日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。

危機対応にマネジメント、リーダーシップ――。映画「シン・ゴジラ」は様々な情報の糸が織り込まれてできた作品だ。日経ビジネスオンラインでは、その圧倒的な情報を多面的な専門家に解きほぐしてもらう特集「『シン・ゴジラ』、私はこう読む」を組んできた。ツイッター(@nikkeibusiness)やコメント欄を通じて読者にも同作品の「読み方」について意見を広く募ったところ、猛者が現れた。松本健太郎氏、マーケティングメトリックス研究所の所長を務める。データビジュアライゼーション(データの可視化)専門家の筆者が、ゴジラが上陸して進んだ経路を妄想して分かったこととは。

 7月29日から公開された「シン・ゴジラ」。

 「Persecution of the masses」や「Who will know」といった悲壮感漂うも美しいメロディに合わせて巨大不明生物・ゴジラに破壊される街並み、逃げ遅れる人々を見て私は思いました。

 「この悲劇の行進を図で表現したい!」

 これはデータサイエンティストとしての職業病のようなもので、見たものは測りたいし、分かりやすく表現したいのです。

 そこで、今回は何度も鑑賞し、パンフレットを読み込み、ブログ「音楽と城と時々アニメ」さんの記事など、ネット上での様々な意見を自分なりに咀嚼しながら、ゴジラ初上陸・2回目上陸の進路を推測してみました。今後、シン・ゴジラについての議論をする際の基本資料となるようなものを作ることを目指しました。

初上陸:2時間のうち、どこを通ったか?

 多少の推測が混じりながらも、この道を通ったであろうという確信をもって初上陸の進路をマッピングしました。

 進路の全貌はtableauというデータビジュアライゼーションのアプリで明らかにしています。以下の通りです。

 巨大不明生物が初めて姿を見せたのは、東京湾近辺(神奈川県東扇島から南東2~3km)です。

 その後、尻尾を海面から突き出しながら、東京湾アクアライン、首都高速道路を破壊し、羽田空港D滑走路と浮島の間を通過、多摩川を遡上し始めます。東京湾内封鎖に伴う羽田空港全便欠航は正しい選択となりました。

 そのまま多摩川をひたすら遡上すると思いきや、いきなり右折して弁天橋を通過、海老取川に侵入すると、しばらく進んで今度は左折して呑川を遡上し始めます。呑川のシーンしかないのでここは憶測ですが、そうじゃないと辿り着けないので間違いありません。

最初の上陸は羽田D滑走路横から蒲田駅付近へ(地図の著作権についてはこちら→<a href="http://www.openstreetmap.org/copyright" target="_blank">License</a>)
最初の上陸は羽田D滑走路横から蒲田駅付近へ(地図の著作権についてはこちら→License
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 水蒸気を吹き上げながら、船舶・橋梁を破壊し呑川を遡上する巨大不明生物に対して、政府は「上陸しない」と大河内首相自ら会見に臨みますが、その場で巨大不明生物上陸の一方が届きます。これがおよそ11時32分。

 さて、上陸地点はJR蒲田駅近くのあやめ橋になると思います。上陸後はそのまま北進し始めます。

 この道をひたすら真っ直ぐ進む姿を緊急災害対策本部の面々が見ているわけです。ちなみに巨大不明生物の速度は時速13km。「図体はでかいのに遅いなぁ」と、まるで他人事のように閣僚がつぶやいていましたが、いやそうしている最中にも人が死んでるんやで!と突っ込みました。

 上陸地点については、「あやめ橋上陸後、北進ではなく西進して商店街を横切り池上通りに進んだ説」が一部にありますが、これは採択できません。

ゴジラはどのようにして池上通りへたどり着いたのか(<a href="http://www.openstreetmap.org/copyright" target="_blank">License</a>)
ゴジラはどのようにして池上通りへたどり着いたのか(License
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 地図上、西進して池上通りに合流するには東海道本線を必ず横切らないといけません。

 JR蒲田駅北側に京浜東北線の下を通過する約100mのトンネルがあるのですが、第2形態の巨大不明生物の身長は28m、全長は122mあります。這うように進んでいるにしろ、間違いなく破壊され、京浜東北線は甚大な被害を受けることになります。

 しかし巨大不明生物が上陸した翌日の報道では「鉄道は京急を除いて通常通り運行…」とアナウンスされているので、ここに矛盾が生じます。

 では、なぜそうした説が流布されたかというと、巨大不明生物が北進する右手に鹿島神社が描かれたシーンがあるからです。ということは、巨大不明生物は都道421号(通称・池上通り)を移動していることになり、あやめ橋北進説に疑いがかかるわけです。

 池上通りは京浜東北線の西側にあります。いつ巨大不明生物は京浜東北線を破壊することなく横切ったのでしょう?

