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Amazon’s Choiceラベルは「良い商品」についているわけではない

by Tim Reckmann

2015年にスタートした「Amazon’s Choiceプログラム」は2019年に入って「いい商品についているわけではない」「欠陥商品にラベルがついていることもある」と指摘されています。イギリスのIT系ニュースメディアであるDigidayは独自の調査で、Amazon’s Choiceが「Amazon上の製品に広告費を割くこと」「製品価格を下げること」と引き替えに付された可能性を示しています。

Amazon offered vendors 'Amazon's Choice' labels in return for ad spending and lower prices - Digiday
https://digiday.com/retail/amazon-offered-vendors-amazons-choice-labels-return-ad-spending-lower-prices/

Amazonの製品に「Amazon's Choice」というラベルがついているのを見たことがある人もいるはず。一見すると、評価が高いがゆえに貼られているかのように見える「Amazon's Choice」ラベルですが、実はどのような基準で貼られているのかははっきりしていません。2019年6月、海外ニュースメディアのBuzzFeed欠陥商品にもAmazon's Choiceラベルがつくということを調査報告しました。BuzzFeedによると、Amazon's Choiceラベルはラベル・レビュー・製品の在庫に基づきアルゴリズムで自動的に付与されるものとのこと。「がらくたにラベルがつくこともあり、必ずしも信用できるものではない」とBuzzFeedは述べています。

さらに、Digidayは、関係者の情報から、2017年に特定カテゴリにおいてAmazon’s Choiceラベルを付すための出品者向けプログラムがあったことを明らかにしました。

by Ben Mortimer

関係者によると、Amazonは「Amazonの検索結果にずらりと並ぶ商品にAmazon’s Choiceというラベルがついていると商品の可視性が上がり、売上が増える」と説明したとのこと。Amazon’s Choiceラベルがついた電気製品の中には四半期で売上が10%伸びたものもあり、ラベルがついて数週間で商品ページのビューは即座に上昇するとしました。Amazon’s Choiceシステムはあからさまな課金制ではなく、内部システムとして存在したと情報筋は語っています。

2017年の運用時、Amazon’s Choice付与の基準はレビューと在庫にあったため、Amazonはブランドに対し「1年間は在庫を切らさないこと」「カスタマーレビューを星4つ以上にすること」「それぞれのサブカテゴリに対する特定の技術的仕様」を求めました。このことから、プログラムの顧客は必然的に、既にプラットフォームで高品質の製品を販売しているブランドに絞られました。また、Amazonは収益性を最大化させる商品を強化するために売り手に対して価格を下げることを求めたこともあったそうです。

Amazon’s Choiceラベル以外にも、これまでもAmazonは出品者やブランドに対しAmazon Vineプログラムやメールプロモーションなどの魅力的なツールを提供してきました。Amazonは、このようなツールを提供することと引換えに、ブランドがAmazonの広告商品に対してマーケティング投資をすることなど、Amazonにリソースを割くことを求めたわけです。「Amazonは売り手の目の前にニンジンをぶら下げましたが、売り手はこれに気づきませんでしたし、消費者もこのような全体像を知りません」と情報筋は述べています。

by Alexas_Fotos

またAmazonの実施するプログラムをよく知る情報筋は「Amazon’s Choiceに申し込みが可能だった場合、私たちの売上は大きく影響を受けることになります」「大手ブランドは容易にプログラムを利用でき、優位なポジションに立つことができますから」とも語りました。

ただし、Digidayのメールに対し、Amazon広報はこのプログラムが実際に顧客に提供されたことを否定したとのこと。


一方で情報筋によると、上記プログラムは2017年の短期間だけ提供され、その後はアルゴリズムの運用に戻されたそうです。2019年時点のAmazon’s Choiceラベルは在庫が豊富でコンバージョン率が高く、カスタマーレビューが高評価で競争力がある価格の、Amazon Prime商品につけられているとのこと。ただし、BuzzFeedが報じたように、このラベルは欠陥商品につけられることも多々あります。

2019年8月時点でAmazonのジェフ・ベゾスCEOは、民主党員のロバート・メネンデス氏とリチャード・ブルーメンタール氏らからAmazon’s Choiceラベルの説明を求められています。メネンデス氏は、Amazon’s Choiceラベルは恣意(しい)的な目的で作られた可能性を懸念していると述べています。ワシントンでは「Amazonは解体すべき」という声もあり、今後も調査は続く見込みです。

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in ネットサービス, Posted by darkhorse_log

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