「住みたい街」横浜が初の首位 吉祥寺陥落
関東で一番住みたい街は横浜――。不動産情報サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニー(東京・中央)がまとめた「住みたい街ランキング2018 関東版」で横浜が1位を獲得した。ほかにも大宮や柏など、交通の便が良い郊外のターミナル駅が上位に。都心へのアクセスと生活の便の良さを兼ね備えた街の人気が高まっているようだ。
名所がコンパクトに集中
リクルート住まいカンパニーの「住みたい街ランキング」調査は2010年以降、11年を除き毎年実施。これまで、吉祥寺と恵比寿で首位を分け合い、昨年の首位は吉祥寺だった。今回は調査対象者の抽出方法を若干変更したため、17年までの調査と一概には比較できないが、横浜は調査対象の20~40代から幅広く支持を集め、初めて首位に立った。
対象となる「街」は原則的にJRなどの鉄道駅周辺を指す。横浜が人気を集めたのは、名所がコンパクトに集中しているためだ。横浜駅前には「横浜モアーズ」や高島屋など、商業施設が立ち並ぶ。駅から半径2キロメートル圏内には、観光スポットやオフィスが多く立地するみなとみらい地区や三ツ沢公園といった家族で出かけられるスポットが点在する。「都内に出なくても大抵のことは駅の近くで済む」(横浜駅近くに住む24歳の男性会社員)
大宮や柏、都外の街躍進
今回の調査では横浜以外にも、前回15位だった大宮が9位、34位だった柏が21位に上昇。都外の街の躍進が目立った。順位を上げた街に共通するのは郊外ながらも都心へのアクセスが優れている点だ。
横浜はJR各線のほか京急線、東急東横線などが乗り入れ、丸の内や品川、新宿、渋谷などのオフィス街に30分前後でアクセスできる。柏や大宮のほか、前回から9つ順位を上げ10位となった浦和は、15年にJR上野東京ラインが開通したことで、東京・品川駅へのアクセス性が高まった。6つ順位を上げ、26位となった海老名は、JR東日本や東急と相互直通する予定の相模鉄道の始発駅だ。
近年は「職住近接」のニーズが高まっている。総務省がまとめた住民基本台帳に基づく17年の人口移動報告(外国人を除く)では、東京23区の転入超過数は6万1158人。住まいの「都心回帰」の流れが進んでいた。
今回の調査では都心へのアクセスを重視しながらも、商業施設の近さなどといった住環境の良さにも気を配って住まいを選ぶ消費者の姿が浮き彫りとなった。SUUMOの池本洋一編集長は「働き方改革が進み、ワークライフバランスを重視する人が増えたことで、プライベートを楽しみやすい少し郊外の街が人気を高めている」と指摘する。
(高尾泰朗)