金融ITの分野で、お金にまつわるさまざまなサービスを生み出し、注目を集めている「FinTech」。その概要を4つのビジネス分野に整理しながら解説します。
カップめんを待つ間に、電車の待ち時間に、歯磨きしている間に“いまさら聞けない”ITトレンドが分かっちゃう! 今さら聞けないITの最新トレンドやビジネス戦略を、体系的に整理して分かりやすく解説する連載です。「この用語、案外、分かっているようで分かっていないかも」「IT用語を現場の社員にもっと分かりやすく説明できるようになりたい」――。情シスの皆さんのこんな課題を解決します。
テクノロジーを武器に、ITベンチャーが新しい金融サービスを続々と登場させています。FinTechと呼ばれる新たなサービス分野は、銀行やカード会社といった金融機関がこれまで手を出してこなかったビジネス分野を開拓しようとしています。また、融資や決済といった銀行の基幹業務、さらには通貨制度といった既存の金融システムの根幹を揺さぶる可能性もあります。
FinTechとは、Finance(金融)とTechnology(技術)を融合した造語ですが、この分野にスタートアップ企業が続々と登場し、それを後押しするように、ベンチャーキャピタルや既存の金融機関などからの投資が年々増大しています。
FinTech企業は、資金の「調達」「流通」「活用」と、この仕組みを支える「基盤」の4つのビジネス分野に区分することができそうです。
融資を受けたい人や企業と、投資したい人や企業をマッチングさせるサービスです。ソーシャルレンディング(Social Lending)と呼ばれています。不特定多数の人がインターネット経由で他の人々や組織に資金提供や寄付などの協力を求めるクラウドファンディング(crowd[群衆]funding[資金調達])もここに含まれます。
例えば海外では、イギリスの「Zopa」、米国の「Prosper」「Lending Club」「Kabbage」「OnDeck」などがあります。また我が国では、「maneo」「Crowdcredit」「SBIソーシャルレンディング」「ラッキーバンク」などがあります。また、自社や関連会社のECサイトで商品を販売する企業に対して、その取引状況から与信を分析・評価して融資する「楽天スーパービジネスローン」「Amazonレイディング」「GMOイプシロントランザクションレンディング」「JNB(ジャパンネット銀行)ストアローン」などがあります。
決済機能を提供するサービスです。スマートフォンをクレジットカードの決済端末にするモバイル決済や決済代行などがあります。審査スピードの短さや手数料の安さ、決済機能のECサイトへの組み込みの手軽さなどを武器に大手のカード会社や決済代行会社のビジネスを脅かす存在になりつつあります。
米国の「PayPal」「Stripe」「Square」「Braintree」、さらに後ほど紹介する暗号通貨での決済を可能にする「Coinbase」などがあります。我が国では「WebPay」「Coiney」「SPIKE」などがあります。
送金を代行してくれるサービスです。例えばイギリスの「Paym」は、携帯電話番号だけで個人間送金ができるサービスを提供しています。また、SNSによる個人間送金サービスも登場しています。中国のWeChatが運営する「WeChat Payment」、日本のLINEが運営する「LINE Pay」、さらに楽天銀行がFacebookの友達へ送金できるサービスを提供しています。
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