『シン・ゴジラ』白熱の女性限定上映を徹底レポート! 「水ドン」裏話も

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『シン・ゴジラ』白熱の女性限定上映を徹底レポート! 「水ドン」裏話も
『シン・ゴジラ』白熱の女性限定上映を徹底レポート! 「水ドン」裏話も

『シン・ゴジラ』女性限定鑑賞会議

7月29日に公開され、興行収入がすでに46億円を突破している『シン・ゴジラ』。

ネット上にはファンによる口コミやファンアートがあふれ、庵野秀明総監督の同級生である漫画家・島本和彦さんの「庵野やめろ! 俺より面白いものつくるんじゃねえ!!」という叫びをはじめ、各界のクリエイターからの賞賛・嫉妬の声も聞こえる。 公開後1ヶ月が経とうとしている最近でもいまだ人気の衰えない『シン・ゴジラ』。先日開催された発声可能上映に続き、女性限定の発声可能上映「シン・ゴジラ 女性限定鑑賞会議」が8月24日、新宿バルト9にて開催された。

すさまじい熱狂ぶりとなった初回の発声可能上映に負けず、今回のチケットは発売後わずか3分で完売。

「行きたかった!」「会場の熱気を感じたかった!」という老若男女のために、今回は女性鑑賞会議の様子を徹底レポート!

※本記事は「シン・ゴジラ」のネタバレが含まれておりますので、未視聴の方はご注意ください。

取材・文:ひらりさ 編集:かまたあつし

『シン・ゴジラ』コスプレにデコレーションうちわも!

上映30分前。イベントの行われるフロアは、チケットを勝ち取った女性たちの熱気に満ちていた。

発声だけでなく、コスプレ・サイリウムなどの持ち込みもOKということで、思い思いのコスチュームを身にまとっている人、デコレーションしたうちわを掲げている人なども見られた。

『シン・ゴジラ』にハマった84歳のおばあちゃんと一緒に来られたそうです

発声可能上映のときも無人在来線爆弾や「映倫」のコスプレなど、個性豊かな参加者が会場の視線を奪っていたが、今回は女性限定ということもあり、花森防衛大臣(余貴美子)、官邸のベテラン職員のおばさん(片桐はいり)、カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)といった女性キャラのコスプレが多かった。 もっとも同じキャラのコスプレでもそれぞれ小ネタにあふれており、中には同行者に花森大臣のコスプレをしてもらったうえで、財前統合幕僚長(國村隼)の顔をプリントアウトしてかぶっている強者も……。「総理!! 本当に始めますよ いいですね!?」などのセリフのプレートまで用意していた。

前回の発声可能上映にも負けない盛り上がり!

上映前に流れる他の映画のCMですら歓声があがるほど、最初からクライマックス状態の会場で、『シン・ゴジラ』本編がスタート。やはり前回の発声可能上映同様、東宝のロゴがあらわれた瞬間に「東宝ー!」「ありがとうー!」の声が上がった。

長谷川博己さん演じる矢口蘭堂の登場シーンではもちろん「矢口ーーー!」と特大の呼び声が上がるも、赤坂(竹野内豊)が彼の肩を叩いて「閣僚会議は結論ありきの既定路線だ」と諭すシーンの叫び声が、そのボリュームをやすやすと越えていく。

あまりの声量に会場が揺れているようにも感じ、「今日の上映は4DXだったっけ?」と錯覚するほどだった。

もっとも、序盤で最高に盛り上がったのは、尾頭ヒロミ環境省自然環境局野生生物課長補佐の登場シーン。上映後に尾頭ヒロミ役の市川実日子さんがゲストとして登壇することもあってか、約1,800人による力のこもった「ヒロミ〜〜〜〜〜!!!!」が響きわたった。

蒲田にゴジラが上陸し、一心不乱に進撃しだすと、観客は一斉にサイリウムを点灯し、場内は真っ赤に染まる。

「ゴジラ〜〜〜」「しっぽ〜〜〜」「蒲田〜〜〜〜」のようなゴジラを応援する声も上がりつつ、閣僚たちが緊急事態の収拾に追われ出すと、やはり1番叫ばれたのは「総理!」の一言。

劇中の閣僚たちが大河内総理(大杉漣)に呼びかけるたびに会場にも「総理!」の声がこだまするので、もはや「総理応援上映」状態。今回の上映を通して観ても、もっとも女性たちに応援されていた男性は総理だった。『シン・ゴジラ』で一番放っておけない男と言えるだろう。

そのほか、男性キャラクターで意外な人気を得ていたのは、花森防衛大臣を支える財前統合幕僚長。上映前に財前コスの女性がフロアの注目をさらっていた効果もあるかもしれないが、「かっこいい〜〜」とうっとりした声も聞こえた。

『シン・ゴジラ』で1番黄色い歓声を浴びた男は?

