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南半球記録か アルゼンチンでメロン大の雹みつかる

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(ペイレスイメージズ/アフロ)

南米アルゼンチンで、幅18センチの巨大な雹が降りました。公式に認定されれば、南半球史上最大、また世界史上2番目に大きい雹となる可能性があるようです。

下の写真がその雹です。この雹は8日(木)午後、アルゼンチン北部のコルドバで発見されました。当時コルドバの上空には、非常に発達した積乱雲がかかっていたようです。

雹は綺麗な球形をしているわけではありませんが、直径18センチといえば、こぶし2つ分、もしくは大きめのメロンくらいのサイズです。その落下速度、衝撃ともに相当なものと推測され、もし人に当たっていたらと思うとゾッとします。

写真を撮ったドルエッタさんによると「この雹はぶつかった衝撃で割れ、少し溶けたので、写真を撮る前はさらに大きかった」そうです。

世界一の雹記録

過去にはアメリカで、それ以上の大きさの雹が見つかっています。

世界一の雹。目盛りの単位はインチ。 (写真: National Weather Service)
世界一の雹。目盛りの単位はインチ。 (写真: National Weather Service)

2010年7月サウスダコタ州ビビアンに降った雹の直径は20センチにも及び、世界一大きな雹として記録されています。その重さは900グラムにも及びました。

もし今回のアルゼンチンの雹が正式に認定されれば、このアメリカの雹に続き史上2番目の記録となる可能性があるようです。さらにワシントンポストによると、南半球だけでみれば史上最大かもしれないとのことです。

余談ですが、アメリカの20センチの雹を発見した男性は、当初これをカクテル用の氷として使おうと思ったのだそうです。そのおかげで、巨大なサイズのまま冷凍庫に保管され、それが証拠となって、世界一の記録として認定されるに至ったのでした。カクテル用に使われないで、本当によかったと思います。

幻の雹

一方で埼玉県熊谷に降った雹の場合は、そううまくは証拠が残りませんでした。1917年(大正6年)6月、直径29.5cm、重さ3.4キロのカボチャ大の雹が降ってきたと中央気象台(今の気象庁)の気象要覧には書かれているのですが、なんせ昔の話で写真の証拠もないために、この記録は幻のものとなっています。

目撃者の協力があってはじめて、雹の記録が生まれます。もし目撃したら、比較物と一緒にぜひ写真に収めておいてください。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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