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横浜駅ホームの案内板がなぜか“プロジェクションマッピング風”? JRに理由を聞いてみた

» 2016年08月22日 13時33分 公開
[太田智美ITmedia]

 横浜駅の横須賀線ホームに、ちょっと変わったグリーン車停車位置案内があると、ネットでたびたび話題になっている。立体的な掲示板にプロジェクターで映像を映し出す“プロジェクションマッピング風”の見た目で、言われてみれば確かに不思議だ。



 情報を知らせるならわざわざプロジェクターを用いずディスプレイでよさそうなものだし、投影されている映像の動きには謎のこだわりもみられる。なぜこのような仕様にしたのか。JR東日本横浜支社の担当者に聞いてみた。

案内板を目立たせたい

 「横浜駅の横須賀線ホームは、横須賀線、湘南新宿ラインと数種の列車が停車するほか、ホーム幅も広いため、グリーン車停止位置についての質問が多い。そこで、目を引く掲示物があれば利便性が向上すると考えて設置した」(担当者)

 担当者によれば、従来のグリーン車乗車位置案内よりも分かりやすく、目立つ案内版を開発しようと考えていたところ、「過去に駅のセレモニーで使用したプロジェクションマッピングのような形にしてはどうか」とアイデアが出たのがきっかけとのこと。約2年前から検討を始め、今年になって試験的に設置するに至ったという。


横浜駅グリーン車案内板 (写真)JR東日本提供

横浜駅グリーン車案内板 (写真)JR東日本提供。夜間試験点灯の様子(2016年4月設置直後の画像)。現在の看板には、数字の下部に小さく「動作試験のため表示します。なお、ダイヤ混乱時は表示しません」と書き加えられている

 実はこの企画、「My Project」と呼ばれるJR東日本の取り組みから生まれたプロジェクトの1つ。My Projectは「自ら考え自ら行動する社員」を育成するために、2011年1月にスタートした提案促進活動だ。本企画も「まずはやってみよう」の精神から採用になったという。

 映像の投影には、照明と映像投影機能を組み合せたパナソニックの「スペースプレーヤー」を活用。プレイヤー内部の時計と、事前に入力した時刻表データに基づき、時刻に応じた文字やマークをプロジェクターで掲示器に投影している。発車時刻から1分間は表示をいったん消し、その後自動的に表示を切り替える仕組みだ。


横浜駅グリーン車案内板

 立体物に投影するのは、平面への投影よりも表示内容を強調するため。映像に動きを付けたのも、静止画よりも目を引く効果を期待したからだという。




 この掲示器は現在、横浜駅横須賀線ホーム10番線側(柱番号7付近)に1台だけ設置し、案内効果について検証している段階だ。土日のみ稼働し、列車ダイヤが乱れた場合にも使用は中止するという。試験運用は8月いっぱいを予定している。


横浜駅グリーン車案内板 投影前の案内板

横浜駅グリーン車案内板 投影後の案内板

横浜駅グリーン車案内板 パナソニックの「スペースプレーヤー」から投影

横浜駅グリーン車案内板 下から見ると、案内板自体がボコッと飛び出ているのが分かる

 同設備が正式採用されるかどうかはまだ決定していないが、採用された場合は他の駅やホーム、グリーン車の停止位置案内以外での活用も視野に入れているという。現段階では立体物に映像を投影するという単純な仕組みだが、今後さらなる展開も期待できそうだ。

太田智美

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