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専門家の「時間」売買「タイムバンク」開始 はあちゅうさんなど売り出しへ

» 2017年09月11日 17時52分 公開
[ITmedia]

 メタップスは9月11日、専門家が空き時間を売り出し、一般ユーザーが購入・使用したり、市場で売買できるサービス「タイムバンク」のiOSアプリを、β版として公開した。11日時点で、作家のはあちゅうさんや、「ビリギャル」を指導したことで知られる坪田信貴さんなど5人の時間の売り出しが予告されている。発行価格は、はあちゅうさんが1秒55.6円、坪田さんが22.3円など。

画像 11日時点で、5人の時間の売り出しが予告されている

 タイムバンクは、経営者や技術者、アスリート、歌手など、専門家が空いている時間を10秒単位で販売し、一般ユーザーが購入できるサービスとして設計。購入した時間は、ビデオチャット・対面での相談や、取材、食事への招待など、専門家があらかじめ設定した「リワード」に応じて利用できるほか、時間を持ち続けて専門家を資金面で応援したり、市場を通じてほかのユーザーに時間を売ることができる。

 時間を売り出したい専門家は、Webサイトの「時間を発行する」から申し込み可能。SNS連携によってネット上の影響力を計測し、スコアが「57」以上なら申請できる。申請後は同社スタッフが、影響力や信頼性、専門性を軸に審査。スタッフから専門家に直接連絡し、時間の内容やサービスの利用方法、注意事項の確認なども行うという。


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 11日のアプリ公開時点で、はあちゅうさん、坪田さんと、キッズライン代表の経沢香保子さん、投資家の千葉功太郎さん、幻冬舎の編集者・箕輪厚介さんの5人の時間の新規発行(売り出し)が予告されており、それぞれ、13日〜19日に購入を申し込める。売り出し価格は1秒当たり22.3円(坪田さん)〜72.3円(経沢さん)。売り出し後はアプリ内の市場で時間を売買でき、売買価格に応じて価格が変動する。

 現時点で設定されているリワードは、5人のうち4人が対面不可・ビデオチャットのみ。はあちゅうさんは、恋愛やキャリア相談のビデオチャット(20分〜)を、坪田さんは子育てや学習相談のビデオチャット(20分〜)を、経沢さんは、事業コンサルティングのビデオチャット(20分〜)を受け付けている。箕輪さんのみ対面で、コンテンツのコンサルティングなどを引き受ける(60分〜)。

 例えば、20分間のビデオチャットを申し込む場合、坪田さんなら22.3円×60(秒)×20(分)=2万6760円、はあちゅうさんなら55.6円×60×20=6万6720円、経沢さんなら72.3円×60×20=8万6760円かかる計算だ。

 サービス開始当初は専門家が一度に売り出せる時間は1000万円未満になるよう制限し、影響力の強い専門家側が一方的に有利にならないよう配慮。専門家とユーザー間の決済は同社が仲裁し、安全な取引をサポートするという。同社は決済事業も展開しているほか、東証マザーズに上場しているなど信頼性をアピール。「安心して利用いただける運営体制の構築に努める」としている。

 著名人や専門家が自らの「価値」を販売でき、購入した価値を市場で取引できるサービスとしては、ベンチャー企業のVALUが運営する「VALU」が先行している。VALUは誰でも簡単に“上場”して「VA」を売り出すことができ(購入はビットコイン建て)、優待(リワード)を設定しなくても気軽に資金調達できる一方、YouTuberヒカル氏による“売り逃げ”騒動などもあり、「ユーザー保護が不十分」などと批判を浴びた。タイムバンクは専門家の審査を厳しくしたり、一度に売り出せる時間の総額を最初から制限するなどしてユーザー保護を図る方向のようだ。

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