「EC革命は大成功」--ヤフー決算、第3四半期は増収増益、売上高は過去最高に

 ヤフーは2月3日、2016年度第3四半期の決算を発表した。売上高は2213億円で、前年同期比で12.7%増と過去最高を記録したほか、営業利益は517億円(同20.0%増)、四半期利益は356億円(同24.0%増)だった。

 売上の内訳は、マーケティングソリューション事業が701億円(前年同期比6.6%増)、子会社のアスクルを含めたコンシューマ事業が1349億円(同14.7%増)、決済関連を含めた「その他」が191億円(同18.2%増)となった。

(左から)ヤフー副社長執行役員CFOの大矢俊樹氏、同社代表取締役社長の宮坂学氏
(左から)ヤフー副社長執行役員CFOの大矢俊樹氏、同社代表取締役社長の宮坂学氏

 基幹事業では、広告事業の売上が伸び、広告関連全体では729億円(同10.4%増)。最近低調だった検索連動広告が持ち直し、前年同期比で5.9%のプラスに転じたほか、ディスプレイ広告(YDN)が375億円(同15%増)と継続して伸びている。また、スマートフォン広告の売上高は373億円(同36.4%増)で、PCと比較した売上高比率が51.2%と半数を初めて超えた。ヤフー代表取締役社長の宮坂学氏は「世の中のスマホシフトにヤフーも乗れた」と自信を見せた。

 同社では、広告事業における今後の取り組みとして動画広告を挙げており、パーソナライズされた動画広告をヤフートップページのタイムラインに導入すべく、1月11日からアプリ版でのテスト配信を開始している。テスト結果が良好であれば、2017年度以降で全面展開するとしている。一方、検索連動広告が改善したのは、アルゴリズムの改善や営業体制の見直しといったオーガニックな要因が多く、今後も同じ水準で成長するとは言えないようだ。

 また、オークション事業は、「ヤフオク!」の取扱高が2421億円と前年同期比で3.6%増とわずかな伸びながらも過去最高を更新。会員サービス事業(Yahoo!プレミアム会員)については、ID数が1755万IDとなり、前年同月比で8.4%の増加となった。ヤフオク!では、2月2日に「フリマ出品機能」を追加し、Yahoo!プレミアム会員でなくとも出品できるようにした。ヤフオク!利用層の拡大を目指すという。

  • 決算ハイライト

  • 2016年度第三四半期の業績ハイライト

  • 売上高構成

宮坂氏「EC革命は大成功」

 ヤフーの先行投資事業であるクレジットカード事業は堅調に推移。有効会員数は、341万と前年同月比で88.3%増だったほか、クレジットカード取扱高も1741億円(同156.8%増)となった。決済サービス「Yahoo!ウォレット」は、口座数が3579万人(同9.4%増)、取扱高が3224億円(同35.4%増)と好調で、ヤフオク!とのシナジー効果などが現れた形となった。

 また、もうひとつの先行投資事業であるショッピング事業も好調で、両事業ともヤフーの基幹事業に貢献しはじめている。2013年10月に発表した「eコマース革命」では、「Yahoo!ショッピング」における毎月の出店手数料と、売上ロイヤルティ(システム手数料)を無料にし、ストア数と商品数の拡大を目指した。結果、商品数は2.5億品目(3年前の第三四半期は8000万品目)に増え、ストア数も48.1万ストアと、3年で約16倍に拡大した。

 Yahoo!ショッピングの取扱高は1407億円と前年同期比で23.4%の伸びを示したほか、ストア側のさらなる顧客呼び込み需要からショッピング広告が倍増。売上高は58億円(同93.3%増)となり、取扱高・広告ともに過去最高を記録した。なお、ショッピング広告の売上は、eコマース革命前のショッピング事業の売上高を超えているようで、「エコシステムのシナリオがぐるっと回り始めた」と宮坂氏は語る。

「Yahoo!ショッピング」のエコシステム。売り場としての魅力が上がり、各販促施策による取扱高の向上により、ストア側の広告出稿が増えたという
「Yahoo!ショッピング」のエコシステム。売り場としての魅力が上がり、各販促施策による取扱高の向上により、ストア側の広告出稿が増えたという

 宮坂氏は「EC革命を3年前に提唱した。まずは売る人の数、商品の数を一番にしようと、出品料や月額使用料を無料にして固定費ゼロで販売できるようにした。順調に売り主の数は増え、商品数も日本で一番のマーケットプレースになった」と振り返り、「EC革命は大成功だった。EC革命の第2弾をこれから全力でやっていきたい」と述べた。

 EC革命の第2段として、さらなる商品数の拡充や、Yahoo!ニュースやヤフオク!しか利用していないユーザーの送客に加え、ソフトバンクグループからの送客を実現するため、ソフトバンクユーザーワイモバイルユーザーを対象としたポイント還元率の拡大施策を展開する。また、ヤフーサービス内での行動履歴や決済情報といった「マルチビックデータ」を活用し、商品購入率やリピート購入率の向上につなげるターゲティング施策なども実施するという。

 同社では、「メディア・広告」「ショッピング」「クレジットカード」「プレミアム会員」の4つの柱をベースに、メディア、ECの流通総額、決済・金融分野でのNo.1を目標に掲げている。また、こうしたトップのサービスから得られるデータをマルチビッグデータとして統合し、ヤフーにしかできない広告、ニュース、商品の提案といった、パーソナライズされたサービスを展開する「強烈に強いマルチビッグデータの会社」を目指すという。

  • 自社サービスによる相互送客を強化

  • マルチビッグデータを活用したサービスのパーソナライズ化を進める

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