Amazonスタジオ内覧会:「独占禁止法違反」質問で場内はピリピリ

アマゾンジャパンが「アマゾンファッション」で提供する商品のイメージ画像や動画を撮影する、7500平方メートルの撮影スタジオを、東京の品川シーサイドに開く。同社が3月15日に内覧会を開き、社長のジャスパー・チャン氏とバイスプレジデントのジェームズ・ピータース氏も参加した。

一方で、公正取引委員会がこの日朝から、独占禁止法違反(優越的地位の濫用)の疑いで同社に立ち入り検査に入ったと、報道各社が一斉に報じた。報道各社からは、立ち入り検査に関する質問が相次ぎ、会場はピリピリしたムードがただよった。

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プレス内覧会には多くの報道陣が訪れた。

「コメントは差し控える」とアマゾン担当者

日本経済新聞の報道によると、同社はアマゾンを通じて出品した事業者に対して値引き分の一部を負担するよう求めた疑いがある。公正取引委員会は今後、インターネット通販でのアマゾンの圧倒的なシェアを背景に、アマゾンが出品者に対して不当な不利益を与えたとみて、取引の実態解明を進めるとみられる。

報道各社からは4分ほどにわたって、立ち入り検査に関する質問が集中したが、広報の担当者が「今回はスタジオに関する質問だけに限っている」と制し続けた。

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記者からの質問に答えるピータース氏

「当局が入っている中で消費者にそれをなしにして(スタジオの新設について)伝えるのは難しい」「今日は社長も来ている。一言だけでもコメントを」と報道各社が詰め寄ったが、アマゾン側はあくまでも「現時点でのコメントは差し控える」とした。チャン氏は、質疑には登壇しなかった。

「アマゾンはCustomer Obsession(カスタマー・オブセッション、顧客を中心に考えること)をモットーとしている。カスタマー・オブセッションとは何か」

記者の間からこんな質問が出ると、ピータース氏は「顧客が求めるものを提供すること、さらにそれを越えて顧客が本当に必要とするもの(ニーズ)に応えていくこと」と口を開いた。

世界最大7500平米、品川シーサイドにオープンする撮影スタジオ

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東京・品川シーサイドのスタジオには、11の写真撮影ブース、5つの動画撮影ブースなどが備わっている。

同スタジオは、アマゾンファッションで取り扱う商品のイメージ画像や動画撮影に利用する。

アマゾンには、出品者(事業者)がアマゾン上で商品を販売する「マーケットプレイス」とアマゾンが事業者に代わって仕入れ・販売をする「リテール(小売販売)」があり、このスタジオはアマゾンファッションのリテール部門のために、まずは使われる予定だという。

アマゾンファッションが小売を担うブランドは、URBAN RESEARCH、Calvin Klein、コナカ、AOKIなどすでに数千に及ぶ。2017年は新たに1000以上の新規ブランドの取り扱いを始め、2018年はさらに拡大する方針だ。

「多様なブランドを持っているパートナー企業に代わって、彼らがAmazon.co.jp上で顧客に最大限リーチできるように支援していく」(ピータース氏)

同スタジオはニューヨーク、ロンドン、デリーに次いで世界4番目のスタジオで、総面積7500平方メートルという広さは世界最大規模だという。

同スタジオは11の写真撮影ブース、5つの動画撮影ブースなどを備えており、年間100万点を超える商品画像・動画を制作できるという。

(文・写真、西山里緒)

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