『NASAの発表で全米錯乱』『星座が変わった』というデマを広める、その前に。（天文学と占星術編）

このまとめの概略

NASAの公式な否定はこちら

ツイートを訳すと、
「NASAが黄道十二星座を13星座に変えたって？いいや、私たちはそんなことは言っていない。私たちが書いたのは（天文学としての）計算上の話だ。」

あまりにも広まってしまっているせいかその後数日に渡って同じ内容で注意喚起をしています。

内容は…

• 天文学と占星術は違うということ
• NASAがやっているのは科学的な天文学(Astronomy)であって、未来を予言したり個々の誕生日に基づいて性格や生き方を決めたりするような占星術(Astrology)ではない
• 黄道十二星座はどうやって定められているか（太陽が通る道の話）
• 黄道十二星座を定めたバビロニアの人たちは暦の12の月に合わせるため敢えて「へびつかい座」を除外して黄道を12に分け星座を当てはめた
• おおよそ3000年が経った現在では地球の歳差運動によって春分点の移動などが起こっている（が、占星術での星座は文化としてずっとそのまま）
• 実際の天球上では太陽がおとめ座の範囲を通る期間（45日）とさそり座の範囲を通る期間（7日）は大きな差があるが、占星術上の黄道十二星座はみんな同じ期間となるように定められている。
  （近年出てきた13星座占いではこの天文学的な現実をわざわざ取り入れているために日付の変更が起きている。 後述）
• しかし、実際の科学的な観測を基にした学問である天文学と古代から続く歴史的文化的な占星術が違うからといって別に「今までの12星座を廃して13星座にしろ」などとは言っていない。 NASAがやっているのは天文学である。

デマが広まった経緯

大まかにまとめると

NASA公式の教育向けの解説(Space Place)
（2015年に書かれ2016年1月に更新されたもの）
↓
Cosmopolitanなどが誤解して記事を書く
海外のバイラルメディアなどを介して広まる
（9月16日〜17日頃）
↓
NASA公式が否定する（公式Twitterでは9月21日）
↓
海外のGizmodoなどがNASAに取材して訂正記事を書く
Cosmopolitanなども訂正する（9月19日〜22日頃）
↓
カラパイアが記事を書く（9月23日）
↓
Twitterやまとめブログ、バイラルメディアなどを介して日本でも「星座が変わった」と広まる

大元のNASAの記事は

終盤に噂の火種となった13星座にまつわる話が出てきますが、ここでは「バビロニアの人たちが暦上の12の月に合わせるためにへびつかい座を除外した」というだけで、その次のMimiという子の誕生日の話は13星座ではなく春分点の移動の話です。
そのため、もし現代的に計算すれば8月4日はしし座からかに座になる（あくまで巷の占星術のように日付を星座に当てはめれば）という例を出しています。

そしてこの話が数ヶ月後に「へびつかい座の加わった13星座」と紐付けされ…

Gizmodoなどの取材によってNASAは公式に否定します