昨日、 自分のエントリと同じ内容を増田に投稿した結果wwwというエントリを書きまして、そこでは「結局中身がダメならどこに出してもダメ」という一応の結論を得たのですが、今日増田ことはてな匿名ダイアリーに内容が改変(加筆修正)されて投稿されるという超展開が起きました。*1
オリジナル:自分のアタマで考えるのをやめよう! - UXエンジニアになりたい人のブログ
ファッ???せん…だ…と??(記事執筆時点)
見ていただいた方はわかるとおもうのですが、改変というよりは加筆修正に近く、後半部分の内容はほとんど変わってません。
つまりwww元のエントリにブクマがつかなかったのはwww内容ではなくwwww純粋な文章力の問題wwwwwうえええええwwwwうぇっうぇっwww
しかし、自分の目から見ても明らかに“響く”エントリになっており、かなり興味深いので、なにが変わって“響く”ようになったのか、そのポイントと思われる点を見てみようと思います。
1. テーマがわかりやすくなっている
このエントリのわたしがもともと意図したテーマは、自分で考えることを絶対的に神格化するのをやめて、状況(コストやメリットなど。要はCP)に応じて「流される」ことをしてみてはどうでしょう?ということなのですが、それが完璧にこの文に現れてます。
確かに、自分のアタマで考えるということは、ものすごく気持ちがいいですよね。なにかすごく『意味のあることをした感覚』を得られます。 けれども、そこには隠れたコスト・リスクがあるんです。
この後の文でも、コスト、リスク、天秤、挫折、流されてる、などのわかりやすい言葉を選んで、そのテーマが伝わるように工夫しています。特に「流される」という言葉のチョイスがいい。元エントリは自分で考えるのをやめて、結局どうするのかが明確でなかったが、この言葉のチョイスがテーマをかなり明確化してると思います。
実際、ブコメでも流されるのはよいとかよくないとか、かなりテーマに沿ったコメントがされているようです。 すごい。
2.構成
自分語り的な内容から、上司と部下の会話という形に変更されています。これによって、「謎のオレオレ理論の主張」が「過去に教訓になったエピソード」になってかなりとっつきやすくなっているようです。
「自分で考えるのをやめて流されよう」という内容は「一般的な観念」からかなりかけ離れているので、部下が上司にアドバイスという一般とは逆の方向の表現にすることでその違和感を中和している。すごい。
あとは主張の主体が本人ではなく部下なので、この部下がいいとか悪いとか、そういう率直なコメントが取れやすくなってなるのかもしれません。本人理論の否定だとすなわちブログ主disりになっちゃうからコメントしづらいというのがあるのかと。
元エントリを見ると、方向性の見えない自分理論の説明が長くて、途中で読むのやめたくなる感がかなりありますね。
3.導入
「本編と同じくらいの長さの導入」がかなりちゃんと機能している。
部下が優秀であること、本人が(そつなく仕事をこなしながらも)漠然として違和感を感じてたこと、退職間際の異なる価値観を受け入れやすい状態であったこと、などなどが、部下が「一般的な観念からかなりかけ離れたこと」を言い出すフリとして機能している。このへん計算なのかなあ?
そんな細かいことを置いておいても、この追加された導入部分には「読ませる力」がある。そもそもタイトルが「部下がくれたアドバイス」なので、この時点では読者は「アドバイスは何なんだろう?」という気持ちが強く、登場人物である上司と部下の背景情報が「読ませる力」に繋がっているんだろうとおもう。
元ネタはタイトルで「考えるのをやめよう」と結論を明言しているにも関わらず冒頭からケーススタディっぽくなってるのでだらだら長い感が強い。
まああとまとめ方とか、随所に感じるセンスの有る言い回しとか、参考になる部分は多々あります。
なによりも、文体を直したことによって、読み手の反応にものかなりの違いがあった、と実証されている点が一番参考になる*2。真偽不明のオレオレ文章力理論ではないのだ!*3
いやあ、まさかこの話でこんなに文章力についての教訓が得られるとは。増田さんにはほんと感謝です。
しかし面白い展開になったなあ。
正直最初に増田に投稿して鳴かず飛ばずだったときにこの実験ごとなかったことにしようかとも思ったんだけども、いちおうネタばらしエントリを書くことにしました。それが新着エントリに入って、多分それを見ていただいた方が増田を書いてくれたんだろう。
こういうことが起こり得るからはてなブックマークというサービスはすきなんだなあ
先人の教えに従って火曜20時にブログをポストしてみるか
— りんご4個分 (@uxlayman) 2014年7月29日