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しっかり寝ると報酬がもらえる 日本初「睡眠報酬制度」を導入した企業

» 2018年10月09日 21時46分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 オーダーメイド結婚式をプロデュースするCRAZY(墨田区)は10月9日、日本初の「睡眠報酬制度」を導入すると発表した。スマートフォンアプリで社員の睡眠時間を計測し、1週間のうち6時間を超える睡眠をとった日が5日間以上あれば報酬を与えるという。高反発マットレスで知られるエアウィーヴがバックアップする。

CRAZYの森山和彦社長

 スマートフォンのジャイロで寝返りを計測し、睡眠の質と時間を可視化するエアウィーヴのアプリ「airweave Sleep Analysis」(iOS/Android)を使用する。1週間のうち、6時間を超える睡眠をとった日が5日間なら500ポイント、6日間で600ポイント、7日間なら1000ポイントを付与。また1カ月間、毎日計測した社員には「皆勤賞」として1000ポイントを追加するため「最大で年間6万4000円ぶんのポイントが得られる」(CRAZYの森山和彦社長)。また、希望する社員にはエアウィーヴのマットレスパッドを特別価格で販売する他、エアウィーブの専門家「快眠プランナー」による睡眠セミナーも実施する。

睡眠報酬制度の概要

 森山社長によると、睡眠報酬制度導入のきっかけは、大手広告代理店・電通の知人と話したこと。「新入社員の過労死事件以来、労働時間が厳しく規制される中、知人は『もっと仕事がしたい』ともらした」という。

 「クリエイティブな仕事に就いた人たちは時間に縛られたくない。今はノートPCやスマートフォンなどのデバイスがあればどこでも仕事ができることもあり、結局は自宅に仕事を持ち帰る」(森山氏)。オフィスという場所や就労時間で縛ることの無意味さを感じ、「管理すべきは労働ではなく、社員の健康だ」と考えた。

 制度の導入に先立ち、今年7月に社内で睡眠に関するアンケート調査を行った。すると7割もの社員が「睡眠や休息の取り方が原因でベストパフォーマンスを出せない日がある」と回答したという。しかし、快眠プランナーによるセミナーと睡眠時間計測のトライアルを実施したところ、2カ月後のアンケート調査では「ベストパフォーマンスを出せない日がある」という回答は3割に減った。

睡眠に関するトライアルの結果

 「制度の目的は、個人の健康にひも付くパフォーマンスの向上。新たなインセンティブ制度を通じ、より自由で多様な働き方を実現する社会実験になる」という森山氏。今後はさらに一歩進め、社員の「運動」に関する報酬制度なども検討する。

発表会にはエアウィーヴの高岡本州社長も同席。「CRAZYは“人生の最高の瞬間”をプロデュースするクリエイティブな仕事をしている。睡眠の質を上げ、最高のパフォーマンスを発揮してほしい」とエールを送った

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