 恐らく、あやめ橋上陸後北進して約2km、環七通りとの交差点に差し掛かった時だと思われます。映像には無いですが、巨大不明生物はこの交差点を左折、しばらく進み春日橋陸橋から池上通りに合流したと考えられます。

筆者は「あやめ橋上陸説」が有効と分析する(<a href="http://www.openstreetmap.org/copyright" target="_blank">License</a>)
筆者は「あやめ橋上陸説」が有効と分析する(License
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 京浜東北線は春日橋陸橋の下を通過するので破壊せずに済みます。ただし、なぜ陸橋を破壊してまで池上通りに合流したのか?という謎は残りますが、池上通り登場の根拠が示せるので「あやめ橋上陸説」は手堅いかと思われます。

 巨大不明生物はひたすら池上通りに沿って進み、JR東海道本線の上にかかる陸橋を通って、線路を破壊することなく北進。やがて第一京浜との交差点に差し掛かると左折、今度は第一京浜を北上し始めます。その後、北品川2丁目の交差点を右折し、山手通りを進むも、聖蹟公園の交差点で左折し、やがて第3形態に進化します。

 ただし、そうなると京急新馬場駅の破壊は免れません。そんな描写がどこにも無かったので、考えられる第2のルートを挙げてみます。

第三形態に進化する地点までのゴジラの経路は2パターン考えられる(<a href="http://www.openstreetmap.org/copyright" target="_blank">License</a>)
第三形態に進化する地点までのゴジラの経路は2パターン考えられる(License
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 それは第一京浜との交差点で左折せず、そのまま進み、八潮高校交差点で左折するケースです。この道を直進すれば、第3形態に進化したポイントに到着します。ただし劇中、第一京浜北上中、という声があったので、最初の案が有力です。というわけで、京急は北品川駅および新馬場駅が破壊されたことになります。

 第3形態に進化した巨大不明生物は、その長い尻尾で北品川駅を破壊し、車両を第一京浜にまで投げ飛ばします。

 ちなみに、第3形態に進化した巨大不明生物の位置から北品川駅までおよそ距離にして100m。身長57m、全長168.25mの第3形態に進化した巨大不明生物にとって、尻尾が長さ的にギリギリ届く距離です。計算し尽くされていますね。

ゴジラは尻尾で京急「北品川駅」を破壊。大きさから考えれば矛盾はない(<a href="http://www.openstreetmap.org/copyright" target="_blank">License</a>)
ゴジラは尻尾で京急「北品川駅」を破壊。大きさから考えれば矛盾はない(License
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 やがて八ツ山橋交差点に差し掛かろうとして、謎の咆哮をあげ、京浜運河経由で巨大不明生物は東京湾へと去りました。そのまま運河に直進したのだとしたら、ちょうど「ラーメン二郎品川店」あたりが直撃を喰らうはず。大丈夫だったのでしょうか…。

 微量の放射性物質が発見された場所の巨大不明生物の進路が完全に一致したシーンでは、もう少しジグザグしていたように感じるのですが、こんなものでしょう。

 この進路から言えることは、①京急が不憫、②巨大不明生物の重さに耐えた日本の陸橋は凄い(春日橋陸橋説を採択するなら)、③上陸から40分で射撃命令を下すまでの準備を短時間(実際は20分程度?)で整えた自衛隊の優秀さが浮かびます。

 初上陸から第3形態進化まで距離にして約8.5km、時速13kmですから約40分間の地獄の所業ということになります。12時半には第3形態となり、「AH-1S」にガン飛ばしていたわけです。

