歴ログ -世界史専門ブログ-

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誰もが予想しなかった奇妙な製品リコール事件

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「まさかそんなところから問題になるとは」と企業が驚くリコール事件

メーカーは製品を製造してお金を頂戴する以上、リコールとは無縁でいられません。

製品自体の不備もありますが、想定されない使われ方に対する対策もちゃんとせなばならず、どうしてもカバーしきれない部分は取り扱い説明書でカバーします。

有名な「猫オーブン」の話は都市伝説のようですが、でもまあ、ああいうことです。

 海外サイトで紹介されていた、過去のリコールの中のちょっと信じられないようなケースを翻訳してまとめました。

※大人として恥ずかしい誤字がいっぱいあったので修正しました。ご指摘多謝です…。

 

 

1. 反ドラッグ協会が配布した鉛筆

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 使っていくとドラッグを推奨するようになるため回収

アメリカでドラッグの危険性を啓蒙啓発する団体「ドラッグ乱用制限教育(DARE)」が、ニューヨークで子どもたちに配布した鉛筆がリコールの対象になりました。

 この鉛筆は子どもにドラッグに手を染めないよう訴えるために、鉛筆に「TOO COOL TO DO DRUGS」と描かれています。

文字通りとると「ドラッグはクールすぎてやれない」という意味で、このコピーもどうかと思いますが、問題は鉛筆を使い続けた後に生じてきました。

鉛筆を使っていた10歳のコディ・モイザー君が、「TOO」が使い続けると消えて、「COOL TO DO DRUGS(ドラッグをキメるのはクールだぜ)」になり、もっと使うと「DO DRUGS(ドラッグをキメろよ)」になることを発見して先生に報告。一躍問題になりました。

結局この鉛筆はコピーが書き換えられ、「DRUGS」が先頭に来るように「DRUGS TOO COOL TO DO」となり、初めに問題の箇所が削れて変な文章にならないようになったそうです。

いや、そのコピー自体変えたほうが良かったのでは…

 

 

2. BMWの音声ナビゲーションシステム 

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女性の音声しかないのは性差別だ!のクレームから回収

AppleのSiriをはじめとして、機械で流れる人間の声はだいたい女性の声です。

トラックの「バックします」もそうだし、コールセンターの音声案内「再配達をご希望の方は1を…」もそうです。

心理学的には女性の声は人を安心させるらしく、それは母親の体内にいたときに聞こえてくる声に根源があるらしいのですが、

1990年代末にBMW社にドイツの男性からクレームが入りました。それは

「カーナビの音声はなぜ女性の声しかないのだ。これは男性差別ではないのか!男性の声のカーナビを作れ!」

というもの。

BMW社のカスタマーサービスは怒った男性に対し、エンジニアをはじめカーナビの開発スタッフのほとんどは男性であることなどを説得しましたが彼は納得せず、ますます怒り狂った。

しょうがないのでBMW社は、問題のカーナーナビを市場から回収して新たに男性の音声を入れ直すという対応をしてクレーマーの怒りを沈静化をしたのでした。

ドイツのモンスタークレーマーやべえ…。

 

 

3. モンスターボールのおもちゃ

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モンスターボールで幼児が窒息死し回収

 1999年11月、バーガーキングがアメリカで子ども向け商品のノベルティとして、「ポケモン・フィギュア」を配布しました。

プラスチックのカプセルで出来た「モンスター・ボール(アメリカだとポケ・ボール)」の中にポケモンのキャラクターが入っているもの。ポケモンが爆発的な人気を得ていた当時、きっと全米の子どものハートを鷲掴みにしたことでしょう。

ところが12月11日、カリフォルニア州ソノラに住む13ヶ月の女児が、カプセルを鼻と口に当てた状態で窒息死しているのが発見されました。

半分にパカリと割れたカプセルは、子どもの顔下半分にぴったりで、舐めたりして遊んでいるうちにぴったり密着してしまい取れなくなったようです。

この事件を受け消費者製品安全委員はバーガーキングに対しリコールの要請を出しますが、会社側はこれを拒否。

しかし2週間も立たないうちに今度はカンザス州の18ヶ月の女児が窒息し、今回は気付いた父親によって助けられましたが、これを受けてバーガーキングはリコール対応をせざるを得なくなりました。

バーガーキングはCMで「問題のカプセルは3歳未満の子どもの手の届かないところに置く」ように呼びかけ、また店に持ってきたらポテトのSサイズと交換する旨を告知しました。

 

 

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4. PSソフト「タイガー・ウッズ・PGAツアー」

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裏ワザで「サウスパークのお蔵入り」が見れたため回収

Electronic Arts社から発売された「タイガー・ウッズ・PGAツアー」は2013年まで発売されていたPlay Station2用のソフトですが、初期の頃には販売元のEA社すら知らなかった「裏ワザ」がありました。

