いざ、「東京で一番、本場台湾の味に近い」(!?)と噂のお店へ
破ッ!色・食・是・喰! こんにちは、グルメ修行僧・東山です。
私、タンタンタイガーという汁なし担々麺専門店の店主を務めております。
お店の常連さんに台湾出身のグルメなお客様がいらっしゃるのですが、ある日彼が鼻息荒くお店にやってきたのです・・・
「東山さんッ!スゴいお店見つけたヨ!もう、本当に台湾!あの店は台湾ソノモノだヨッッ!」
彼からは定期的に、美味しい台湾料理屋の情報をいただいていたのですが、彼いわく、そのお店は東京で一番、本場台湾の味に近いのだとか。
しかも、台湾ではメジャーだが、日本の台湾料理屋で見かけることができない料理がたくさんあったり、そしてそのどれもが驚きのコストパフォーマンスの高さだというのです!
本場そのものの味が味わえるだけでも嬉しいのに、さらにコスパも素晴らしいですと!?この店に行かずしてどこへ行く!?ということで早速突撃です。
神隠しにあってしまってもいいくらいの「肉圓」の衝撃
そのお店は、東京メトロ東西線・南砂町「台湾屋台 阿Q麺館」!
台湾で1977年から続く人気店が、2014年に東京にOPENさせた台湾屋台料理店です。
お店のメニューは見たことがない料理が大半を占めます!
まずは、最も未知かつ興味深かった料理をオーダー。
肉圓(バーワン)680円
な、なんだコレはーーーーーーーーーーーーーー!!
透明感のあるプルプルした団子に、トロッとしたタレがかけてあります・・・
とりあえず、付属のスプーンですくい取ってみましょう。
でっかい肉が包まれているーーーーー!!
めちゃくちゃうまそうじゃないですかーーー!?
店主さんに質問したところ快く説明してくださり、さつまいもデンプンで作った生地で肉餡を包み、蒸してから揚げたものだそう。
なんでも超有名なアニメ映画(“神隠し”なやつです)でこれを食べるシーンがあり、日本でも知ってる人は必ず頼む超人気メニューなのです。
このプルンプゥルンすぎる見た目、反則です。もう我慢できません!いただきます!
ぐ・・・むむむむむむむぅふぅぅぅぅぅぅん・・・
はぁ・・・うますぎるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!
わらびもちに2倍くらい弾力を持たせた感じの生地に歯を立てると、これまたプリンプリンに蒸しあげられた豚肉が口の中で弾け飛び、ジュースレベルの肉汁が口の中に溢れ出ます。
この食感は初体験です!
しかも、タレの旨味が濃く、ほんのり甘くて、かすかに酸味があり、ふわりと香辛料が香り、肉の旨味を倍増させてくれています!中華とも違って独特で、“台湾料理の味付け”という感じがします。
パクチー好きにはたまらないビジュアルでしょう。
弾力のあるプルプル生地、ジューシーな蒸し肉、旨味の濃いタレ、パクチーの爽やかさ、この四位一体。完璧・・・
もはや、これだけ食べて帰ってもいいくらいの満足感です。
肉圓(バーワン)は台湾では超人気の屋台料理、作るのにとても手間がかかるため日本では提供している店がかなり少ないそう。是絶対必食!
超ハイコスパな380円均一の一品料理たち
かなりの先制パンチを喰らってしまいましたが・・・ここからは阿Q麺館名物、超高コスパな380円均一の一品料理たちを攻めていきたいと思います。
粽(ちまき)380円
ちまきといえばもち米に具材を包んで蒸しあげた料理。
380円なのでもう少し小さいものを予想していたのですが、手が大きい男性の握りこぶしよりやや大きいくらいのサイズがあり驚きました。
かぐわしい笹の葉の包みを開いてみて二度目の驚き。
肉、デカくないですか!?
大きなちまきの半分以上を占める巨大な肉塊。その正体は豚の角煮でした!
「豚角煮粽(ちまき)」という商品名でもいいんじゃないか、と思いつつかぶりつきます。
・・・ヤバい、超うまい。
見てください。ちまきの中心部まで食い込んだ豚の角煮のボリュームを。
ちまきを噛むと、モチモチしたもち米を押しのけてやってくる圧倒的な肉の食感。
よく噛むと、ホロホロほぐれる肉の繊維と、肉の脂&旨味を吸ったもち米が絡んで、至福・・・
しかも、干しエビや、甘辛く煮込んだ椎茸などが加わり、すごく複雑で奥深い味わいになっています。旨味の要素が多すぎる!すごい。
これは、完全に“粽(ちまき)”という食べ物の概念を覆されました。感動。
切り干し大根の旨さに感動を覚える
魯肉飯(ルーローハン)380円
こちらは、台湾料理の中でも1、2を争うほどの有名料理ではないでしょうか?
阿Q麺館では驚きの380円という価格!
