特集 2014年6月5日

今日は割りばし割くらべ!

うまく割れないのもまた楽しい
うまく割れないのもまた楽しい
割り箸って、よく考えたらヘンだ。
あれはそもそも本当に割る必要があるのか。最初から2本の状態で提供してくれればいいだろう。

割り箸を割るということは「遊び」なんじゃないのか。パキっと割るとスッキリしないだろうか。あれはパーティークラッカーのようなものなんじゃないだろうか。
本業は指圧師です。自分で企画した「ふしぎ指圧」で施術しています。webで記事を書くことをどうしてもやめられない。(動画インタビュー)


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そう思って「割り箸の割りくらべ会」を開きました

高いのから安いのまである
高いのから安いのまである
かっぱ橋に出向いて6種類の割り箸を用意した。中には吉野杉の高級割り箸もある。割り箸でなけりゃ、吉野杉なんてそうそう割ったり口の中に入れたりしないだろう。
こういうことしないですよね
こういうことしないですよね

割り箸にかぶりつき

参加してもらったのはデイリーポータルZ編集部より古賀さん、安藤さん、石川さんである。

会議室に来てもらった時は「今日何するんですか?」「ハア?割り箸?」くらいのテンションだったのだが、割り箸たくさんあるの見たらググッと興味示してくれた。
こんな感じだったのが
こんな感じだったのが
かぶりつきに
かぶりつきに
こんなに頼れる人たちはいないな……と思う。

「割りくらべとはいいますが、今日はパーティークラッカーみたいに、割り箸を割って楽しむという企画です」と改めて説明したが、それも野暮だったか。
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白楊元禄箸

値段の安い箸から順に割っていくことにする。
よく見るタイプの箸。一本1.5円
よく見るタイプの箸。一本1.5円
と、ここで色めき立ったのが古賀さんである。
古賀「割り箸割るときってさあー、根元のところがすごく片寄ったりしない?」
古賀「割り箸割るときってさあー、根元のところがすごく片寄ったりしない?」
古賀「あっ、きれいに割れちゃった」
古賀「あっ、きれいに割れちゃった」
今まで特に人にしゃべる機会のなかった「割り箸あるある」である。
安藤「こうやってねじって割れば……」
安藤「こうやってねじって割れば……」
安藤「あー、ダメだわ」
安藤「あー、ダメだわ」
安い箸でも、そうそう片寄った割り方にはならないみたいだ。
じゃあ自分ではどうなんだ、とやってみると
じゃあ自分ではどうなんだ、とやってみると
すごく片寄った……
すごく片寄った……
つまり、こういう風にやると片寄った箸ができるのではないか。
だからなんだ、といわれると困るのだが
だからなんだ、といわれると困るのだが

竹双生箸

つづいては竹の箸である。
これもよく見る。一本当たり2.1円
これもよく見る。一本当たり2.1円
木の箸と違って、割る部分は上部のほんの一部分だけだ。しかし、割る部分が少ないからか、竹の繊維の性質なのか、きれいに割りにくい。
小さいから目立たないけれども、なかなか真っ直ぐにはいかない
小さいから目立たないけれども、なかなか真っ直ぐにはいかない
石川「あー、これはパズルになるんじゃないですかね」
石川「あー、これはパズルになるんじゃないですかね」
そんなこといったら、なんでも割ったりすればパズルっぽくなるのでは?
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と思ったが、ならべてみるとこれが意外なほどパズルっぽい。
パズルっぽい
パズルっぽい
木の質感がそう思わせるのだろうか。
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ひのき元禄箸

これはあんまり見ないぞ一本2.4円
これはあんまり見ないぞ一本2.4円
ヒノキといえば、真っ先に思い出すのが「ヒノキ風呂」のあの香り。この割り箸も開封した瞬間からヒノキの匂いがすごい。
安藤「お風呂だ」 古賀「お風呂の匂いする」
安藤「お風呂だ」 古賀「お風呂の匂いする」
石川「使った後に家のお風呂に入ればいい」
石川「使った後に家のお風呂に入ればいい」
割るとうっすらと木の粉が舞いあがる
割るとうっすらと木の粉が舞いあがる
匂いかいだり、粉が舞ったりで、合法ギリギリな雰囲気が漂いはじめる。
安藤「これ割り心地がいい。もう一本割っていいですか?」
安藤「これ割り心地がいい。もう一本割っていいですか?」
本気の中毒っぽい発言も出た。