 死者・行方不明者は100人を超すと報道でもあったのですが、お昼時だったので、ガスを使っていたご家庭も多くあったことでしょう。被害が拡大する理由にもなったと想像します。

 そう考えると、避難から逃げ遅れる人がいることも頷けます。特に「まさかこちらに来るとは思っていなかった」と考える人にとっては。ちなみに東日本大震災では地震発生後、約40分以降に各地を大津波が襲ったようです。40分でできることなんて、とにかく逃げることしか思い浮かびません。

 映画が問題提起する「現在の日本に巨大な生物が出現したらどうなるか」という問いに、巨大不明生物初上陸では政府は為す術なく完敗という結果に終わりました。

熱線の範囲から見えてくる意外な真実

 続いて2回目の上陸を見てみましょう。初回は巨大不明生物の破壊と混乱に焦点が当たっていたため移動経路は分かりやすかったのですが、2回目は対ゴジラ戦攻防を中心に描かれてたため、あまり移動経路が分かりません。

 かなりの推測が混じっていますが、地図にマッピングしました。

 全貌の進路は先ほど同様、tableauというデータビジュアライゼーションのアプリで明らかにしています。以下の通りです。

 まず2回目は、神奈川県藤沢市江ノ島近辺(南西2~3km?)の登場から始まります。その後、稲村ヶ崎を通過、由比ヶ浜にある鎌倉浜海浜公園から上陸します。稲村ヶ崎でゴジラを見ている人の足元の影から、時間にして11時ごろではないかと推察します。

 そのまま真っ直ぐ進むと思いきや、江ノ島電鉄由比ヶ浜駅付近で大きく旋回、右に進みます。その後は、江ノ電沿いに、鎌倉駅以降はJR横須賀線沿いに北進。ゴジラって電車好きやなぁ、と考えさせられます。

 どこかのタイミングで一度東側に寄り、横浜市栄区上郷を横断。その後、ひたすら北進を続け、旭区近辺で再び左折し、横浜市を横断し終えると、川崎市武蔵小杉駅に到着します。

 時間は不明なのですが、ビルに西日が射していることから推察するに、午後3時から4時だと思われます。ということは、登場から武蔵小杉到着までの約35kmを4時間強かけて移動したことになり、時速約8kmと、第2形態より速度が遅くなっていることが分かります。

 ちなみに、ここにいたるまでにJR根岸線・横須賀線・横浜線、東海道新幹線、横浜市営地下鉄ブルーライン・グリーンライン、相模鉄道本線、東急東横線を破壊している可能性が高いです。

 鎌倉から北進するだけでここまでの鉄道を破壊するということは、いかに鉄道網が張り巡らされているかが伺い知れます。映像には無いですが、被害を受けたであろう場所を想像できるのも、地図にマッピングできたからこそです。

「内閣総辞職ビーム」「火炎放射」の被害地域はどこなのか

 多摩川の丸子橋第一グラウンド近辺で、ゴジラ対自衛隊の対決(タバ作戦)が行われます。自衛隊は完敗し、ゴジラの東京都侵入を許すわけですが…。

 ゴジラはさらに大田区、世田谷区、目黒区を横断、東に進み続け、やがて新橋に到着します。そう、この映画の見せ場の一つである光線と熱線攻撃(通称「内閣総辞職ビーム」)の現場です。

 既に場所は特定されていて、西新橋二丁目近辺だと思われます。ちなみに直ぐ近くにラーメン二郎があり、ゴジラが「ジロリアン」なのか、二郎が都内各所にあり過ぎなのか、判断に迷います。

 話を本筋に戻します。内閣総辞職ビームによって、どこからどこまで燃えたのか。被害の全貌が掴めていません。

 米国の爆撃機「B-2」は、標的から半径8マイル(約13km)以内ならGPS誘導でピンポイントに狙えるそうですが、ゴジラは見事にビームで破壊しています。ビームですべては破壊されたのでしょうか。ビームで狙える半径約13km圏内を地図で見ると、浦安のディズニーランドを含む都内23区がすっぽりと収まってしまいます。

