米アップル、iPhoneでの広告ブロック容認 グーグルに打撃

米アップル、iPhoneでの広告ブロック容認 グーグルに打撃
 9月15日、米アップル、iPhoneでの広告ブロック容認はグーグルに打撃となることも。写真は9月にサンフランシスコで発表された6Sと6SPlus(2015年 ロイター/Beck Diefenbach)
[パリ 15日 ロイター] - 米アップルがスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で広告ブロックソフトウエアを手に入れられるようにすることは、「アプリ経済(スマートフォンがもたらした新たなビジネス領域)」の健全性を高めるとともに、グーグルに打撃を与えそうだ。
16日に提供されるiPhoneの新たな基本ソフト(OS)では、ウェブ閲覧ソフト(ブラウザー)「サファリ」の利用時に広告をブロックしてくれる第三者のソフトウエアをダウンロードすることが初めて可能となる。このため、週内にはiPhone向けの広告ブロックアプリが多数提供される見通しだ。
広告ブロックソフトウエアはデスクトップコンピューターでは急速に広まっているが、モバイル機器ではめずらしい。広告ブロックの採用が広まれば、ただでさえ広告価格の下落に悩む多数のオンラインメディアにとって新たな頭痛の種となりそうだ。
こうした懸念に対応し、アップルは「News(ニュース)」と呼ばれる新たなアプリも16日に提供する。同アプリでメディア企業はブロック機能を回避して広告を掲載したり、アップルに広告を販売させて収入をシェアしたりすることが可能となる。
グーグルはアップルが広告ブロックの潮流をつくり出し、自社の検索連動型広告だけでなく、ダブルクリック部門を通じてメディアに提供しているバナー広告が当たり前のようにブロックされれば、打撃を受けそうだ。
アップルはアイフォーンで広告ブロックを容認した理由を公に説明していない。しかし、クック最高経営責任者(CEO)は6月、インターネット企業は広告収入を積み上げるために人々のプライバシーを侵害していると非難していた。
広告がブロックされれば、モバイル機器上でウェブページが表示されるスピードも格段に速まることになる。
調査会社アップ・アニーのダニエル・レビタス氏は「アップルはモバイル機器上で消費者により良い体験をもたらしたいのだろう。スマートフォンでの広告は多くが実にわずらわしいからだ」と指摘。「競合他社に与える打撃は大きそうだ」と述べた。

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