SNSは、顧客とのコミュニケーションを深め、商品やサービスの認知度の向上やファンづくりに有効です。そのため、多くの企業が活用しています。BtoCのみならず、BtoBを事業としている企業もSNSを利用したマーケティングで成果を上げており、その手法に注目が集まります。BtoB企業のWebマーケティング担当の方にとって、SNSをどのように活用しているのか気になるところでしょう。

この記事をご覧いただければ、BtoB企業のSNSの活用事例を把握できるほか、SNSがなぜ大事なのかなどを理解できます。SNSの活用を考えているBtoB企業のWebマーケティング担当は、ぜひ、ご参考ください。

SNSマーケティングの特徴

SNSマーケティングは、FacebookやTwitterといったSNSを利用するマーケティングであり、顧客とのコミュニケーションによりロイヤリティを高めることが期待できます。また、「いいね!」というユーザーのリアクションを把握できる仕組みや、「シェア」という情報拡散の方法はSNSならではの特徴です。時にはユーザーが自由に発言し、商品やサービスを評価することもあります。ユーザー同士で話題になることもあるでしょう。このような場合、私たちはユーザーの生の声を拾うことが可能であり、商品やサービスの開発や改善に活用できる機会を得るのです。

SNSを通じて顧客とコミュニケーションが取れれば、自社のファンの育成にも役立ちます。SNSを介した顧客との関係づくりは、企業にとって欠かせないものとなっているのです。

しかし、SNSマーケティングには、メリットばかりがあるわけではありません。ちょっとしたきっかけから、自社にとってネガティブな情報が拡散されてしまい、顧客とこれまで築いた関係に影響を与えてしまう場合があるのです。最悪の場合は、炎上してしまい、さらに悪影響の範囲を広げてしまう恐れがあります。SNSの運用は、ユーザーと誠実に向き合い関係づくりをするため、なかなかデリケートなものです。このメリットとデメリットを把握し、取り組まなければいけません。

なぜBtoBでSNSは大事なのか?

SNSマーケティングは、BtoCにおいてよく使うものというイメージを持っている人が多いかもしれません。BtoCのほうが口コミを見かける機会が多いことも理由の一つでしょう。BtoCBtoBではターゲットの規模が異なることを忘れてはいけません。BtoBは、ターゲットとなる人が、企業に一人という場合もあるでしょう。

BtoBの担当者がSNSを使っていれば、SNSは実に活用できるツールということになります。少々昔のデータですが、Social Media Labで知られるガイアックスの調査によると、2015年時点でSNSを活用しているBtoB企業は68.9%にも及んでいました。現在はさらに多くの企業がSNSを利用しているのではないでしょうか。この調査の中で、効果が高かったSNSにFacebookと回答している企業が57.1%います。次いでTwitterが37.5%など、効果を実感している企業が多いことは確かなようです。

参考:BtoB企業のソーシャルメディア活用率は69%!実態調査から見えてくるBtoBとSNSの現状を分析。|Social Media Lab

BtoB企業のSNS活用をメディアごとにご紹介

さて、BtoB企業はどのようにSNSを活用しているのでしょうか。活用事例をメディア別にご紹介します。

Twitter-株式会社ベイジ

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ベイジ代表の枌谷氏のTwitterアカウント

BtoB企業のためのWeb制作会社である株式会社ベイジは、Twitterの活用において特に注目するべき存在と言っても過言ではありません。代表の枌谷氏のTwitterアカウントは、5.5万人にフォローされており(2020年8月時点)、ここから学ぼうとするWebマーケターは非常に多いでしょう。BtoBマーケティングに限らず、ビジネスにおいて役に立つ考え方や知識が身につく内容の濃いツイートが魅力です。ツイートの内容1つひとつが、ビジネス書のように身になるものであることから、意欲の高いフォロワーを集められるものと推察します。このTwitterアカウントを、見込み客となる人も数多くフォローしているでしょう。オフィシャルサイトとは異なる自社の看板として役立っているのではないでしょうか。

枌谷氏以外にもベイジのメンバーには、Twitterによる情報発信を行っている人がいます。これらのTwitterアカウントでも、質の高い情報を発信しているというのが特徴です。企業としてのTwitterアカウントを1つ作成し、自社のニュースを配信するケースは、よく見かけるところですが、ベイジは「人」から伝わる「質の高い情報」を大切にしてるように感じます。人から伝えるメッセージに込められた熱量が、ファンを集められるのではないでしょうか。

