カスタマーエクスペリエンスを可視化する5つのテクニック

Jeff Sauro

Jeff Sauro氏は、統計とユーサビリティに関するコンサルティング会社である、MeasuringU社の創設者であり、1,000社以上の顧客を抱えています。彼は、統計やUXに関する、20ケ以上の文献と5つの本を執筆しています。

この記事はMeasuring Uからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

5 Visualization Techniques for Managing the Customer Experience

カスタマーエクスペリエンスを可視化するには実に莫大な量のデータがあり、ビッグデータからスモールデータなどの形態を取り、且つそれらは質的データ・量的データの両方を含みます。

UXのよりよい理解や改善を追求するにあたって、データの可視化はその関係性やパターンを明確にする有効な手段です。今回は、データを可視化するための、5つのテクニックについて紹介したいと思います。 

1. 親和図法

親和図法は、一見関連性が無いように思える情報を、整理するための手法です。一般的には、下の写真のような、ポストイットを使った作業により行われます。主な利点としては、誰でも実行できるような簡単なアプローチにより、関連性のなさそうな情報をまとめて隠れたパターンや相関を解明し、潜在的なテーマを明確にできることなどが挙げられます。

 

2. フィッシュボーン図

フィッシュボーン図(特性要因図)は、問題に対して可能性のある要因を視覚的に表示して提示する手法です。この手法により、要因が単一のものではなく、複数のものが相関して問題を築いていることを確認することができます。参加者は議題となっている問題に対する要因をそれぞれ提示していき、その根源となっている原因を究明することを目指していきます。最終的に、問題を解消するためのアイデアをチームで形成することができます。

フィッシュボーン図も、親和図法と同じく、簡単に使える手法です。チームでのディスカッションに際して、紙かホワイトボードを用意するだけです(昨晩の夕食の魚の骨を取っておく必要はないですよ!)。シックスシグマでも用いられる人気のツールですが、数学的な専門知識は必要ありません。

上の画像は、自動車メーカーや第三者の自動車に関するウェブサイトにおける、フィッシュボーン図の事例です。この場合では、下取り価格に関する問題に対して、考えられる多くの要因が示されており、自分の車の価格が幾らであるか知ろうとしているユーザーのビデオを見ることから、その原因が来ているとしています。

3. カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップは、ユーザーがサービスや製品と対峙する際の各プロセスを可視化したものです。

このマップを作成することで散在するデータをまとめ、改善のための修正点や機会を明確にすることができ、販売やマーケティング、製品開発の各チームに対して有益な情報を提供することができます。顧客の行動の一連の流れの中から、問題点を解明し修正することは、単なる欠陥を補修するためだけの作業ではなく、そこから生まれるイノベーションのきっかけにもなります。

下の図は、店舗のフロアのスーパーバイザーに向けて作成された、カスタマージャーニーマップの一例です。

4. 散布図

散布図では、2つの変数を表示することで関係性が存在するかどうかを明らかにし、またその程度の強さ(正の関係か、負の関係か)も理解することができます。下の3つの散布図は、強い正の関係性のもの、関係性が無いもの、強い負の関係性のものを、それぞれ表しています。

また下の散布図の場合は、20種類のコンシューマー向けソフトウェア製品を対象に、NPS(企業やブランドに対する信頼・愛着心)と、SUS(システムのユーサビリティの評価)の関係性を、表示したものです。

ここで表示されているパターンでは、強い相関性が示されており(r=0.63)、SUSに対して高い評価がなされているほどNPSも高いものとして、奨励される関連性があることを意味しています。

5. 2軸図

2つの次元にデータを表示することで、より精度の高い決断をすることができます。この分析方法はStephen Covey氏Stephen Hawking氏の二人によって、提唱されたものです。

例えば、業務のTo-doリストの中で、優先順位をつけるために、それぞれの作業を緊急性と重要性の2つの項目にまとめていきます。緊急性と重要性の両方に配置された作業は、最も優先的に行われるべきだと言えます(単に緊急性があるものよりも、優先されるべき作業です)。

2軸図は、キードライバー分析における主要な手法でもあり、統計的な重要性と満足度とが項目を分析する指標とされます。重要性がありながら、満足度が低い項目は、優先的に改善すべき領域のものとして認識されます。

この手法は、UXにおける問題のある領域を明確にする場合にも用いられます。

下の画像の分析結果は製品を用いたユーザーに対し、作業を完了させた実績と、本人にそれを完了させた自信があるかどうか(過信の状態になっていないかどうか)を検証したものです。誤った意味で達成感が示されている領域があるのが分かるでしょうか(チャートの左上のエリアが、それに当たります)。

これは、作業を完了できなかったこと自体よりも、悪い事態と言えます。対照的に、成功度でも自信の面でも、両方の点から、高い数値を示す作業結果を出すことが(右上の部分に当たります)、理想的だと言えます。

  


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