いや、中毒ってのはいい過ぎだが、箸を五感で細かく感じていることによって、みんなテンションが上がってきている。箸の中に自分が全部取り込まれてしまいそうだ。
トリップっぽい
トリップっぽい

黒竹天削箸

菜箸にも使えそうな長い箸。一本3円
菜箸にも使えそうな長い箸。一本3円
浅黒い竹の箸。みょうな高級感をかもしだしている。通常の橋よりも長いためだろうか。長いから高級に見えるってのもヘンだけれども……。

参加者の反応も上々である。

古賀「使い捨てって感じがしない。これ完全にふつうの箸だね」
安藤「これ4~5本持って帰って良いですか?」
石川「割りやすい」
石川「割りやすい」
ところが、である。割ったそばから不満の声が漏れ出てきた。
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たぶん、これがあんまりにも「ふつうの箸」に近すぎるからじゃないかと思う。一度使ったら洗ってまた使いたくなるようなしっかりした箸なのだ。

そう思うと、割りばしの持つ不可逆性とか一回性の美しさがなくなってしまう。

たぶん今回僕が割りばしをたくさん割ってみたかった理由もここにある。塗り箸をくっつけたり離したりしても一つもおもしろくないだろう。
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エゾ天そげ箸

これが出てきたら高級料亭であること間違いなし。1本3.4円
これが出てきたら高級料亭であること間違いなし。1本3.4円
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思わず全員でいってしまった。

ここまで割りばしを割くらべてくるとわかる。もう本当に非の打ちどころのない、いい割りばしなのだ。

まず、鋭くエッジが立ったデザインがかっこいい。安い割り箸には、割るところにちょっとした「割りしろ」みたいな部分があるのだが、この箸にはそういうのがない。
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箸の上部が削れているのだが、アイフォンでその角度図りたくなるくらい美しい(15度)
箸の上部が削れているのだが、アイフォンでその角度図りたくなるくらい美しい(15度)
持ってみると非常に軽い。そして割り心地の素直さ。
古賀「すご。すんなり割れる。何のひっかかりもない」
古賀「すご。すんなり割れる。何のひっかかりもない」
石川「軽いですねー」
石川「軽いですねー」
これ以上いい箸なんてあるのかよ、と思ったが、最後に控えている箸はこれの2倍以上の値段がするのだ。

吉野杉

箸というよりもはや木材っぽい。1本8.9円
箸というよりもはや木材っぽい。1本8.9円
この吉野杉の箸も美しい。

さっきのエゾ天の箸の美しさが魔王クラスとしよう。この吉野杉の美しさはその上を行くエスタークのような存在である。
箸の束を上から見たところ
箸の束を上から見たところ
束に組まれた箸には一部の隙もない。建築のようだ。

石川「この箸(吉野杉)の束にさっきの箸(エゾ)入れたら、きれいにかみ合うんじゃないですかね」
スッ…と入り
スッ…と入り
合体した!
合体した!
持ち上げてもピクリともしない
持ち上げてもピクリともしない
割れる直前の「しなり」もいい
割れる直前の「しなり」もいい
割っても全然片寄らない。美しいまま
割っても全然片寄らない。美しいまま

割り箸をなんとなく割っていませんか

割りくらべを経て確信した。割り箸を割るのは楽しい。お腹減ってたりするとついつい目の前の食事だけに気を取られたりするのだが、割りばしを割るのにも、もっと気持ちを集中するべきである。

今回、種類を集めるのに大量の割り箸を購入せざるを得なかった。ときどき割り箸の置いていない飲食店に持ち込んで、「マイ割り箸」を楽しんでいる。
日高屋(割り箸がない)で割り箸!
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