はやぶさ2が完成 小惑星へのピンポイント着陸で「月や火星探査にもフィードバック」【画像集】

日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が完成し、8月31日、報道陣に公開された。多くのトラブルに見舞われながらも、2010年に小惑星イトカワから岩石の微粒子を持ち帰った「はやぶさ」の後継機だ。
Kenji Ando

日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が完成し、8月31日、報道陣に公開された。多くのトラブルに見舞われながらも、2010年に小惑星イトカワから岩石の微粒子を持ち帰った「はやぶさ」の後継機だ。

「はやぶさ2」の目的は、小惑星「1999JU3」からサンプルを持ち帰ること。2014年冬に種子島からH-IIAロケットで打ち上げられ、2018年に小惑星に到達。地球に戻ってくるのは2020年になる見込みだ。往復6年かけて52億キロの旅路に挑む。

小惑星のサンプルを分析することで、太陽系や生命がどのように誕生して進化してきたか。その謎の解明に迫るという。

「はやぶさ2」機体公開

■「どんなことがあっても、へこたれない」

機体が公開されたのは、「はやぶさ2」が組み立てられた神奈川県相模原市内の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の施設だ。

公開にさきがけて記者会見した「はやぶさ2」の國中均(くになか・ひとし)プロジェクトマネージャーは、「ここまで決して簡単ではなかったが、宇宙の現場も決して甘い物ではないと思います。どんなことがあってもへこたれないように、プロジェクトチーム一同、新たな航海を目指したい」と意気込みを見せた。

その上で、「はやぶさ2」の大きな特徴としてピンポイント着陸する技術を挙げて次のように話した。

「はやぶさ1の『降りれられるところに降りる』から、はやぶさ2は『降りたいところに降りる』。狙ったところにピンポイントで降りる技術にチャレンジします。はやぶさ2の後、我々は月や火星へのピンポイント着陸を目指しています。それに向けて、はやぶさ2の技術はフィードバックされるはずです。国際宇宙探査を日本が取り組む上で、大変重要な試金石になると考えております」

「はやぶさ2」のイメージ図

■小惑星「1999 JU3」をターゲットに選んだ理由とは

「はやぶさ2」が、無数にある小惑星の中から「1999 JU3」を目指すのは有機物や水を含む「C型」という地球の近くでは珍しい小惑星だからだ。生命の起源となる有機物がどのように宇宙で形成されたのかを解明する手がかりになるという。会見で、國中氏は次のように説明した。

「はやぶさ1が出かけたイトカワはS型で、石が主成分です。地球の近くにはS型は非常にたくさんあるので、行きやすい小惑星といえばS型ですが、今回はあえてC型を狙って、『はやぶさ2』を開発しました。C型の小惑星は地球の近くにあるのは非常に数が少ない。ここ10年のうちに行けるであろう小惑星は、2〜3しかない。そのうちの1つを狙って、打ち上げ期間が限られた大変難しい条件に間に合わせました」

なお、数字とアルファベットのみの「1999 JU3」という名前は馴染みにくいため、JAXAはイトカワのような親しみやすい名前をつけることを検討中だ。「1999 JU3」を発見したアメリカのリンカーン研究所が命名権を持っているため、JAXA側から名称を提案するという。

イトカワの場合は「日本の宇宙開発の父」と言われる故・糸川英夫博士の名を取って命名された。この日、國中氏は苦笑しながら次のように話した。

「はやぶさ1のときは大変いい名前をつけてしまったもので、はやぶさ2ではどうしたものだろうかと困っている状況です。まだ何も決まっておりません」

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