はじめに

1月25日、「LINE」の決算発表が行われました。昨年7月に上場してから、はじめての本決算ということで注目を集めましたが、ふたを開けると、売上高は前年比16.9%増の1407億円、営業利益は同10.2倍の198億円。

一見、好決算に見えますが、市場の反応はかなり強めの「NO」。LINEの株価は一時、16%安の3,530円まで急落し、上場以来の最安値を付けました。これは上場後のLINE株を持っている人は全員含み損という、株主おかんむりの展開です。

なぜ市場はこのような反応をしたのか。市場が失望した理由を3つまとめてみました。


失望の理由1「4Qの営業利益が急減している」

左側のグラフを見ていただくと、直近4Qの営業利益が目に見えて急減していることがわかります。まずかったのは、これが市場のコンセンサスを大きく下回ったことです。


※LINE株式会社 平成28年12月期 第4四半期通期決算説明会 プレゼンテーション資料より

市場は通期で、230~240億円程度の営業利益を見込んでいましたが、実績は198億円、これが失望感につながっています。

営業利益の減少は、人件費やマーケティング費用がかさんだためと見られますが、これを受けて、来期以降も費用負担が大きくなると、各社が一斉に格下げに動いたことも嫌気された要因のひとつです。

また、LINEは米国市場にも上場しています。利益や資本効率を重視する米国からすると、10%強で推移していた営業利益率が、4Qで4.2%に悪化したのはいただけなかったんでしょう。

参考までに、世界最大のSNS「Facebook」の営業利益率の推移を載せておきます。


※Facebook Q4 2016 Resultsより

直近では52%と恐ろしいほど稼いでいるのがわかります。驚異的です。

失望の理由2「売り上げの成長力が弱い」

利益が出ていなくても、類まれなる成長性があれば、市場では評価されます。そこで、LINEの売上高の推移を見てみます。

右肩上がりに順調に伸びています。16年4Q(10~12月)単体では前年比16%増、16年3Q(7~9月)から4Qでも4.4%増と堅調です。が、この数字、高成長株としては物足りません。

再び、Facebookの最新の決算を見てください。

売上高は前年比59%増、QoQ(Quarter on Quarter)でも8.9%増と目の玉が飛び出るほど高成長です。FacebookはLINEと同じような「WhatsApp」「Messenger」といったメッセンジャーアプリを傘下に置いていて、SNSを主戦場とする競合と言えます。

そのFacebookと比べると成長力は低いですし、今のLINEの時価総額を成長性によって維持することは困難だったのかもしれません。

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