欧州委、アマゾン調査 電子書籍巡り独禁法違反の疑い
【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)の欧州委員会は11日、EU競争法(独占禁止法)違反の疑いがあるとして、米アマゾン・ドット・コムに対する調査を始めたと発表した。電子書籍の販売を巡って出版社と結んだ契約内容が、競争を損ねている恐れがあるとみている。アマゾンが競合他社を市場から締め出す目的で優越的な地位を乱用していないかどうかを調べる。
欧州委が問題視しているのが、アマゾンが出版社と結ぶ契約に盛り込まれた条項だ。(1)競合相手に有利な条件を提供する場合にはアマゾンに知らせる(2)競合相手と最低でも同条件を適用する――ことなどを求めているという。欧州委はこうした条項によって、競合他社が新たな商品やサービスでアマゾンと競争することが困難になっている恐れがあるとみている。
欧州委で競争政策を担うベステアー欧州委員は11日の発表文で、「アマゾンの出版社との取り決めが、サービスの刷新や競争を妨げ、消費者に害を与えていないかどうかをはっきりさせたい」と調査の狙いを語った。
欧州はここにきて、米国のインターネット大手への強硬姿勢を目立たせている。4月中旬には米グーグルがインターネット検索サービスを巡ってEU競争法に違反した疑いがあると警告。欧州のネット検索市場で支配的な地位を乱用している恐れがあると指摘した。EU競争法に基づく、欧州域内でのネット取引全体を対象にした大規模な調査も4月から進めている。
アマゾンは税制面からも欧州委の調査を受けている。2014年10月には加盟国のルクセンブルクが同社に適用してきた法人税の優遇策が欧州委の規定に違反する疑いがあるとして、調査を開始したと欧州委が公表。違法な「税逃れ」をしていないかどうかを調べている。
欧州のネット市場は米大手が席巻しており、米大手へのけん制強化の姿勢がにじんでいる。