ゴジラを中心に半径8マイル(約13km)の地域。ビームがすべてを破壊するなら、浦安までが壊滅することに(<a href="http://www.openstreetmap.org/copyright" target="_blank">License</a>)
ゴジラを中心に半径8マイル(約13km)の地域。ビームがすべてを破壊するなら、浦安までが壊滅することに(License
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 しかし実際には都内の千代田、港、中央3区に甚大な被害を与えたことになっているので、壊滅説は採択できません。

 被害の全貌はどうなっているのか。ここはビーム(銀座を横に真っ二つにしたり、首相官邸から飛び立つヘリを微塵にしたり)と、火炎放射(主にゴジラの口から出た)の攻撃に分けて考えてみます。

 まずビームですが、これは「近くにいる飛行物体を全て撃ち落とす習性」ではないかと考えます。ゴジラ放熱地点から首相官邸までは約1km、一方で約13km先の爆撃機も墜落させるのですから、光線はそういうものだと納得してもいいかもしれません。

 その理由として、横に真っ二つになった銀座の和光・松坂屋は約1.3km、ただしその先にある倒壊を免れた歌舞伎座タワーはそこから500mも離れておらず、ビームの範囲、長さは変えられるのではないかと考えられるからです。

 ビームを放っている最中、新橋、浜松町、霞が関が火の海になるシーンがありました。これが火炎放射の威力だと思われます。

 立川で国交省、総務省、警視庁はなんとか直撃を免れたという報告があったので、半径1~1.2kmくらいが燃え尽くされたと考えるべきです。そうなると、面白い事実が浮かびます。なんと、ギリギリで皇居に火炎放射が届かないのです。

ゴジラの火炎放射、皇居にはギリギリ届かない設定?(<a href="http://www.openstreetmap.org/copyright" target="_blank">License</a>)
ゴジラの火炎放射、皇居にはギリギリ届かない設定?(License
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 そもそも、シン・ゴジラに「皇室」の存在は全く描かれていません。

 しかし、存在を伺わせるシーンはあって、米国が日米安保に基づく駆除協力のため爆撃予定範囲を政府に通達した際、地図の中で真っ白な箇所(爆撃しない箇所)が一瞬映りましたが、それは皇居だったと推察されます。

 描けていないのではなく、あえて、ばっさり無くしたのではないでしょうか。そのあたりの理由を、実際の「有事」にあった枝野元官房長官に聞かれたのかもしれません。

 新橋から約2.3km南西に進めば六本木があるので、シンボルマークとしての六本木ヒルズ崩壊などは絵になったのかもしれませんが、同心円状に被害が広がると仮定すると避けては通れない建物があるわけで、なかなか計算し尽くされた結果だったことが伺えます。

ゴジラはどのようにして東京駅にたどり着いた?

 最後のクライマックスには「密室の謎」があるのを皆さんご存知でしょうか。順を追って説明します。

 東京駅構内線路上で活動停止中のゴジラを新幹線爆弾で無理やり起こして、無人機による攻撃でエネルギーを枯渇させ熱線を封じ込め、さらに周囲の高層ビルを倒壊。なんとかゴジラを八重洲口方面に転倒させると、口から血液凝固剤を投入し始めます。

 再び立ち上がったゴジラに対して、今度は無人在来線爆弾が襲いかかり、丸の内側に再転倒させることに成功。一定量以上の血液凝固剤の投入に成功し、こうしてゴジラを凍結させることに成功した。めでたし、めでたし。

 では無いのです。最大の謎は、ゴジラはどうやって東京駅構内線上に辿り着いたのか?ということです。

 まず新幹線爆弾ですが、線路は八重洲口側にあります。東京駅構内で脱線することなくゴジラの足元で爆発したと考えると、八重洲方面の線路の損傷は無かったと考えられます。

 となると、ゴジラは新橋から北上して丸の内口から東京駅に侵入したと考えられますが、パンフレットや劇中映像を見る限り、休眠中のゴジラを映したシーンでは東京ステーションホテルは無事だし、丸の内南口に損傷の痕もありません。

 また、無人在来線爆弾は上野方面・大阪方面から挟み込むように1番線から6番線ホームに進入しているため、丸の内側から進入したとなると双方面からの攻撃が難しくなります。

