中国のビッグデータサービス・極光大数据は1月、「2017年度網絡購物アプリ市場研究報告」を発表した。ネット通販の徹底分析である。ニュースサイト「騰訊網」が伝えた。興味深いポイントを拾ってみよう(1元=17.35日本円)。

6つのポイント

中国経済
(画像=paulaphoto / shutterstock.com)

極光は以下の6つをポイントとして挙げている。

(1) 2017年、全国ネット通販売上高は7兆1800億元に達し、社会消費品小売総額の19.6%を占めた。
(2) 2017年12月31日、ネット通販アプリの浸透率は69.9%、顧客数は7億1300万人だった。
(3) 淘宝(阿里巴巴)の浸透率は、53.3%だった。京東(JD)は20.6%、共同購入アプリの「拚多多」は19.4%だった。
(4) スマホ淘宝、京東、唯品会の12月のアクティブユーザー数は1億人を超えた。
(5) 16~35歳の年齢層で全体の85.5%を占めた
(6) 人気のあるアプリは淘宝、支付宝、美団の順だった。 

総合サイトと専門サイト

極光はネット通販を次のよう分類している。日本では淘宝、天猫(以上、阿里巴巴)京東、蘇寧くらいしか知られていないが、バラエティーに富む専門ネット通販が、続々と誕生していた。

総合……京東、淘宝、天猫、蘇寧、唯品会など。
ベビー……貝貝、蜜芽など。
生鮮……多点、毎日優鮮など。
越境……洋碼頭、小紅書など。
中古品……閑魚、転転、瓜子など。
団体購入……拚多多、折800など。
卸売……微店、雲集など。

大手の系列は次のようになっている。

阿里巴巴系……淘宝、天猫、閑魚、蘇寧
騰訊(テンセント)系……京東、唯品会、拚多多、転転、小紅書、微店

また登場した時期は、2003年に淘宝、04年に京東。この他はほとんど11年以降、スマホ時代の本格化以降である。11年に蜜芽、折800。そして洋碼頭。12年には天猫、14年に微店、貝貝と小紅書。15年に誕生したのが、転転、瓜子と拚多多だ。

ネット通販アプリの浸透率と新トレンド「拚多多」

アプリ全体の浸透率は全体で69.9%だが、もう少し詳しく見ていこう。

総合通販64.5%、共同購入29.6%、中古品8.1%、越境3.1%、生鮮2.0%、卸売2.0%、ベビー1.7%となっている。

総合通販を1つだけダウンロードという人は47.6%、2~5という人は51.1%だった。専門通販は忠誠心が強い。1つだけという人が75%以上だった。

具体的な浸透率は次のようになっている。

淘宝53.3%、京東20.6%、拚多多19.4%、唯品会15.6%、天猫8.0%、閑魚4.3%、蘇寧3.8%。ちなみにアマゾンは1.0%である。

最後に2017年12月のアクティブユーザー数

淘宝5億3200万人、唯品会1億2900万人、拚多多1億1400万人、天猫8000万人、閑魚2800万人、蘇寧2400万人。

「拚多多」とは2015年に登場した新顔だ。過去半年1日平均107.8万人もユーザー数を伸ばし、増加率ナンバーワンである。浸透率で業界2位の京東に並ぼうとしている。新しいネット通販のトレンドを代表する存在だ。いわゆる共同購入サイトである。

発起人が家人、友人、隣人たちとグループを組み、より低価格での購入を目指す。C2Bの新型ネット通販と記されている。海外商品、服装服飾、IT家電、食品飲料、生活用品、化粧品、家具、ベビーと玩具、生鮮が九大主力品目という。今後に注目だ。

ネット通販利用者は35歳まで。

続々と誕生するこれら新しいネット通販を支えているのは、どのような層だろうか。性別では女性55.3%、男性44.7%である。

最大の特徴は、年齢層にあった。26~35歳までの層が48.1%と半分弱を占めているのだ。次は16~25歳で37.2%、何とこの2世代で全体の85.5%を占めている。36~45歳は11.3%、46歳以上は、たった3.1%に過ぎない。中国人は、35歳のところで真っ二つに分断されているかのようだ。

これからも若者層が次々とネット通販参入してくる。新しいサイトが登場してくる秘密はここにあった。総合大手も安閑としていられない。また日本のコンシューマー企業も、阿里巴巴と京東、蘇寧だけなく、もう少し視野を広げてパートナー探しを考えたいところである。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)