サッポロ、「極ZERO」を発泡酒へ 異例の規格見直し

サッポロ、「極ZERO」を発泡酒へ 異例の規格見直し 
 6月4日、サッポロホールディングスは第3のビール「極ZERO」について、5月下旬製造分で販売を終了すると発表した。発売開始後の規格見直しは異例。写真は2009年1月、東京のサッポロホールディングスの広告(2014年 ロイター)
[東京 4日 ロイター] - サッポロホールディングス<2501.T>は4日、第3のビール「極ZERO」について、5月下旬製造分で販売を終了すると発表した。一部製造方法を見直し、7月15日からは発泡酒として改めて発売を開始する。発売開始後に規格を見直すことは異例。
国税当局から税率適用区分に関連して製造方法に関する情報提供要請が行われたことから、現在、税率適用区分に関する検証を行っているが、第3のビールに該当しないことになれば、酒税116億円の追加納付が必要になる。
国税庁から今年1月に製造方法に関するデータの照会を受けたという。これを受け、自社でも検証作業を進めているという。
サッポロでは、現時点でも、第3のビールにあたるという認識は変えていないが、検証作業の結果、第3のビールに該当しないことになれば、差額分の酒税の納付が必要となる。すでに販売した分と在庫から試算すると、116億円と見込まれる。
「極ZERO」は、「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」を実現した機能性商品。昨年6月の発売開始以来今年の5月末まで613万ケース(1ケースは大瓶20本)を販売するなど、好調な売れ行きを示していた。2014年は550万ケースを計画。5月末製造分までで280万ケースとやや上振れて推移していたため、今回の規格見直しの影響を加味しても、年初計画は変更しない。
検証作業の結果、第3のビールに該当しないこととなれば各方面に影響が及ぶことから、現行の「極ZERO」は5月製造分で販売を打ち切ることを決めた。製法を一部見直した上、酒税の税率が新ジャンルより高い「発泡酒」として7月15日から改めて発売する。販売価格は350ミリリットル缶で20―30円の価格上昇になるという。
サッポロビールの尾賀真城社長は会見で「製造方法全般について、検証しているが、現時点で事実確認はできていない。検証の結果、第3のビールに該当しない場合、多くの消費者に迷惑がかかるので自主的な判断で発泡酒に変更する」と述べた。
酒税については、第3のビールのほうが発泡酒より税率が低い。発泡酒(麦芽比率25%未満)は350ミリリットル缶あたり47円に対し、現行の「極ZERO」の区分である新ジャンルは28円となっている。

浦中大我 清水律子 編集:吉瀬邦彦

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