ケーススタディ:Spotify vs Apple Music、優れたUXはどっち?

Sean McGowan

SeanはCodal社の技術ライターおよびリサーチャーです。UXデザインからIoTまで、様々な話題のブログを投稿しています。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

UX Case Study: Spotify Vs. Apple Music Mobile Apps

SpotifyApple Music、2つの大手音楽ストリーミングサービスはどちらも熱心なファンを抱えており、長年競争関係にあることが語られてきました。この2つのプラットフォームに関してはかかる費用やライブラリ、機能リストについてを比較した無数の記事やインフォグラフィックが既に書かれています。そのため、私たちはこれらの指標を2社の評価に使いません。代わりに、純粋にUXの観点から比較します。つまり、Spotifyに好きなバンドのアルバムがないからと言って、評価を下げることはしません。

SpotifyとApple Musicは非常に複雑で広大なプラットフォームなので、普段のようにスクリーンやモジュールの綿密なチェックはしません。代わりに両方のアプリに共通する機能をピックアップし、直接比較します。したがって、Apple Musicでビデオコンテンツが充実していることは、この対決では重要な要素ではありません。

音楽プレーヤー

まず、音楽アプリでもっとも重要な機能から比較していきましょう。音楽プレーヤーです。

2つの音楽プレーヤーを並べてみると、すぐに両者のはっきりとした違いがわかります。 どちらのインターフェイスもカバーアートの強調を目指していますが、選んだ戦略が異なります。Apple MusicはAppleブランドの慣習に沿って、全体に白色を選択しています。一方で、Spotifyは暗い色です。(この色の選択については、私の記事『light vs dark UIs』でも述べています。)

Spotifyの音楽プレーヤーはより機能的で、メインプレーヤーから多くのオプション(再生、スキップ、シャッフル、リピート)を選択できます。Apple Musicよりも多くの機能を提供できている理由は、UI上に音量調節機能を表示していないためです。Spotifyは、ユーザーがスマートフォンの横にある音量調節ボタンで音量を変えることを見越しています。

Appleはシャッフルやリピートといった多くのオプション機能をメインプレーヤー上で提供していません。音量調節バーをすべて表示しているのはスペースの無駄です。そのバーが使われることはありません。私ならAppleのヘッドフォンや横にあるボタンで音量調節をしてしまいます。

プレーヤー機能におけるもう1つの決定的な違いは、今聞いている曲のアーティストページに移動する際のインタラクションコストです。Appleでは2回のタップだけでたどり着けますが、Spotifyでは2回のタップと1回のスクロールが必要です。

判定:Spotifyの勝利

ホーム画面

音楽プレーヤー同様、SpotifyとApple Musicはホーム画面でも互いに異なる原則に基づいて、多様なアプローチを行っています。

AppleのUXの原則は、極端なパーソナライズにあります。ホーム画面ではスクリーンのほとんどにライブラリを表示し、さまざまなアクセスポイントへの導線に割いています。プレイリスト、アーティスト、アルバム、曲といったボタンはすべて、ユーザーライブラリとは異なる場所に誘導するためだけにあるのです。画面の残り部分は、最近追加された音楽に充てられています。

このホーム画面のレイアウトは、Appleのターゲットユーザー、つまりコアな音楽ファンの心理に反します。音楽ファンは、既存の音楽ライブラリにできるだけアクセスしやすいことを求めています。彼らが求めているのは、曲を選り集めたプレイリストでも、週間チャートにランクインした曲でもありません。彼らは、自分自身のライブラリへのアクセスを何よりも望んでいるのです。

Spotifyでは、ユーザーライブラリは下側のナビゲーションバーに含まれています。また、検索機能と気分ごとのプレイリストが用意されています。これらは音楽オタクのための機能ではありません。気分を整えたり、雰囲気を作りのために音楽を使う人向けの機能です。

判定:どのように音楽を利用するかによる

検索機能

プラットフォームの優先順位は違っても、SpotifyもApple Musicも、膨大な量の音楽をユーザーが探しやすくする検索機能に自信を持っています。どちらのプラットフォームも、ユーザーの具体的な嗜好に応えて曲を探すアルゴリズムを搭載しています。またどちらも、これらの機械学習機能は、時間と使用頻度に応じて向上すると主張しています。

大きな違いは何でしょうか? Spotifyの発見機能は素晴らしい一方で、Appleの発見機能は次のようなものです。

これは、Appleのアルゴリズムにおけるインプットメカニズムの一例です。ユーザーの好みのジャンルに基づいて、どれがおすすめかを比較しています。問題は、この変わったインターフェイスがユーザビリティに深刻な悪影響を与えていることです。円がインターフェイスのあちこちで弾んでいる中で、指を色々な方向にスワイプしてクリックするのはイライラします。

反対にSpotifyの検索ページは、ユーザー体験の質の高さを褒められることが多いです。特に、ディスカバー・ウィークリー機能が優れています。プレイリストはユーザーの好みを的確に反映して作成されており、非常に魅力的なことから、Googleでさえストリーミングプラットフォームを真似しています。

判定:Spotifyの勝利

まとめ

どちらのストリーミングプラットフォームもさまざまな音楽セレクションや検索機能、使いやすいライブラリを提供しています。しかし、SpotifyのUXとUIはAppleよりも優れていると言えるでしょう。

Spotifyの成功は、暗いインターフェイス、人間工学に基づいた音楽プレーヤー、きわめて優れた検索機能とページにあります。プラットフォームに1億6000万人以上のユーザーがいて、今なお増え続けているのには理由があるのです。この膨大なユーザー数は、Spotifyで音楽に没入できる魅力的なユーザー体験が提供されている証です。


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