家電製品ミニレビュー

ドライフルーツだけじゃなく保存食作りにも! フードドライヤーが万能すぎる!

 ドライフルーツ大好き。普段小腹が空いた時は、お菓子ではなくドライフルーツやナッツを食べることが結構多い私。優しいフルーツの甘さがギュッと濃縮されていて、フレッシュフルーツとはまた違う美味しさがたまらなく好きなのだ。これが家で作れたら、作れたら……作れるのです!

箱からしてめちゃくちゃおしゃれ! そして想像以上に大きくてびっくりした
メーカー名プリンセス
製品名フードドライヤー 112381
価格(編集部調べ)12,830円(Amazon)

 今回は家庭でドライフードが作れる「Food Dryer(フードドライヤー) 112381」をじっくり使ってみました。このフードドライヤー、見た目がまずおしゃれ! こちらオランダの家電メーカー「プリンセス」の製品。そのスタイリッシュな見た目に「へぇ、オランダかぁ」となんだか納得。シンプルだけれどとてもおしゃれ。大きさは35cm四方と、設置すると結構大きく感じるけれど、インテリアとしても邪魔しないので、スペースさえ許せば大きさは許せる。格好いいのでむしろ常設したいくらい!

おしゃれ家電! インテリアを邪魔しないスタイリッシュな作り。存在感はある

まずはドライフルーツに挑戦

 まずはドライフルーツを作ってみようと、キウイフルーツ1パック5個入りを買った。3mm程度の輪切りにしてトレイに並べていく。結構な量があるつもりだったけれど、実際に並べてみたらトレイ6段のたった2段分。1度にかなり作れることに驚く。

トレイは6段。広げて並べると結構な面積を占める
皮をむいたキウイを3mm程度の厚さに切って並べる。そのままでも美味しそう

 使わないトレイは外しておいて、2段だけ本体にセットして乾かしていく。60℃で8時間。温度は40〜70℃で10℃単位、時間は4〜16時間で2時間単位で設定可能。電源スイッチを入れて、温度と時間を設定するだけで開始される。スタートボタンは無い。しばらくしてトレイを横から触れてみると、「おっ」と一瞬手を引っ込めてしまう感じで結構熱い。さすがドライヤー。もちろん火傷するような温度では無い。音は普通のドライヤーのようなゴーという音には程遠いけれど、それでも換気扇位の大きさの音はする。置き場所によってはうるさいと感じるかもしれないので、設置場所に気をつけたい。

食材を乗せているトレイだけを重ねて蓋をしてスタートする

 待つこと、というか寝ること8時間。ピーピーというブザーと共に乾燥完了! カラッカラのペラッペラのドライフルーツに仕上がった! フードドライヤー面白い!

 食べてみると、キウイの種のつぶつぶがプチプチして食感は最高。味はキウイフルーツの酸味がさらに際立って、甘いというよりも酸っぱい! 普段食べているドライフルーツは結構な量の砂糖が使われていることを実感する。フルーツは砂糖を入れなくても果糖という糖分が多いのに、それを乾燥させて濃縮させた上に追加で砂糖をたくさん使ってるって、想像すると結構ゾッとした。普段私が何気なく食べてるドライフルーツ、砂糖の塊を食べてたようなものかも! 自分で作ってみて初めてそんなことを考えることができるので、何事も体験だなぁと思った。

8時間後、見事に乾いてドライフルーツになっている
ドライフルーツにしたキウイと生のキウイ。少しだけ色が変わる程度
水分が無いのでカビなどは生えにくいと思うが、ジップ付き袋に入れて冷蔵庫で保存することに

 第1弾のキウイフルーツを作ってみて、一度にかなりの量が作れるということが分かったので、「買いすぎかな?」と思いつつ、フルーツをどどーんと用意してみた。切って並べて切って並べて……。パイナップルが4分の1個余っただけで、全てトレイに並べることができた。「こんなに薄くてコンパクトなのに!?」と、今回このフードドライヤーを使って一番驚いたのはこの容量だ。

さすがに多すぎたかなと思う量のフルーツを準備
切って並べるだけで疲れた。でもその光景は壮観!

