LINEが新たなプラットフォーム作りに乗り出した。そのターゲットは電子商取引(EC)だ。同社は2014年8月27日、ECサービス「LINE MALL」の新展開を発表、BtoC分野のECに本格的に乗り出す(関連記事)。同社上級執行役員 コマース・メディア担当の島村武志氏は、「LINEの持っている良さは“つながり”。これを消費に変えていく」と説明(写真)。メッセージングアプリ「LINE」の持つ人と人とのつながりである“リアルグラフ”をLINE MALLの展開に生かし、ECのプラットフォームとして発展させていく意向だ。

写真1●LINE MALLの新展開を発表するLINE上席執行役員 CSMO(Chief Strategy & Marketing Officer)の舛田淳氏(左)と上級執行役員 コマース・メディア担当の島村武志氏(右)
写真1●LINE MALLの新展開を発表するLINE上席執行役員 CSMO(Chief Strategy & Marketing Officer)の舛田淳氏(左)と上級執行役員 コマース・メディア担当の島村武志氏(右)
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国内BtoCのEC化率は3%強、伸び代をLINE MALLで狙う

 なぜBtoCのECサービスなのか。同分野には、Amazon.co.jpや楽天市場、Yahoo!ショッピングなど先行するECサービスの“巨人”が強さを発揮しているように見える。ただ、この強いと思われている存在も、商取引全体で見れば、実はまだまだ小さな存在だ。

 経済産業省が2013年9月末に発表した「平成24年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」によると、国内のBtoC分野のEC化率は2012年でわずか3.11%(写真2)。BtoCの商取引全体から見るとまだほんのわずかだ。LINEが狙うのは、この3%強を競合と奪い合うのではなく、EC市場全体の拡大で得られるその先の市場だ。そしてその際のLINEの武器が、「LINE」で培った人と人とのつながりである。

写真2●国内BtoC市場のEC化率は2012年度でわずか3.11%
写真2●国内BtoC市場のEC化率は2012年度でわずか3.11%
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 島村氏は、「ECになっていないところの方が圧倒的に多い。どうしてこうなっているかを分析すると今のECの姿が見えてくる」と語る。現状のECの姿は、商品の検索を経て、そこから購入に至る「Pull Commerce」であると分析。一方、LINEが掲げるECの新しいコンセプトは「Push Commerce」だ。「Push」、つまり商品を購入する際の気づき、関心を直接ユーザーに与えて購入を促すスタイルのECを実現するとしているのだ。