ANAは今期営業最高益予想、JAL減収減益見込み
[東京 30日 ロイター] - 航空大手2社が30日、2016年3月期(今期)の連結業績予想を発表した。
ANAホールディングス(ANA)<9202.T>は1月に公表した中期経営計画での予想数値を上方修正、営業利益は3年ぶりに過去最高を更新する見込み。日本航空(JAL)<9201.T>は2月に公表した中期経営計画での見通しを据え置き、減収減益を見込んでいる。
今期の営業利益予想は、ANAが前期比25.6%増の1150億円で、これまでの最高だった13年3月期の1038億円を上回る。トムソン・ロイターのスターマイン調査によると、アナリスト16人の予測平均値1128億円で、会社予想はほぼ同水準となった。
JALは同4.3%減の1720億円を計画しており、アナリスト18人の予測平均値1904億円を下回った。
<ANA、今期も1円増配>
同時に発表した15年3月期(前期)連結決算では、ANAは営業利益が前の期に比べ38.7%増の915億円となった。昨年3月の羽田空港の国際線発着枠拡大に伴い、同社は11便の発着枠を獲得し、首都圏のビジネス需要や訪日外国人の増加が寄与した。売上高は同9.1%増の1兆7135億円、純利益は特別利益の計上もあって約2倍の392億円だった。
国際線が好調だった前期実績を反映し、今期業績予想の数値を増額。中計で掲げた従来予想に対し、売上高で100億円、営業利益で50億円、純利益で70億円それぞれ上積みした。今期売上高は同4.5%増の1兆7900億円と2年連続で過去最高を更新し、純利益は32.5%増の520億円を見込む。
平子裕志上席執行役員は会見で、今期予想について、前期の成果を踏まえて「コスト改革が十分にやれるという自信がついている」と説明。中国などで景気減速はみられるものの、米国やアジアなどの経済は比較的堅調だとして「国際線の収入は強気にみている」とし、「円安が続けば、訪日需要はますます旺盛になるのでは」との見方を示した。
前期の年間配当は前の期から1円増配の4円を実施。今期も前期から1円増配の5円とする方針だ。5円の実施は2008年3月期以来。平子氏は「もう少し純利益が積み上がってきたら、大きな配当をめざせる」と述べた。
<JAL社長「今期、増収増益めざす」>
JALの今期業績予想は従来予想通りで、営業利益が前期比4.3%減の1720億円、売上高が同1.2%減の1兆3280億円、純利益は3.4%減の1440億円。今期の年間配当は未定。燃油価格の下落に伴い燃油サーチャージが下がり減収、燃料調達コスト増など円安による費用拡大などで減益を見込む。
会見した植木義晴社長は、足元の予約状況を受け、国内・国際線ともに「需要は強い」と指摘。今期予想は減収減益だが、「増収増益をなんとかめざしたい」との意向を示した。同社はまた、配当性向を従来の20%から25%に引き上げる方針を打ち出しているが、「今後もフリー・キャッシュフローの状況をみながら株主還元の充実を考えていきたい」と述べた。
羽田の国際線発着枠の配分が5便だったJALも、訪日外国人の増加などにより、前期の営業利益は前の期に比べ7.7%増の1797億円、売上高は同2.7%増の1兆3447億円、税効果会計の影響などがあった純利益は同10.3%減の1490億円だった。
前期の年間配当は従来予想の97円から7円増やし、104円とした。前の期は160円だったが、昨年10月に実施した1株を2株とする株式分割を考慮すると80円で、実質的に増配となる。
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白木真紀 編集:内田慎一
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