 このフードドライヤーは、素材の厚さによって2種類の重ね方ができる。トレイのツメを交互にして重ねると、トレイ一段一段の間隔が狭く、ツメを同じ方向に重ねると広めになるのだ。フルーツは全部3mm程度の厚さに切っているので狭めに重ね、60℃・8時間設定で一晩待機。

トレイは食材の厚さに合わせて2通りの重ね方ができる

 朝、いつもと違う目覚めに「おや?」という気分に。ここは常夏の島なのか!? と言いたくなるくらいに、トロピカルなフルーツの匂いが部屋中に溢れていた(笑)。ワクワクしながら蓋を開けてみると、あんなにたくさんあったフルーツが乾燥して小さくなっている! なんて威力なんだろう。以前、別のフードドライヤーを使っていた事もあるが、その時は全部のトレイを重ねて使うと、下の2段くらいまでしか乾燥できず、上の数段はほぼ乾燥できず生のままだった。このフードドライヤーの風の循環能力はすごい!

6段見事にドライフルーツ。変色しやすいフルーツとしにくいフルーツがある

 とはいえ、よく見るとやはり一番下段に比べて一番上段のフルーツはセミドライくらいな仕上がり。タイマーの途中で上下トレイを入れ替えるとムラなく仕上げる事ができるはず。私のように就寝前に仕込む場合は、60℃で6時間、起きてトレイを入れ替えて、60℃で4時間ほど追加して乾燥させるくらいが丁度いいのかもしれない。

 もちろんセミドライのドライフルーツが好きな人は、もっと短めの時間でいいと思う。自分の好きな硬さを追求して素材の厚さ、温度、時間を調整していきたい。大量に出来たドライフルーツを消費しながらと思うと、自分にとって最高を追求するにはまだまだ時間がかかりそうだけれど(笑)。バナナとか黒っぽくなっていて、レモン汁でもかけておくと変色しなかったかな、なぁんて思っていたら、基本のレシピに「変色を防ぐためにレモン汁をかけておきます」って書いてあった。説明書はちゃんと読むべきですね(笑)。

ドライフルーツのクリームチーズ。豆腐を使った白和えにしか見えない(笑)

 大量にできたドライフルーツはジップ付き袋に入れて保存。好きな時にドライフルーツが食べられるって幸せー! 今回はカラッカラに乾燥しているので常温でも大丈夫だろうと思いつつ、冷蔵庫で保存している。パクパク食べれちゃうドライフルーツだけれど、乾燥して小さくなっているだけなので、食べ過ぎには注意! 作ったドライフルーツを細かく切って、クリームチーズと混ぜて、ワインに合うおつまみなんかにも大活躍! 夫は「美味しい! 美味しい!」と喜んで食べてくれたけれど、イチゴやクランベリーなどの赤い系のフルーツが無いと、見た目が完全に白和え。色合いって大事だなぁと思った!

次はドライトマト!

 ベリー系のフルーツもいいけれど、今の季節の赤いものといえばトマト! ドライトマト作っておいたら料理にも使えるんじゃない? と思って作ってみることに。旬の野菜って安いのも嬉しいところ。うちの近所には野菜の直売所みたいなところがあって、美味しい旬の野菜が安く手に入るのだ! ドライフードメーカーにセットするにはミニトマト。半分に切って並べていく。トマトはちょっと厚さがあるので、トレイのツメを同じ方向に重ねて幅広めにセット。干す時間がよく分からないので、ドライフルーツと同じく60℃で8時間設定にしてみた。

小さめのドライトマトを半分に切って皮を下にして敷き詰める
厚みが出るので、トレイの間隔を広めで重ねる

 8時間干したトマトは見事にカラッカラに乾燥。色も変わらずにキレイ! 一つ食べてみたら「甘い!!!」と、フルーツ以上にドライフルーツ感がすごい。甘みと旨みがギューっと詰まってる感じでとにかく美味しいのだ!