それはPCで再生すると、アニメ「サウスパーク」のお蔵入り作品が閲覧できるというもの。

このお蔵入り作品というのがまたヒドく、クリスマスは自分の誕生日を祝う日だと主張するイエスと、自分が子どもたちにプレゼントをあげる日だと主張するサンタが取っ組み合いの喧嘩をして、巻き添えをくって子どもたちが次々に死んでいくという内容。

教育上よくない上にイエス・キリストを馬鹿にしたような作品は当然お蔵入りになって厳重に隠されていましたが、1998年12月にソフトをクリスマスプレゼントに買ってもらった少年が偶然この「裏ワザ」を発見。

「ママ、なんかすごいのが見れたよ」と母親に話し、とんでもないものを息子に見せやがって!とEA社にクレームを入れたことからリコールに発展しました。

そもそもなぜこんな仕様になっていたのかは謎ですが、開発担当者はクビになったそうです。

 

 

5. ビタミン・ウォーター

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Photo from "Coca-Cola 'YOU RETARD' Bottle Cap Forces Company To Apologize To Edmonton Family" Huffington post

キャップの裏の言葉に不快になったとして回収

2013年9月のある晩、カナダ・エドモントンに住むロアテス一家が、いつものように家族全員で楽しい団欒の一時を過ごそうとしていました。

妻のブレークがその晩に用意したのはコカ・コーラ社の清涼飲料水「ビタミン・ウォーター」。

プラスチックのキャップを開いてその裏を見た時、彼女は思わず悲鳴を上げました。

プラスチックの裏には「YOU RETARD(手に取るのが遅かったな)」と書かれていたからです。

ビタミン・ウォーターは若者をターゲットにしたフランクな商品コミュニケーションを展開しており、「YOU RETARD」は「まぢぃ?やっと買ってくれたわけぇ?」みたいな若者らしい軽いノリの言葉であったのですが、

脳性麻痺と自閉症の親類を持つロアテス一家にとって、「YOU RETARD」は「おめえらのとこのガキは発育が遅いのな」の意味に受け取ったのでした。

ロアテス一家からのクレームの手紙を受け取ってコカ・コーラ社は「悪意はない」と釈明したものの、結局すべての商品を回収するハメに陥ったのでした。

 

 

6. ダイヴ・スティック

Flexible Dive Sticks Water Confidence Swimming Diving Game 4 Pack

女児の陰口に刺さる可能性があるとして回収 

ダイヴ・スティックは日本ではあまり見ませんが、アメリカではポピュラーなおもちゃです。

これはスイミングプールで使うもので、プールの底に立てておくとたとえ下に足がつかない子どもでも、掴んだりしがみついたりして浮いてられるというもの。

ここまで書いたらだいたい状況が想像できる人もいると思いますが、ダイヴ・スティックが置いてあるプールに飛び込んだ子どもの肛門や陰口に、グサリと突き刺さる事故が起こったのでした。

メリーランド州に住む6歳の女の子は、はしゃいでプールに飛び込んでダイヴ・スティックが刺さってしまった。それは「体を2つに裂く」ほどの重症で、直ちに病院に搬送され2時間もの外科手術をしなくてはならなかった。

1999年6月から19万個以上の製品が回収され、2001年にはアメリカの消費者製品安全委員会は特定のプラスチックを使用したダイヴ・スティックの製造・輸入・販売を禁止したのでした。

※修正しました。陰茎→陰口

 

 

7. マツダ6(マツダ・アテンザ)

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蜘蛛が入り込んで発火する危険性があるため回収 

クルマは数多くの精密なパーツで組み合わせられた「電子部品の塊」なので、リコールが起こるのは不思議ではないし、実際に毎月のようにリコールが発生しています。

そんな中でも、マツダ6(日本名・アテンザ)がアメリカで起こしたリコールは摩訶不思議で、マツダの関係者は可哀想としか言えません。

アメリカに棲む「Yellow Sac Spider(日本名・コマチグモ)」は、マツダ6から放たれるガソリンの臭いに惹きつけられて車内に侵入し、燃料タンクに巣を作る。そしてその巣が発火する危険性があったのです。

最初のリコールが起こった後、マツダは蜘蛛が入らないように予防ネットをつけますがあまり効果がなく、燃料タンクの制御ソフトウェアをアップロードすることで「蜘蛛の巣発火問題」は解決したのでした。

ところでなぜ、Yellow Sac Spiderが他のクルマでなく、マツダ6にだけ侵入しようとしたのか。

実は謎が多く未だに解明されていないだそうです。

 

 

まとめ

 最近は某自動車会社が、リコールどころかとんだ隠蔽工作をやらかして大問題になっていますが、企業が「世間」と誠実に向きあおうとしないとああなる悪いお手本だと思います。

今回挙げた事例の中には、企業が可哀想に思えるようなものもありましたけど、ごまかしはいつかバレる、真面目に真摯に取り組めば「世間」はちゃんと見ていて評価してくれる、という感覚を持つようにしていきたいものです。

 

 

 参考サイト

"10 Bizarre Product Recalls" LISTVERSE

 

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