アリババ、中国小売り2位に出資 約5700億円
ネット・実店舗融合 第2位株主に
【上海=土居倫之】中国の電子商取引最大手、アリババ集団が同国小売り2位の蘇寧雲商集団に2割出資する。蘇寧が実施する増資の大半をアリババが283億元(約5700億円)で引き受け、第2位株主となる。アリババのネット通販サイトと蘇寧の実店舗を組み合わせたサービスを展開し、消費者の囲い込みを急ぐ。
蘇寧が10日増資計画を発表した。増資後のアリババの持ち株比率は董事長の張近東氏(24.29%)に次ぐ19.99%となる。蘇寧もアリババに140億元出資し、1.09%の株式を取得する。
蘇寧は「ネットと実店舗を融合することで物流やアフターサービスなどの面で顧客へのサービスを強化することが可能になる」と説明。増資で調達する資金は新店舗のほか、物流施設の建設などに充てる。アリババの馬雲(ジャック・マー)会長も10日「新しいビジネスモデルが今後の社会経済のインフラとなる」とのコメントを発表した。
ネット通販サイトの普及で、中国では店頭で商品を確かめた上で、より値段が安いネット通販サイトで商品を購入する消費者が増えている。蘇寧は2013年6月からネット通販サイトと店頭での商品価格を同一にするなど、ネットと実店舗の融合を進めてきた。ただ、14年の純利益は12年の約3割の水準に落ち込むなど苦戦していた。
一方のアリババも、商品配送やアフターサービスの窓口としての店舗活用策をかねて探っていた。ネット通販大手の京東集団などとの競争も激しくなっており、中国全土に店舗・配送網を持つ蘇寧との提携でサービスの差異化を進める考えだ。
中国チェーンストア経営協会の4月の発表によると、14年の中国の小売売上高トップは家電量販大手の国美電器で蘇寧は2位だった。蘇寧は日本で免税店などを展開するラオックスの親会社。