見た目も綺麗な仕上がりに感動! 水分は全部飛んでいる

 このままで食べても美味しいけれど、これで作ったパスタは絶対に美味しいぞ! と思って、翌日はドライトマトのパスタを作ることに。ペペロンチーノを作る要領で、オリーブオイルにニンニクを入れて香りを付け、鷹の爪を入れてからツナ缶を1つと、ドライトマトをドバーッと。塩を入れてちゃちゃっと火を通して、そこに茹でたパスタを絡めて完成! 見た目はトマトの赤が綺麗で美味しそう。乾燥野菜は、火が通ると味がしみるのがすごく早いので、素晴らしい時短素材というのが嬉しいところでもある。

ドライトマトのパスタは簡単な上に絶品!

 作ったパスタは「お店できるー!」なんて、はしゃいじゃうくらいにものすごく美味しかった。夫も目を見開いて「これめっちゃくちゃ好きー!」と喜んでくれて、続けて何食か作ったくらい。トマトが旬の今、大量のドライトマトを作って保存しておきたい! 水分が残っているセミドライ仕上げにした場合は、あまり日持ちしないので、オリーブオイルやハーブなどと一緒に「ドライトマトのオイル漬け」にしておくと、長期保存ができて料理にも使いやすいと思う。ドライトマトは私の一押しでございます!

干し野菜も簡単

 夏野菜のドライでオススメなのがトマトなら、冬は大根だ。大根を干すというのは、日本で昔から保存に使われている手法だ。ドライフードメーカーだったら一晩で切り干し大根もできちゃう。旬ではないけれど作ってみた。

 大根はざっくり粗く切っていく。大きすぎるかな? と細めに切っちゃいがちだけれど、大根はほぼ水分だ。水が飛んだらびっくりするほど小さくなる。以前、切り干し大根を作った時に、千切りピーラーを使って細く切ったら、出来上がった時に畳鰯のような仕上がりになって唖然としたことがある。大胆に3mm四方くらいに切っていく。この時期の細めの大根2本で、丁度トレイ6段分の量になった。

大根を切り干し大根にする。かなり小さくなるので傾向大きめにざっくりと切る

 60℃で8時間置いてみたけれど、上の段を中心に生の大根が結構残った。2本分全部乗せたくて、最後の方は無理やり敷き詰めた感じになっちゃったけど、やはり適度な隙間は熱風の循環に不可欠だったなぁと反省しつつ、トレイの上下を入れ替えてさらに4時間。ほぼ切り干し大根になったけれど、ちょこっとだけ生部分が残ってしまった。一緒に保存しておいてカビが生えるといけないので、乾燥していない部分は省いてジップ袋に入れる。大根2本が本当に小さな袋1袋に収まる。冬に大根が安くなったら大量に作りたい! 冬は他にも白菜なども干しておくと、時短で味染み染みの煮物やお味噌汁などができるので、野菜が使い切れず余った時や、すごく安かった時などに迷わず乾燥させる事をオススメする。

ほぼ切り干し大根になっているけれど、所々乾燥しきれていない部分も残っている
大根2本がたったこれだけの切り干し大根に。保存にもかさばらない!

ポテトチップスが作れる!?

 このドライフードメーカーには、12種類の料理レシピリーフレットが付いているので参考にしたい。それとは別に取扱説明書にも基本のレシピだけは載っている。ドライフルーツの作り方と一緒に載っているもう1つの「基本的な」レシピが、ポテトチップスだ。読んだ時に「えー!? ポテトチップス??」と驚いた。ドライフードメーカーでポテトチップスを作るという発想が全くなかったからだ。

 作り方は簡単。皮をむいたジャガイモを薄く切って、お湯で茹でてから、タオルペーパーなどで水気を取って乾燥させるというものだ。揚げないポテトチップスどころか焼きもしないのだ。半信半疑で作ってみた。じゃがいも3個を並べるとちょうど2段分。1段目には塩とブラックペッパーを、2段目には塩とガラムマサラをかけてカレー風味にしてみた。こちらも60℃で8時間。