そして、ベイジといえば「Twitter道場」という言葉をご存知の人も多いでしょう。これは、枌谷氏が考案したTwitter活用強化プログラムです。社内だけではなく他社への提供も行っています。BtoBマーケティングに取り組む人にとって、考案者の枌谷氏のTwitterアカウントは興味深く、フォローしたくなるはずです。意識の高い顧客を集めるSNS活用のお手本とも言えるのではないでしょうか。

YouTube-株式会社才流

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才流代表の栗原氏のYouTubeチャンネル

BtoBマーケティングの支援を行っている株式会社才流は、YouTubeを活用したマーケティングを実践しています。これまで、コンテンツマーケティングのプラットフォームとしてWebサイトを利用するケースが数多く見られましたが、才流は、YouTubeを新たなプラットフォームとして注目しているのです。テレビの視聴時間が減少している流れの中、ネット動画に関しては視聴時間が伸びています。このことから才流はYouTubeの圧倒的な存在を評価しています。

才流代表の栗原氏のYouTubeチャンネルでは、BtoBマーケティングにおけるノウハウをわかりやすく解説しています。コンテンツマーケティングの事例やBtoB営業・マーケティング活動の動向などをテーマにしており、BtoB企業のマーケティング担当や営業担当にとって興味深いコンテンツを提供しているのです。栗原氏の動画は視聴者にとって濃いと感じる情報を時間いっぱい解説しています。

YouTubeというメディアは、Webページでは人によって理解度が異なってしまう情報でもリズムよくロジカルに伝えることができます。栗原氏のYouTubeチャンネルのように、目で情報を確認しながら耳で解説を聞ける形式は、動画のメリットを十分に活かしています。動画コンテンツの提供がファンを集め、才流にBtoBマーケティングを相談したいと思う人も多いのではないでしょうか。

参考:コンテンツマーケはGoogleからYoutubeへ? データが示す動画の可能性|株式会社才流

Instagram-株式会社デンソー

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株式会社デンソーのInstagram

株式会社デンソーは、世界中の自動車メーカーに部品を提供するサプライヤーです。Instagramというビジュアルに特化したSNSの特徴を活かし、企業のブランディングに役立たせています。デンソーのInstagramでは、社員にスポットをあてた投稿や、同社の事業を画像とともに紹介する投稿でメディアに彩を与えています。人にスポットをあてた投稿があれば、次は異なるコンセプトの投稿をするなど、ユーザーに飽きがこないように工夫しているようです。何より、Facebookと投稿コンセプトを分けることで、Instagram独自のコンテンツを確立しているのがメディアに価値を与えています。同じ会社でも、メディアによりユーザーへのアプローチを変えることで、獲得できるファンの傾向も異なるでしょう。BtoB企業のInstagram活用は一見難しいと感じる人が多い中、投稿頻度も高く、余裕を持った運用も魅力的です。

また、同社のInstagramの投稿には、日本語とともに英訳が添えられています。もちろん、英語のハッシュタグも付与されており、Instagramをグローバルに使っているのです。

Facebook-フセハツ工業株式会社

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フセハツ工業株式会社のFacebookページ「ばねとくらす」

フセハツ工業株式会社は、バネの総合メーカーです。この会社のFacebookは、製造業のSNS活用のお手本とも言えるでしょう。「ばねとくらす」と名付けられたFacebookページは、週に数回の頻度で様々な内容を投稿しています。その中でも目立つのがバネの製造シーンの動画です。工場見学に行かなければ見られないような精巧な機械の動きを惜しげも無く公開しており、いろいろな種類のバネが作られる様子を見ることができます。

このFacebookページは、フセハツ工業のモノづくりへの真摯な取り組みを確認できるだけではなく、事業に一生懸命励む企業姿勢や、きちんと整理されている工場の様子など、几帳面さを感じることができます。製造業の場合、あまり頻繁に投稿する内容がないと思う人もいます。しかし、自社には日常の風景でも、他社にとってはその多くが新鮮なのです。

製造業の場合、発注側は工場の様子や体制などモノづくりの様子がとても気になります。Facebookページを使って、製造を安心して任せられる企業であることを伝える取り組みは有効でしょう。