ソニーがロボット復活か、米AI企業に出資 来年にも製品化

ソニーがロボット復活か、米AI企業に出資 来年にも製品化
 5月17日、ソニーはAIの開発と事業化を本格的に強化する方針だ。写真はソニーが2006年に撤退を決めたヒト型ロボット「QRIO(キュリオ)」。2005年12月撮影。(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)
[東京 18日 ロイター] - ソニー<6758.T>は人工知能(AI)の開発と事業化を本格的に強化する方針だ。第一弾として米AI専門企業コジタイ社(カリフォルニア州)に出資(金額は非公表)。共同開発を通じてAIを駆使した製品やサービスを、早ければ来年にも投入する。
具体的にどのような製品かは明らかではないが、ソニーがかつて手掛けていたロボットを復活させる可能性もありそうだ。
ソニーグループでAI関連の研究開発を統括するソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)の北野宏明社長と、ソニーが開発、販売していた犬型ロボット「AIBO(アイボ)」を手掛けた藤田雅博氏(中長期事業開発室チーフテクノロジーエンジニア)がロイターに明らかにした。
コジタイ社は昨年9月、AI分野の主要テーマである「継続学習」が専門のマーク・リング博士ら3人が設立。先週、ソニーが出資を完了した。共同開発の成果としての製品やサービスの投入時期は1─3年後を想定している。
ソニーCSLの北野社長は「好奇心を持った人工知能」がテーマの一つになる見込みだと述べた。「これから具体的なプロジェクトに関して議論してこれを早急に詰めて進めていく」(北野氏)としている。
<AI事業化、ハードウェアを意識>
現在、第3次とされるAIブームが到来。先日、世界トップ棋士を破ったAI「アルファ碁」を開発したディープマインド社を傘下に持つグーグルや、人気クイズ番組の王者を破った「ワトソン」を開発したIBMをはじめ米国企業が優勢と見る向きが根強い。
北野氏は、インターネットなどサイバー空間でのAI技術の進化を主導する米企業に対し、ソニーが「追いつかない部分がある」と認めながらも、「我々はCE(コンシューマー・エレクトロニクス)機器をたくさん持つ。家庭など『物理空間』から(AIを)展開することは非常に面白い」と述べ、ソニーの本業であるCE機器を足掛かりにAI関連事業を広げていく考えを示唆した。
<AIBOとQRIO、復活なるか>
その場合の製品やサービスのイメージについて北野氏は「計画はあるが答えられない」とした。AIをソニーの成長分野とするとの社内での合意の有無について同氏は、「平井(一夫社長)、吉田(憲一郎副社長)からもこれで突っ走るとエンドース(承認)されている」と強調。コジタイ社への投資は「ファースト・ステップ」(北野氏)として、第二弾、第三弾の展開が今後あることを示唆した。
ソニーは2006年、15万台の販売実績があったAIBOと開発中だったヒト型ロボット「QRIO(キュリオ)」から撤退。ブーム再来でAIと親和性の高いロボットにソニーが再参入する期待も高まりそうだが、北野氏、藤田氏ともに明言はしなかった。
AIBOやQRIOの開発を手掛けた藤田氏は、「感動や好奇心を引き出せる商品にしていく。単に役に立つというだけの機能ではない何かだ」と述べた。
*内容を追加します。

浜田健太郎、山崎牧子

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