あぁ・・・肉がフルフル。じっくり煮込まれています。
ここは男らしく、豪快にかきこみたいと思います!
あぁ、うまいなぁぁぁ!!
醤油ベースでやや甘辛に煮込まれた肉は溶けるほどやわらかくて、肉の煮汁を吸ったご飯との相性の良さは言うまでもなし!
なんだか、すごく落ち着く味。おふくろの味に通ずる郷愁があります。
魯肉飯をかきこんでいると、やわらかい肉とご飯の合間に時折コリコリした心地よい食感があるのですが、その食感の正体はコレ。
なんと、切干し大根を煮汁で味付けしたものでした。
切干し大根といっても、千切りにされた日本のものとは違い、カットが角切りで、より大根の味が濃く、凝縮された味わいです。
料理人としては、切干し大根の調理法にこういうアプローチがあるのかと感心せざるを得ません。肉のやわらかな食感と、切干し大根のコリコリした食感のコントラストがたまりません!
菜脯(切干ダイコン卵焼き)380円
切干し大根の美味しさに感動したため、こちらも注文。
380円なのに、余裕で僕の手のひらより大きなサイズの卵焼きがきて驚いています。
切り取ってみると、切干し大根、たっぷり入ってます!
味は、めちゃうまです。
卵のふわふわ食感と、切干し大根のコリコリした食感の組み合わせが素晴らしい!
また、この切干し大根がすごくいい味付けで、旨味の強い出汁をたっぷり含んでいて、大根と卵を合わせた料理とは思えないほど力強い味わいなのです。
この組み合わせ、絶対日本の家庭料理でも流行ると思います。
大根餅 380円
店主さんが「メニューにはない裏メニューありますよ!」と教えてくれました。
台湾屋台では大人気の料理で、台湾の人たちも大好きな料理、大根餅。
大根をすりおろし、米粉を混ぜて、蒸して、切り分けて、焼くという、複雑な調理工程で手間がかかるため、阿Q麺館ではあえて裏メニューにしているのだとか。
鼻腔をくすぐる香ばしさがたまりません!
甘辛な醤油ダレをつけていただきます!
ん・・・これは予想していたのとは全然違う味!!
サクッとした記事に歯を立てると、フワフワモチモチの生地がサラサラと口に溶け、そしてなんといっても物凄い旨味!
旨味の正体は干しエビのようです。干しエビを練り込んで蒸しあげているため、エビの旨味が生地に染み込みまくって、すごくパンチのある味付けになっているのです!
その強烈な旨味をドッシリ受け止めているのが大根の甘味。
“大根は加熱すると甘くなる”という性質を非常に上手に活かした料理です!
正に脱帽!これは人気が出るわけです。
380円均一の一品料理群すごすぎです・・・
380円であれだけのボリュームがあって、全部しっかり手作りで、そのどれもがかなり手間がかかっている。ちょっと考えられないくらいのコスパの高さです。
さぁ、お腹がはち切れる前にそろそろメインディッシュに移りましょう。
阿Q牛肉麺 880円
阿Q麺館の看板料理のコチラ、美味しいだけでなく台湾の漢方を数種ブレンドしてあり、体にも優しい逸品。
じっくり味わっていただきたいと思います。
それにしても・・・880円の割に牛肉の煮込みがゴロゴロ乗りすぎ・・・サービス精神旺盛すぎて心配になってしまいます・・・
やはり肉食系僧侶としては、まず肉を喰らいたくなってしまいます。
んんんんん~~!!
フルフルホロホロながらも、肉の食感がしっかりあってたまりません!
スパイスを利かせて煮込まれているため、肉の臭みは皆無!肉の旨味だけを純粋に味わえます!
続いてスープ。
う~ん・・・なんとも滋味深い味わい。
スパイスの風味が豊かなのですが、このスパイスの香り方がインドカレーとも、中華料理とも違う、台湾独自の香り。
スープの味わいは、さっぱりしているけど肉の旨味がしっかり溶け込んでいて力強い味わいです。
最後は麺。
この麺がまた独特で、ラーメンともうどんとも違う不思議な麺なのです。
ツルツル、シコシコでのど越しがよく、スパイスが溶け込んだスープともよくマッチする味わい。
ラーメンのようにかんすいの香りがせず、うどんほどむっちりしていないこの感じ・・・そうだ!沖縄そばの麺に似ています!
沖縄と台湾は地理的にも近いから関連があるのかもしれません。
大腸麺線 1,000円
最後の料理は、これまた見たことがない料理を頼んでみました!
こちらも台湾で大人気の屋台料理、東京でもジワジワと人気が出ている麺線。
かつおぶし系の出汁にモツを加え、さらにそうめんのような麺を加え、15分ほどかけて麺がやわらかくなるまでじっくり煮込んだ料理です。
麺をすくい上げると、あんかけレベルのトロットロのスープが麺に絡みまくり!
