米刑務所では今やラーメンが「主要通貨」

中華めん

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画像説明, 米国の刑務所でラーメンは色々な物やサービスと交換できるという

米国の刑務所では今やたばこよりもラーメンが、最も兌換性の高い主要通貨になりつつあるという研究が発表された。米アリゾナ大学博士課程の研究生が発表した。

社会学専攻のマイケル・ギブソン・ライト氏は論文で、刑務所で支給される食事の量や質が長年にわたり低下しているという職員や服役囚の話を紹介し、それが中華めんの価値向上の理由ではないかと類推している。また食事内容の劣化は、深刻な結果につながりかねないと指摘する。

「ラーメンは安いしおいしいし高カロリーなので、どんどん価値が上がっている。あまりに貴重なため、他の物との交換に使われている」とギブソン・ライト氏。

「服役囚は、支給される食事の質と量への不満が非常に強く、それゆえに地下経済の通貨としてラーメンに頼りはじめている。ラーメンは安く、日持ちする食品だ」とギブソン・ライト氏は書き、「刑務所の地下経済においてでさえ、通貨単位はそうそう頻繁に、あるいは簡単に変わったりしない。通貨が変わるには大問題か衝撃的な出来事がきっかけになる必要がある」と補足した。

ラーメンは、他の食品や衣類、衛生用品といった物との交換に使われるほか、洗濯や寝床の掃除といったサービスの対価としても使われている。また、賭けトランプやアメフト賭博などの賭け事にも使われ、切手や封筒といった伝統的な刑務所内「通貨」にとって代わりつつあるという。

複数の刑務所内の複数グループ間でこの変化が確認されており、刑務所内でたばこ製品が禁止されたことがきっかけではないという。

ギブソン・ライト氏は、食事量の低下が服役囚の生活の質にどう影響するか、さらに研究が必要だと指摘する。

米刑務所局によると、各州が2010年に服役囚に使った予算は約485億ドル(約4兆8500億円)で、2009年の5.6%減だった。

一方で服役者の人数は増加傾向にあるという。