いよいよ年の瀬も押し迫ってきた。私は蕎麦そのものには、とんと無頓着なので、年越しそばを気にしたことがほとんどない。むしろ食べるのを忘れてしまった年の方が多いくらいだ。とはいえ季節柄、温かい麺をすすりたいというのは大晦日に限らない。今回ご紹介するのは「そば新 新富町店」。今日はこちらでホットな一杯を頂く。

  • 新富町「そば新」の名物「煮干ラーメン」は、味&コスパともに文句なし

    「味玉煮干ラーメン」(490円)

お目当ての「煮干しラーメン」を注文

「そば新」は以前この連載で自由が丘店を取り上げた。ほかにも蒲田店など、都内にいくつか店を構える立ちそば屋だ。新富町店は、東京メトロ有楽町線「新富町」駅7番出口から徒歩2分。新大橋通り(都道50号線)沿いにある、モダンでオシャレ風な店である。「そば新」は24時間営業の店舗もあるが、こちらはそうではない。もう市場は閉じてしまったが、築地が近いことを意識してかどうか、営業自体は朝早くからのようだ。

自動ドアから中に。右手にタッチパネルの券売機がある。客席はイス付きのカウンターと立ち食い用のが。午前11時頃、先客は2名いた。さて、早速注文。茹で置きではない「生そば」が有名なことは承知していたが、今日のお目当てはもうひとつの目玉「煮干ラーメン」だ。以前蒲田店で食べた時、その味に少なからず驚いた記憶があったのである。「味玉煮干ラーメン」(490円)のボタンを迷わずプッシュ。チケットはおばちゃんに渡し、半券を受け取る。

セルフで水を取り、FMラジオが流れる店内でしばし待つ。空いているとはいえ、2~3分は時間がかかったと思う。店内には「味噌ラーメン」のポスターも。次の機会は必ずこれだな、と決める。

濃厚なコクのスープが抜群に美味い

番号を呼ばれ、半券を渡して受け取る。チャーシュー、海苔、メンマ、ネギとトッピングの味玉というシンプルな具材。スープは少し濁ってはいるが、見た目はごく普通の醤油ラーメンである。しかし、このスープが抜群に美味いのだ。見た目とは裏腹に煮干のコクと香りは濃厚、かつ強すぎない。

時折煮干ラーメンはスープからつくったりもするし、煮干をすりつぶして灰色に近いようなスープのラーメンも好んで食すが、この価格でこの味は、煮干ラーメン界でもトップクラスのコスパだと思う。ちぢれ麺ともよく絡み合い、ホッと安心する味でもある。惜しむらくは味玉。少し塩気が強いと感じた。味玉抜きだと驚きの390円なので、こちらでもよかったかも。

  • 東京メトロ有楽町線「新富町」駅7番出口から徒歩2分の「そば新 新富町店」

さて、まだ年越しまで数日あるが、あと何杯食べられるだろうか。やはり一年の最後はお気に入りの味で〆たいもの。ぜひ自分の一杯を見つけて、新しい年を迎えていただきたい。

筆者プロフィール: 高山 洋介(たかやま ようすけ)

1981年生まれ。三重県出身、東京都在住。同人サークル「ENGELERS」にて、主に銭湯を紹介する同人誌『東京銭湯』『三重銭湯』『尼崎銭湯』などをこれまでに制作。