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クックパッド、料理動画に本格参入 “後発”の勝算は

» 2017年11月29日 21時09分 公開
[村田朱梨ITmedia]

 レシピ投稿サイト「cookpad」を運営するクックパッドが、料理レシピ動画を投稿するサービスの市場に本格参入する。これまでも自社で料理動画を制作し、FacebookやInstagramなどで配信していたが、ユーザーが無料で料理動画を撮影・投稿できるスタジオを12月に開設。今後は「ユーザーに動画を制作・投稿してもらう」方向へシフト。動画との親和性が高い10〜20代ユーザーの獲得を狙う。

photo 「cookpad studio」

 しかし料理動画の投稿サービスは、「DERISH KITCHEN」や「kurashiru」のほか、料理教室を運営する「ABC Cooking Studio」、女性向け動画サービス「C CHANNEL」などの競合がひしめく。“後発”であるクックパッドの勝算は。

「強みは6000万人のクックパッドユーザー」

photo クックパッドの岩田林平社長

 クックパッドの岩田林平社長は「強みは6000万人のユーザー(月間利用者数)」「他社にはできない投稿本数を実現していく」と強調する。

 しかし動画投稿には、撮影用の機材や編集ツールが必要だ。6000万人ものユーザーが必ずしも全員、所有しているはずはない。そこで、ユーザーが無料で使えるスタジオ「cookpad studio」を開設。カメラなど撮影用機材を提供する。

 まず12月10日に東京・代官山に第1号店をオープンし、18年末までに5拠点に拡大、ゆくゆくは全国展開する。利用は完全予約制で、代官山スタジオは12月1日から先着で申し込みを受け付ける(レシピ内容や料理時間によっては、断る可能性がある)。

photo

 スタジオでは、ユーザーにタブレット端末を無料で貸し出す。撮影した動画は、タブレット端末のアプリに自動送信され、アプリ内で編集から投稿まで行える。撮影から投稿までは3〜4時間を想定。調理師免許を持つスタッフなどもそろえ、初心者でも動画を作れるようサポートするという。

 サービス開始時点では、撮影から投稿までをユーザーが自宅で行うことは想定していないが、ゆくゆくは編集部分だけを切り出し、自宅など別の場所でも行えるようにする考えもあるという。

「料理の作り手を増やす」

 岩田社長は、料理動画への参入で「料理の作り手を増やす」と説明する。料理動画は、テキストと写真だけでは分かりにくい「料理の手軽さ」が伝わりやすく、普段はあまり料理をしない10〜20代ユーザーの獲得を狙う。30代のユーザーもターゲットに、新しいレシピと出合い、レパートリーを増やす機会にしてもらうなどの活用を見込む。

 cookpadの投稿レシピの閲覧が「買い物の前後」に集中しているのに対し、cookpad TVの閲覧数が伸びるのは「早朝〜出勤」「昼休み」「就寝前」などの時間帯という。「今すぐ作りたい」に対応する投稿レシピと、「料理したい」と思わせる料理動画を組み合わせ相乗効果を狙う。

photo レシピ検索推移数
photo 時間帯別アクセス推移

 また、マルエツなどのスーパーマーケットとも連携し、生鮮売り場でクックパッドが制作した料理動画を流す「cookpad storeTV」も12月から本格的に始める。店頭の食材・商品の調理法を紹介し、購入を促す。17年内に全国1000店舗に約3000台の専用端末を設置する予定だ。

 岩田社長は「クックパッドは、ずっと作り手を増やすことを目指している。だから『食材を買って作る』というユーザーの購買行動につながる取り組みを徹底的に行っていく」と強調する。

 「動画領域でも圧倒的No.1のサービスを作りたい。料理動画数、料理動画のユーザー課金、料理動画広告の3つの分野でNo.1になるサービスを目指す」(岩田社長)

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