五輪初出場の土性沙羅(21=至学館大)がナタリア・ボロベワ(25=ロシア)を破り、重量級で日本女子初の金メダルを獲得した。世界選手権は13年から連続出場して3位、2位、3位で、初めて世界の頂点に立った。

 第1ピリオド1分19秒で消極的姿勢で2度目の注意を受け、アクティビティタイムに得点できず1失点。第2ピリオド1分29秒にも注意からアクティビティタイムを経て失点。残り1分30秒ほどで0-2と追い込まれた。だが、あきらめなかった。タックルでつかんだ相手の右足を必死でつかみ、両足ではさみ込んでロック。相手の動きを制してバックを取り、2点を獲得。そのままタイムアップとなった。ポイントは2-2で並んだが、土性がビッグポイント(1度の機会に加わる得点が大きい方を優位とする)を取っていることで上回り、勝利を決めた。

 勝利の瞬間は大きくガッツポーズし、手を打って喜んだ。セコンドの栄強化本部長とガッチリと抱き合った。日の丸を掲げた本部長を肩車して、マットを1周して喜びを爆発させた。「本当にうれしいというのが率直な気持ちです。たくさんの人に応援され、支えられての金メダルだと思います。うれしくて涙が出ました。金メダルを取ったら肩車をしようと思っていた。(練習で)いつも重い選手を肩車しているので重くなかったです」と興奮冷めやらぬ様子で話した。

 至学館大の先輩2人の金メダルが、勇気をくれた。「前の試合の(伊調)馨さん、(登坂)絵莉さんが最後まであきらめずに勝ったので、あきらめずにやって良かったです」と感謝した。

 吉田沙保里と同じ一志ジュニア教室でレスリングの基礎を学んだ。技術とスタミナがあるので後半型の試合展開が多くなる。世界選手権でもあと1歩頂点に届かず「失点をなくすことが一番大事」と話していたが、屈辱を力に変えて日本女子重量級に新たな歴史を刻んだ。