変わりはないでしょうか。

橋下:ええ、市長任期まではやりますけども、それ以降は政治家はやりません。これはもう前から言っていたことです。

記者:政治家は、ということは市長だけではなくて、その先政治の世界は一切(やらない)ということでしょうか。

橋下:弁護士やりますから、維新の党の法律顧問で雇ってもらえないだろうかとさっき江田代表に言いましたけどもね。法律顧問料とりますよと。でもあの、明確な返答はいただいておりません。

記者:これから任期満了までの半年はどのような市政を運営していきたいと思っていらっしゃいますか。

橋下:まずは自民党、民主党、公明党、共産党のみなさんに、こういう結論がでましたので、ぜひ話し合いをさせてくださいと、いうことをお願いしたいと思います。いまいろいろな課題、なかなか議会で進んでいないところありますけど、出来る限り任期満了までに進めるものは進めていきたいと。

自民党、民主党、公明党ですかね、新しい改正自治法で「総合区」という制度を使って、もっとこの住民のみなさんに身近な行政を行うために提案がありましたから、そういうことについても、維新の会の市議団のみなさんとも議会で議論してもらってですね、少しでも前に進めればいいと思っています。

記者:最後に結果とは裏腹に笑顔のように見えるんですが、そのお気持ちは。あらためてお聞かせください。

橋下氏「政治家として悔いはない。本当に幸せな7年半」

橋下:いやーもう7年半。もう本当に自分なりにやれるところはやったつもりです。もう相当。38歳からやってきて無理してきたところもあるでしょうしね。あのもともと自分のことで生きてきた人間がちょっと公な仕事でお返ししないというところで政治の世界に入りましたけども。

有権者のみなさんからすれば「お前、橋下おかしいじゃないか。とんでもないことやりすぎじゃないか」というところもあるでしょうけど、自分なりにはもう本当に悔いのない政治家としての7年半。

あと半年ありますけど、思う存分やらせてもらいましたし、今日もこういう舞台で、こういう住民投票の結果で辞めさせてもらうと言わせてもらうなんて、本当に納税者のみなさんには申し訳ないですけど、大変ありがたい、本当に幸せな7年半だったなと思います。

記者:ありがとうございます。お疲れ様でした。

「叩きつぶす」と言って、こちらが叩きつぶされた

記者:読売テレビのノムラです。やはり注目度の高い部分なので、改めてお聞きします。自身の進退についてですが、70万人の方が賛成であったということ、そしてまだまだ大阪のために頑張ってほしいという気持ちで投票された方がこれだけいたっていうことだと思うんですけど、それを見ても投票前におしゃっていたことと、気持ちの変化とかはどうですか?

橋下:いや、ないですよ。それはもう政治ですから。負けは負けです。ここは公務員とは違うところです。政治家ですから。

昨日の街頭演説では、完全に戦をしかけて「叩きつぶす」と言って、こちらが叩きつぶされたわけですから。本当にこの民主主義っていうのはすごいなと。メディアのみなさんもふくめてこれだけ多くのみなさんが、徹底的に議論して、僕もメディアから言われたら言い返したりしてやってきましたけれども。

ここまでいろいろ議論をやって、賛成・反対の意見を徹底して、いろんなところでやり合いながら住民のみなさんも議論して結論を出したと。

民主主義はすばらしい政治体制だなって思います

まあこれだけのたいそうなケンカを仕掛けてですね、負けたのに命取られないっていう、本当に日本はすばらしい政治体制だなって思いますね。

僕はまたこのまま生きて、別の人生を歩めるわけですから、この民主主義っていうルールは是が非でも守らないといけないですね。そのためにはやっぱり報道ですよ。

メディアのみなさん、本当に報道の自由は絶対に必要で、僕もやいのやいのメディアには言っているけど、この報道の自由っていうのが、民主主義を支える根幹ですから。メディアのみなさんにも頑張ってもらいたいし、本当に民主主義はすばらしい政治体制だなって思いますね。

嫌われる政治家はもう必要ない

記者:そうは言われても、過去に自身の進退に関する発言をくつがえされたこともあるわけで、くつがえしてほしいと思っている有権者の方もいらっしゃると思うんですが。

橋下:いないです、いないですよ。

記者:100%ないですか?

橋下:またここで20,000%って言わせたいんですか?(笑)あの時はメディアのみなさんご存知の通り、僕が番組の収録をかかえていて、もう放送用のビデオというか、番組が組まれていたので、どうしても出ないというふうに言わないと放送ができなかったんで、ああいう言い方をしましたけれども。今はそういうなにか制約がありませんから。ここでウソをつく必要もないので。これはもう、政治家は僕の人生からは終了です。

記者:最後にもうひとつだけ聞かせてほしいのが、とはいえ12月まで市長は続けられます。12月に大阪の情勢や、日本の情勢が今とは劇的に変わっている可能性があります。その時点で変わっている可能性がないとは言い切れませんし、また将来、例えば10年後、20年後、もう一度政治家にっていう可能性は期待していいんでしょうか?

橋下:ないですよ!そんなの。まずひとつは、やっぱり住民のみなさんの気持ちを汲む。負けるんだったら住民投票をしかけるべきじゃない。まず、その判断が間違ってる。住民のみなさんの考えを汲み取れてなかった、これは政治家としての能力が一番欠けているところです。だから運転能力のない者がハンドルは握っちゃいけないわけで、それがまずひとつですね。

もうひとつは、僕みたいな政治家は、ワンポイントリリーフです。要は「嫌われてもかまへん!」と。嫌われてもやることをやるんだっていう政治家は、課題が出てきた時にそこを解決する。僕はある意味、実務家だと思っていて、政治家っていうのは原理原則上は嫌われちゃいけないわけでね、民主主義である以上は。

ですから、僕みたいな政治家が長くやる世の中は危険です。みんなから好かれる、敵がいない政治家が本来政治をやらなきゃいけないわけで、敵を作る政治家は本当にワンポイントリリーフで、求められている時期にだけ必要とされて、いらなくなれば交代と。

権力なんてものは使い捨てが一番いいんですよ。それがもう健全な民主主義です。僕みたいな敵を作る政治家が、ずっと長く政治をやるなんていうのは世の中にとって害悪です。

だから、求められる時に求められて、いらなくなれば使い捨てにされる。これはもう、一番健全な民主主義だと思いますけれどね。でも8年間僕みたいなスタイルでやらせてもらっているんですから、ある意味日本の世の中というか、大阪もちょっと問題かかえてたのかもしれませんよ(笑)。

まあでも、8年前は僕みたいな政治家が必要だったのかもわかりません。でも今はそうではないということなので、きっちりと好かれる、嫌われない政治家が政治をやるべきだと思います。