 あれ?完全な密室です。どうやってゴジラは東京駅構内に侵入したのでしょう。

ゴジラはいかにして線路を破壊せず東京駅にたどり着いたか(<a href="http://www.openstreetmap.org/copyright" target="_blank">License</a>)
ゴジラはいかにして線路を破壊せず東京駅にたどり着いたか(License
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 唯一考えられるルートとしては、駅の北東(日本橋口・八重洲北口)から東京駅に侵入した可能性です。

 新幹線爆弾が東海道新幹線のみだったのも、東北・上越新幹線が攻撃に参加できなかった点から推察して、日本橋口・八重洲北口からゴジラが侵入したので線路が崩壊したからではないでしょうか。パンフレットで見ても、東京駅東北側の損傷が激しいです。

 となると、ゴジラは新橋を横切って東に進み、汐留・銀座・有楽町付近を通過して東京駅に回り込むようにして侵入した場合のみ、密室は成立しなくなります。

ゴジラは新橋、銀座を通って東京駅へと筆者は分析(<a href="http://www.openstreetmap.org/copyright" target="_blank">License</a>)
ゴジラは新橋、銀座を通って東京駅へと筆者は分析(License
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 ただしそうなると、東海道新幹線、山手線、京浜東北線が破壊されてしまうので、新幹線爆弾や無人在来線爆弾作戦に支障をきたします。そこが破壊されてしまうと新幹線爆弾はどこからやってきたのか?という話になります。

 可能性としては「突貫でJR東日本・JR東海が工事した」ことです。ゴジラは飛来物を察知することはできますが、足元のタンクローリーには気付けませんでした。

 また、矢口たちは科学技術館から戦闘の行く末を見守っていましたが、東京駅からの距離にして約1.6kmです。一方で新橋駅界隈も同じく約1.6kmあります。

 近付くもの全てを破壊する習性がある、でも矢口たちは対象になっていない(ちなみに歌舞伎タワーは東京駅から1.2kmほど。どこまで人は近付けるかというヒントかも)。よって破壊された線路の修理もゴジラに狙われることなく、たった2週間で完成させたという可能性は残ります。

 日本の技術、凄いなぁという感想を抱かざるを得ません(実現するかは別として)。

「マッピング」で見えてきたこと

 断片的な映像を地図に当てはめることで、考えられる仮説と、様々な事実が浮かび上がってきました。

 文章ではなく、グラフなど図化して気付くこと、閃くことがあります。グラフとは、視覚的に文章を表現することなのです。それが今回の上陸進路マップで伝われば幸いです。

 恐らく庵野監督は分かっていて映像を出しているのではないでしょうか。

 私のような「断片的な情報を繋ぎ合わせて事実を浮かび上がらせる」ことが好きな人間に、格好のエサを与えていただいて感謝します。

読者の皆様へ:あなたの「読み」を教えてください

 映画「シン・ゴジラ」を、もうご覧になりましたか?

 その怒涛のような情報量に圧倒された方も多いのではないでしょうか。ゴジラが襲う場所。掛けられている絵画。迎え撃つ自衛隊の兵器。破壊されたビル。机に置かれた詩集。使われているパソコンの機種…。装置として作中に散りばめられた無数の情報の断片は、その背景や因果について十分な説明がないまま鑑賞者の解釈に委ねられ「開かれて」います。だからこそこの映画は、鑑賞者を「シン・ゴジラについて何かを語りたい」という気にさせるのでしょう。

 その挑発的な情報の怒涛をどう「読む」か――。日経ビジネスオンラインでは、人気連載陣のほか、財界、政界、学術界、文芸界など各界のキーマンの「読み」をお届けするキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を開始しました。

 このキャンペーンに、あなたも参加しませんか。記事にコメントを投稿いただくか、ツイッターでハッシュタグ「#シン・ゴジラ」を付けて@nikkeibusinessにメンションください。あなたの「読み」を教えていただくのでも、こんな取材をしてほしいというリクエストでも、公開された記事への質問やご意見でも構いません。お寄せいただいたツイートは、まとめて記事化させていただく可能性があります。

 119分間にぎっしり織り込まれた糸を、読者のみなさんと解きほぐしていけることを楽しみにしています。

(日経ビジネスオンライン編集長 池田 信太朗)

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