そうめんを15分も煮たら箸で持てないかと思ったのですが、意外としっかりと形を保っています。
熱々なので慎重に口に運びます・・・
な、なんだこの味はッッッ!!!完全に予想の斜め上をいっています!
想像していたよりも遥かに超濃厚です!
カツオ出汁にモツの旨味が強ーーー烈に溶けこんでいて、そのトロットロのスープが麺がたっぷり絡んで・・・旨すぎる!
例えるならこれは、超濃厚な“麺のお粥”です。
モツもたっぷり入っています。
シャキシャキ、コリコリな食感が、やわらかくトロトロな麺の中で素晴らしい食感のコントラストを生んでいます。
パクチーとの相性も最高~~!
濃厚なモツの旨味と、パクチーの爽やかな清涼感!最高!
パクチーが苦手な方はもちろん抜いてもらえます。
それではここで、店主さんおススメの食べ方を紹介!
大腸麺線に卓上に置いてある特製ラー油を入れましょう!
このラー油がまたすごく美味しいんです。そして珍しいことに、なんと塩漬け唐辛子のラー油なのです。
辛みが強いのですが、塩漬け唐辛子の発酵による旨味が加わり、なんとも複雑な辛さ。
このラー油を塩漬け唐辛子ごと麺線溶かして食べると、最高でした。
モツ煮に一味唐辛子を振って食べるのが好きな人は絶対やってみてください。
豆花(ドウホワ)380円
最後はデザートで締めます。
これは、阿Q麺館に来たら絶対に頼むべきメニューの一つ。
豆花(ドウホワ)といって、台湾ではかなり一般的なデザートでして、イメージ的には日本の“おぼろ豆腐”に甘いシロップをかけたようなデザートです。
夏季は涼し気にかき氷をかけて提供されますが、冬季は生姜シロップをかけて提供されるようです。日本でも食べられるところがだんだんと増えてきているようです。
スプーンですくってみると、豆花はフワッフワ。くずれないようにゆっくり口に運びます。
・・・・ああ・・・なんて優しいお味・・・
やわらい口どけの豆花に、シャリシャリした氷、黒糖ベースの甘さ控えめのシロップ、いくらでも食べられそうなほどさっぱりとした味わいです。
豆花は日本の豆腐よりもやわらかく、豆の甘味が強く、そして豆の風味がより強く感じられます。
それもそのはず。なんと、阿Q麺館では豆花を豆乳から手作りしているのです!
なんと贅沢なデザートでしょう!
豆花の上に、落花生を圧力鍋でやわらかくなるまで煮込んだものが乗せられており、これがまた美味しい!
舌で潰すとホロホロ崩れる食感と、力強いコク。やさしい味わいの豆花に素晴らしいアクセントを加えています。
いや~~、本場の台湾料理堪能させいただきました。
台湾に小旅行した気分です。
私、本日、計8品の料理を食べて気づいた共通点があります。
それは・・・
- 中華料理と違い、全体的に油が控え目のため胃にもたれない
- すべての料理が素材の旨味を活かしたやさしい味わいであること
- 手作りにこだわり、手間を惜しまず作られた料理であること
そのため、単に美味しいだけでなく、作り手の真心がこもっていて、心まで満たされるのです。
同じ料理人として見習わせていただきます!
店の方々の写真を撮らせていただきました!
写真右から、阿Q麺館の店長の永井 麗娟さん、お店にいた台湾出身のお客さん2名、阿Q麺館のスタッフの方。
店長の麗娟さんは、どの料理について質問してもやさしく答えてくださり、その答えからは料理に対する愛情がたっぷりつまっていることが感じられました!
麗娟さんの素敵な人柄が料理にもしっかり現れていて、母親の手料理を食べた時のような懐かしさすら感じることができました。
ちなみにこちらの常連さんは、週2~3の頻度で通われているそうです!
まだ台湾料理を食べたことがない方、台湾料理が大好きな方、台湾出身の方々が絶賛する台湾料理を食べに阿Q麺館に行けば、その味に虜になること間違いなしですよーーーー!!GO!GO!!
店内の様子。ところどころに料理に対するこだわりが説明されたポスターが貼ってあり、料理を待っている間も楽しい!
紹介したお店
台湾屋台 阿Q麺館
TEL:080-4341-0066
住所:東京都江東区東砂7-10-12
※掲載された情報は、取材時点のものであり、変更されている可能性があります。
著者プロフィール
グルメ修行僧 東山広樹
ラーメン屋の開業に向けて修行中の身でしたが、2016年8月10日に東京・蔵前に四川式汁なし担々麺専門店「タンタンタイガー」をオープンさせました。日々、担々麺道を極めんと研鑽しております。調理科学ブログ「Cooking Maniac」も運営してます。何卒、宜しくお願い申し上げます。
【FBページ】https://www.facebook.com/tantantiger.tokyo/
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