とはいえ、今回の上映で最大級の黄色い歓声を浴びることになったのは……やはり『シン・ゴジラ』で1番頼れる男、泉修一保守第一党政調副会長だ。

矢口蘭堂からの電話に応じて初登場するシーンでは、「フ〜〜〜〜〜〜!」という声援(?)が上がり、その後も矢口と泉のやりとりでは終始「フ〜〜〜〜〜!」と2人の関係性へのアツい歓声(?)が響きつづけた。

泉と矢口の密な連携プレーにより、オタク、厄介者、鼻つまみ者で構成された対ゴジラプロジェクト「巨大不明生物災害対策本部」(以下、巨災対)が始動すると、会場の温度はさらに上昇。巨災対のBGMの「デンデンデンデンデン♪」というメロディが流れるたびに手拍子をする流れが発生した。

巨災対メンバーの安田(高橋一生)の名台詞「冗談ポイッです」に対しての「あんた、バカァ?」というレスポンス、大統領特使カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)の「Win-Win」「Yes!」「ZARAはどこ?」へのハモり、タバ作戦で10式戦車に乗り込んだ自衛隊員(斎藤工)への「たくみ〜〜〜〜〜!」エールなどを経て、訪れたのは中盤のクライマックスとなるゴジラ第4形態への進化。

タバ作戦にはハイテンションな応援を送っていた女性たちだったが、熱光線により都心が焼きつくされ、総理をはじめとした主要な閣僚が死亡するにつれ、スクリーンを見守る表情も真剣なものに。会場は青紫色の光につつまれ、歓声ではなく悲痛な声を漏らす一幕もあった。

矢口とゴジラの邂逅に対する「やっと会えたね」といった声も上がりはしたものの、今回の上映のゴジラはもしかして倒れないのではないか……と思えるほどに、場内全体が、圧倒的なゴジラへの恐れで支配されていた。

しかし、そこから終盤の怒涛の展開にむけて女性たちに希望を取り戻させたのは、やはり『シン・ゴジラ』でもっとも頼れる男、泉ちゃん。

ここまで政府の一員のなかでもっとも合理的な選択を取り続けてきた矢口が、ゴジラの破壊力を目の当たりにしてはじめて憔悴し、秘書官の志村(高良健吾)に声を荒げたのに対し、すかさず「まずは君が落ち着け」と水を投げ渡すシーンでは、待ってましたとばかりにサイリウムとミネラルウォーターをつきあげて「フ〜〜〜〜〜」と叫ぶ女性が続出。「壁ドン」をもじっての「水ドンして♡」うちわを掲げた観客まであらわれ、場内の空気も無事上向きに。

「水ドン」うちわを持つ女性

泉の喝によって何とかメンタルを回復した矢口、間邦夫准教授(塚本晋也)をはじめとする巨災対メンバーの奮闘や、新首相・里見(平泉成)ののらりくらりした外交術、そして無人在来線爆弾、特殊建機部隊のみなさんの頑張りにより、凍結プラン「ヤシオリ作戦」は今回もかろうじて成功。

前回の発声可能上映同様、エンドロールでの「庵野〜〜〜!」「東宝〜〜〜〜!」という絶叫とともに、『シン・ゴジラ』本編は無事幕を閉じた。

尾頭ヒロミ役の市川実日子さんらキャスト登壇

ヤシオリ作戦でのゴジラのごとく、本編上映で全エネルギーを使いきったのではないかと思われた観客一同だったが、上映終了後に、塚本晋也さん、市川実日子さん、松尾諭さんが劇中そのままの姿で壇上にあらわれると、場内のテンションは再度マックスに。

さらに、シークレットゲストとして片桐はいりさんも登壇し、興奮さめやらぬどころかますます上昇するなかで、上映後のトークショーが始まった。

尾頭ヒロミ役・市川実日子さん

「今日はコスプレOKということでコスプレで来たんですが、作中のキャラに寄せるのか、自分でいいのか、どっちでしゃべればいいんだろう……」とつぶやいた尾頭ヒロミ……いや、市川実日子さんは、応援上映の類にそもそも慣れていないのか、終始はにかんだ表情。

ネットでの尾頭ヒロミ人気については知っているようで、なんと「漫画家さんが描いたという尾頭ヒロミのイラストが友達から送られてきたりします」と明かす一場面も。

間邦夫役・塚本晋也さん

ピンクのタオルを首のまわりに巻いて登場した塚本晋也さんも、ふだん滅多に浴びない黄色い歓声に、喜び半分戸惑い半分といった状態で、「ジャニーズになったみたいな気分です」「悪夢? それともいい夢?」と率直すぎる心情を漏らしたが、客席から「いい夢だよ〜〜〜!」と声をかけられて、胸をなでおろしていた。

泉修一役・松尾諭さん

そして泉ちゃん……いや、松尾諭さんは、自身もTwitterをしていることから市川さんより『シン・ゴジラ』ファン事情を察しているようだったが、「発声上映の様子も実は観ていたのですが、ぼくと長谷川さんのやりとりのところで必ず『フ〜〜〜〜』って声が入るのがムラムラするというか……変な気持ちになりましたね」と言って、会場を沸かせた。

