レジなしAmazon Goの技術が、小売業界の「トロイの木馬」に? —— 専門家が指摘

買い物をする人

シアトルのAmazon Go 1号店で買い物をする人。

Getty/Stephen Brashear

  • Amazon Goは、カメラとセンサーを使って客の動きを把握、その買い物の代金を正しく請求するアマゾンの未来の店舗だ。
  • ループ・ベンチャーズ(Loup Ventures)のアンドリュー・マーフィー(Andrew Murphy)氏は、アマゾンがこの技術を他の小売業者に提供するだろうと考えている。
  • そうすることで、アマゾンは伝統的な実店舗を伴う小売業の世界に「トロイの木馬」を送り込むことになるだろう。

「ただ歩き去るだけ」の技術で、アマゾンはまた別の方向へ向かうのかもしれない。

ループ・ベンチャーズのアンドリュー・マーフィー氏の最新の分析によると、アマゾンはAmazon Go —— レジではなくセンサーを使って客の買い物の内容を把握、正しい代金を請求する —— の技術を、見込まれていたのとは異なる方法で活用しそうだ。

単純にAmazon Goの店舗数を増やす代わりに、マーフィー氏は同社がその技術を他の小売業者に提供するだろうと考えている。アマゾンにとっては、「実店舗を伴う小売業の世界へのトロイの木馬」となりそうだ。

これにより、アマゾンのクラウド・コンピューティング・プラットフォーム「AWS」と物流代行サービス「フルフィルメント by Amazon(FBA)」を使ってインフラを整備するのと似たような成果が得られるだろう。

アマゾンが実店舗を伴う小売業への進出に関心があるのは明らかで、Amazon Goの技術は「自動化された小売業への、即効性のあるソリューション」になり得るとマーフィー氏は言う。

だからといって、この技術がウォルマートやターゲットといった競合する総合スーパーで使われることは、恐らくないだろう。だが、アマゾンですでに商品を販売しているナイキのような専門小売業者は、業界でのプレゼンスを増すために、この技術を取り入れるかもしれない。人件費の削減にもなるし、従業員にレジ打ちのような機械的な業務の代わりにカスタマーサービスに集中させることができる。

Amazon Goのようなレジ業務の自動化をめぐる競争では、マーフィー氏が言う「ポールポジション」を取った企業には500億ドル(約5兆3000億円)規模のビジネスチャンスがある。

より多くの、よりハイエンドなブランドを取り込みたい企業にとっては、このテクノロジーが強力な原動力になり得る。

2017年のクリスマス休暇の頃には、アマゾンはカルバン・クラインと提携、アマゾンのスマートスピーカー「Echo」を使って、試着室で客からの質問に答えたり、照明を変えるなどした。こうしたコラボレーションが増えれば、より多くのブランドが、アマゾンの提供する技術を取り入れようと考えるかもしれない。

Recodeの最近の報道によると、アマゾンはシアトルとロサンゼルスでAmazon Goを増やす計画で、それ以外の出店計画も進められている可能性がある。

[原文:Amazon's futuristic, cashierless stores could be the company's 'Trojan horse' to take over traditional retail (AMZN)]

(翻訳、編集:山口佳美)

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