米イーベイ買収の「Qoo10」、女性向け・越境ECに強み
「Qoo10(キューテン)ってあんまり使ったことない……」。27日、電子商取引(EC)の米イーベイによる通販サイト「キューテン」の日本事業の買収が発表されると、ネット上ではこんな声が相次いだ。確かに日本ではアマゾンや楽天に比べ、マイナーな通販サイトであるキューテン。一体どんなサイトなのか。
女性をターゲット
キューテンはシンガポールに本拠地を置くジオシスがアジアを中心に5カ国7地域で展開しているネット通販サイト。日本では10年6月にサービスを開始し、17年1月時点で750万人の会員を抱えている。
サイトをのぞいてみると、目立つのはアパレルや化粧品、ダイエット食品など、女性をターゲットにした商品のバナーだ。キューテンの日本サイトは女性からの購入比率が7割を占めており、他の通販サイトに比べ、女性ユーザーが多いのが特徴だ。
普及が進むスマートフォン(スマホ)への対応も早かった。キューテンは12年6月にスマホアプリを導入。現在ではスマホ経由のキューテンへのアクセスが8割を超えているという。
ニールセンデジタルが17年3月に実施した調査では、スマホ経由でECサイトを利用する男性は2640万人でPC経由の利用者の約2倍。対して女性はスマホ経由が2815万人で、PCの3倍超だ。特に女性の間で進むECサイトの「スマホシフト」にいち早く対応している様子が読み取れる。
越境ECが狙いか
ネット通販で海外に売る「越境EC」への対応も進んでいる。キューテンは日本サイトへの出店者がキューテンの倉庫に商品を預けると、自動的に海外のキューテンにも出品されるサービスを16年7月に始めた。
海外から注文が入ると倉庫に預けた商品をキューテンが国内で買い取り、即日海外へ発送される仕組みで、利用希望者は増加。倉庫の規模は15年から毎年、約2倍に拡張しているという。
イーベイは99年に競売サイトとして日本に進出後、業績低迷を受け02年に撤退。日本ではその後、日本企業向けの越境EC支援ビジネスを09年から展開している。今回の買収でキューテン(イーベイ)を通した日本企業の越境ECがより活発になる可能性もある。
(高尾泰朗)
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