薄く切ったジャガイモをお湯で2分半程茹でる
水気をタオルペーパーなどで拭き取ってからトレイに並べる

 蓋を開くとジャガイモがクルッと反っていて、「おー、ポテトチップスだ!」とちょっと感激。食べてみたら、「さくっ」という感じは無く、「ごりっ」って感じ。一瞬「ポテトチップスか?」という気になるのだが、これが食べ始めるとハマって止まらなくなる。揚げていない厚切りポテトのような感じ。味付けのせいもあるが、ものっすごくいいおつまみになる! 歯ごたえも最高にいい! 想像していたポテトチップスとは違うけれど、これはこれで美味しいのでおつまみにいいなと思った。

見た目は厚切りポテトチップス。食感は野菜らしさも残っていて美味しい

 同じ作り方でゴーヤチップス作ったら絶対美味しいんじゃない? と思って張り切って作ったら、ふにゃっとしたただの干し野菜になった(笑)。おそらく芋に含まれるでんぷんがいい仕事しているんだろうなぁと思う。残ったゴーヤは今度何か料理に使わなきゃ。

ジャーキーも作ってみた!

 もし犬を飼っていたらぜひ作って欲しいのがジャーキーだ。私が以前飼っていた犬もジャーキーが大好きで、よく作ってあげていた。

 ささみをしっかり中まで茹でてからカットし、ドライフードメーカーにセットする。熱いうちに切ってから、雑菌が繁殖しないように、最高温度の70度で8時間設定で作ってみた。

 8時間後、できた干し肉はまさしく犬のおやつでよく見るジャーキーそのまんま! 手作りなのでもちろん無添加で安心! 茹でたささみを縦に切ると、よく売っているささみジャーキーっぽい大きさになり、ささみを輪切りのように切ると、小型犬にちょうどいい小さいジャーキーができる。縦に切るか横に切るかは、犬の大きさや食べる量で好きに切ったらいいと思う。ささみも美味しいけれど、砂肝で作る干し肉もオススメ! 本当に簡単に作れるので、このおやつを作るためだけにでも、このドライフードメーカーは買いだと思う!

しっかり茹でて熱いうちにちぇっちゃとセットして乾燥開始!
乾燥すると茶色いっぽいジャーキーの色になるから不思議!

一家に一台あってもいいくらい便利

 家庭用のドライフードメーカーは色々出ているけれど、これだけ乾燥ムラが少なく、全体を乾燥できるこの商品は非常に優秀だと思う。見た目が素敵なもんだからと、見た目重視で買った人はラッキーだったよなと思うほど能力すごい(笑)。でも優秀とはいえ、やっぱり6段フルで重ねると多少のムラは出るので、3段くらいまでで使うのが一番いいのかなと思った。6段フルで作ったら驚くような量ができるから、というのもあるけれど。

 今回残念だったのは、折角10℃単位で温度設定できるけれど、何を基準にその温度を変えて使えばいいか掴めなかったこと。説明書に、温度による影響の特徴とか書いてあったら嬉しいなぁ。それを知っていたら、新しい食材を干す時に「これはこうだからじゃあ50℃にしてみようか」などと、ざっくり目安がつくのになぁ。何度も試しながら自分好みのベストドライフードを作っていくしかない。今回は全てハードドライで仕上げているけれど、セミドライのフードも上手に作れるようになりたい!

 ドライフードメーカーに対する期待は、最初は「自家製ドライフルーツ食べたい!」という単純なものだったんだけれど、保存食にもおつまみチップスにもペットのおやつ作りにも使えて、我が家の万能調理器のようになってしまった。素材というものを見直すきっかけにもなるし、一家に一台普及してもおかしくないぞって思っちゃうほど、ドライフードメーカーは便利にヘビーユースできる家電でありました。

徳王 美智子

1978年生まれ。アナログ過ぎる環境で育った幼少期の反動で、家電含めデジタル機器にロマンスと憧れを感じて止まない30代後半。知見は無いが好きで仕方が無い。家電量販店はテーマパーク。ハードに携わる全ての方に尊敬を抱きつつ、本人はソフト寄りの業務をこなす日々。