LINE、年内上場見送り 「最適な時期ではない」
無料対話アプリのLINE(東京・渋谷)は22日、日本と米国で準備を進めていた株式上場を年内は見送ると明らかにした。7月までに東京証券取引所と米証券取引委員会(SEC)に上場申請書類を提出し、今秋の上場を目指していた。年内は上場しない理由について同社は「新規株式公開(IPO)に最適な時期ではない」としている。
LINEは世界で約5億人が利用するが、米フェイスブック傘下の「ワッツアップ」や中国のネット大手、騰訊控股(テンセント)が手掛ける「微信(ウィーチャット)」などの類似アプリと競争が激しくなっている。米国上場で海外の知名度を高め、調達した資金で利用者の獲得を一気に進める戦略を描く。
上場すれば時価総額は1兆円を超え、今年の国内のIPOでは10月に予定されるリクルートホールディングスと並び最大規模になるとみられていた。
LINEは日米に同時上場するか、どちらか一方に上場するか決めておらず、韓国の親会社のネイバーと検討していた。ネイバー内で意見が割れており、決定を先送りしたもようだ。
また、米連邦準備理事会(FRB)が7月にイエレン議長の米議会証言に合わせて提出したリポートで交流サイト(SNS)の株価の割高感を指摘。LINEが中国で利用できなくなっていることなども、年内の上場を見送る背景になったようだ。
LINEは上場申請を取り下げてはいない。株式上場を断念したわけでなく、「最適なタイミングで実施する」(同社)としている。