米Amazon.comが、欧州における売上高を各国で計上するよう事業構造を見直したと、複数の海外メディア(英Guardian英Financial Times米Wall Street Journal米New York Timesなど)が報じた。英国、ドイツ、イタリア、スペインで現地時間2015年5月1日より、税慣行の変更を実施したという。

 Amazon.comは今後、欧州の一部の国で納税額が増える可能性がある。

 Amazon.comはこれまで、欧州での売り上げをルクセンブルクにある同社子会社で計上していた。しかし多国籍企業が法人税率の低いルクセンブルクやアイルランドに拠点を作り、そこで欧州での収益を処理する節税対策は近年非難の的になっており、「違法な優遇措置を受けている」として、欧州連合(EU)の欧州委員会(EC)がAmazon.comを調査していた(関連記事:多国籍企業の租税回避問題、欧州委がAmazon.comも調査対象に)。Amazon.comのほか米Google、米Apple、米Starbucksなども調査対象となっている(関連記事:アイルランドはAppleを違法に優遇、租税回避問題で欧州委の見解)。

 欧州の多くの国では、こうした多国籍企業の租税回避を阻止しようと、「Google Tax(Google税)」と呼ばれる課税措置の導入が実施・検討されている。英国では、今年4月から税率25%のGoogle税「Diverted Profits Tax」が施行された。George Osborne英財務大臣はAmazon.comの税慣行の変更について「心から歓迎する」と述べている。