ベテラン職員のおばさん役・片桐はいりさん

シークレットゲストの片桐はいりさんは、なんとゴジラが最初に上陸し、破壊の限りを尽くす蒲田の出身。

「そもそも監督たちが蒲田をゴジラの上陸地にしようと現地をロケハンしているときに、いろいろな店で私のサインを見かけたらしくて、それでオファーが来たんですよ」という裏話のほか、「映画館で『シン・ゴジラ』のチケットのもぎりをしているのに誰も気づかない」という衝撃のエピソードも。

MCからの「女性が『シン・ゴジラ』に魅了されている理由は?」という、ともすれば論争を招きそうな質問に対しても、観客の声をうまく拾って「ゴジラの強さ」という結論を導き出して会場の拍手を浴び、劇中以上に頼りになる「おばちゃん」の貫禄を見せた。

「水ドン」シーンは台本にはなかった?

イベントでは、客席からの質問を受けるコーナーも。あこがれの『シン・ゴジラ』キャストに直接質問できるとあって緊張している女性たちに、劇中の「まずは君が落ち着け」という名台詞を投げかけていたのは泉役の松尾諭さん。

しかしその松尾さんが、「印象に残っているシーンは?」という質問に対して、実は「水ドン」シーンは台本にはなかったという衝撃の真実を暴露し、客席中を浮足立たせる展開に。

現場だと差し込みというのがあって、台本にはない演技やセリフが当日紙で伝えられたりするんです。あのシーンはそもそも台本だと、矢口が怒るというのがなかったんですが、当日それが追加されて。怒ってる人にペットボトルを渡す方法というのがわからなくて、しかもペットボトルが奥のほうにあったから、投げ渡すことにしたら長谷川くんが見てなくて、余計怒るという……松尾諭さん発言

また、「早口でしゃべらない人間のシーンはカットされると聞いて、全キャストが早口で演技するようになった」という現場のウワサ話に対して、「とにかく早口でしゃべらないといけないとは聞いていたが、泉については早口じゃなくてもいいと聞いていた。それなのに初めて現場に入ったときに長谷川博己という俳優に『早口でしゃべれないとカットされるよ』とささやかれて、慌てましたね。陥れられました。」と、矢口役の長谷川さんとのよりディープな関係性を披露した。

さらに会場からは、「役について思っていることはあるか?」という質問も。ネット上でもさまざまなキャラクター解釈バトルが繰り広げられている尾頭ヒロミについて、「中の人」の解釈が聞けるか!? と会場の空気はさらに熱気を帯びたものに。

その期待が重すぎたのか、市川さんが「すごく生き物が好きな人だと思った。ゴジラについても見てみたいとか好奇心がすごくあるんだけど……見せないというか……うーん、なんだろう」と言葉につまるも、そこに松尾さんが「かわいい!」とかぶせ、会場一同「かわいい〜〜!」と叫ぶ展開に。 「かわいく……ない!」とすねて、「オガシラオガシラオガシラ……」「どうしよう……わたし……」とややテンパる市川さんだったが、気を取り直して、尾頭ヒロミのノンストップ早口台詞をその場で披露。ガッツポーズをキメて拍手喝采を浴びた。

「水素や窒素とヨウ素が少ない物質を取り入れて細胞膜を通し、細胞内に必要な原子に変換してしまう、ゴジラはその崩壊熱を利用した熱核エネルギー変換生体器官を内臓する混合栄養生物と推測できる」尾頭ヒロミ(市川実日子)のセリフ

『シン・ゴジラ』本編に劣らず終始大盛り上がりだったトークイベントは、あっという間に終わりに近づき、キャスト4人と観客全員でのフォトセッションをもってイベントは幕を閉じた。 1,800人が熱狂したゴジラ女性限定鑑賞会議。すでに参加者によるレポートが続々と上がり、「BDに特典映像として収録してほしい」との声まで上がっている。

社会現象となった「キンプリ」(『KING OF PRISM by PrettyRhythm』)応援上映のように、定期的に開催される日が来るかも?

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イベント情報

『シン・ゴジラ』女性限定鑑賞会議(現在は終了)

日時
8月24日(水)19:10の回(上映後にイベントを開催)
場所
新宿バルト9
登壇者
市川実日子、松尾諭、塚本晋也(以上予定)
※登壇者は予告なく変更となる場合がございます。予めご了承ください。
チケット料金
・レディースデー(毎週水曜女性の方):1,100円
・小中高生:1,000円
・障がい者手帳をお持ちの方(付き添い1名様まで同額):1,000円
※前売鑑賞券もご使用頂けます。ご使用の際は劇場窓口をご利用下さいませ。
※本上映会は女性限定イベントとなります。予めご了承下さいませ。

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