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「Android Auto」日本で提供開始、日産・ホンダ・VW車やパナソニックのカーナビから

 グーグルは、自動車のカーナビゲーションシステムなどに接続して使うドライバー向けアプリ「Android Auto」の日本での提供を開始した。

 「Android Auto」は、カーナビとAndroid端末を接続して使う車載情報システム。Google マップによるガイド、電話や、Google Play Musicなどの音楽アプリを利用できる。Android 5.0(Lolipop)以上のスマートフォン・タブレットに対応し、Google Playでアプリが公開されている。

 接続に対応する機器は、グーグルによる認証を受け、自動車メーカーやカーナビメーカーから提供される。日本では当初、日産、ホンダ、フォルクスワーゲン(VW)、マセラティ、アウディの一部車種と、パナソニックのカーナビで対応する。

 日産では7月15日発売の純正カーナビ「MM516D-L/W」が対応。ホンダの場合は2016年モデルの「アコード ハイブリッドLX/EX」と、最新モデルが対象となっている。パナソニックでは6月に発売された市販カーナビ「ストラーダ CN F1D」でAndroid Autoをサポートする。

Android Auto対応のカーナビ「ストラーダ CN F1D」

 カーナビに最適化されたUIで、タッチスクリーンやコントロールボタンによる操作に対応する。また、かならず音声認識用のボタンを備え、声による操作も可能。運転時に目を離さず利用できる。

 ナビ機能や音楽再生機能のほか、SMSやチャットアプリなどの通知メッセージを音声で再生する機能を持つ。グーグルが提供するアプリのほか、AWAやSkypeといった、サードパーティの音楽アプリやメッセージングアプリも対応する。

 Android Autoに協賛するOpen Automotive Alliance(OAA)の加盟各社が、車載システムに実装して提供する。各メーカーの車載システムのオプションの1つという位置づけとなる。

 車載のAndroid Autoのナビ機能を利用しながら車載システムのラジオやCDプレイヤーを利用したり、車載カーナビを利用しながらAndroid AutoでGoogle Play Musicを再生したりといった使い方もできる。

Android端末を接続していないときは一般的なカーナビとして利用できる

ドライバーに最適化されたUX

グーグル Android Auto担当プロダクトマネージャー ダニエル・ホーリ氏

 13日に実施された発表会では、米グーグルのAndroid Auto担当プロダクトマネージャー ダニエル・ホーリ氏が解説した。

 ホーリ氏いわく、Android Autoは、スマートフォンのユーザー体験(UX)をドライバーに最適化させたものだという。スマートフォンが普及したことで、自動車の中でも使われるようになったが、運転中にスマートフォンのタッチパネルを注視して操作するのは危険だ。

 Android Autoでは、車載システムと接続することで、スマートフォンの機能を安全かつ快適に利用することができる。Google Play MusicのプレイリストやGoogleマップの検索履歴など、普段スマートフォンで利用している機能をシームレスに利用できるのも特長。

 さらに、サードパーティ向けにAPIが公開されており、Android用の音楽アプリやテキストメッセージングアプリが対応できる。安全面を担保するため、サードパーティが利用できるAndroid Auto用のユーザーインターフェイス(UI)は、ある程度固定されていて、審査の際にもUIの安全性を追加で検証するという。

 さらに、Android Autoはスマートフォンアプリ側でアップデートすることで、最新のUIで利用できるようになっている。車載システム側のアップデートはメーカーが行うが、大きなアップデートを行わずとも、ある程度の長期間サポートを続けられる仕組みだ。

 今後、「OK, Google」による音声コマンド起動や、Wi-Fiでの接続に対応するアップデートが提供される予定。

 ホーリ氏によれば将来的には、サードパーティのナビゲーションアプリや、ビデオアプリが対応する可能性があるが、利用用途の拡大については、「安全に関わることなので、慎重に、ゆっくりと進めていく」とした。また、自動車メーカーによるメンテナンスアプリなど、運転ログを活用するアプリに対応する可能性を明らかにした。

 発表会では日産自動車、本田技術研究所、パナソニックの車載機器担当者も登壇。日産で車載システムを統括する石川雅博氏は、「まずはハイエンドのモデルから開始するが将来的には全ラインナップに対応していきたい」と語った。パナソニックの高島浩二氏は、Android Auto対応の市販カーナビについて「まずはハイエンドモデルから提供するが、販売規模が最も多いミドルレンジモデルまでは対応していきたい」と話した。

日産自動車 グローバルコンバージョン&アクセサリー企画開発部 主管 石川雅博氏
本田技術研究所 四輪R&Dセンター 主任研究員 京光達哉氏
パナソニック オートモーティブ&インダストリアルシステムズ インフォテインメントシステム事業部 部長 高島浩二氏

 なお、グーグルではAndroid Autoのほかに、コアOSとしてAndroidを搭載する自動車や、自動運転車などの自動車周辺技術を開発している。これらはAndroid Autoとは直接関係がない、別の製品として開発されているという。