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タコは個体ごとに餌や人間を選り好みしている? 知られざるタコの生態

アプロさん(@rUyaCVtIiRxgC9M )による、タコの知られざる生態の解説です
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

ピーター・ゴドフリー=スミス先生の「タコの心身問題 頭足類から考える意識の起源」を読了 この作者は哲学が専門らしく、人間とは全く違った生態・身体構造と高い知能を持つ頭足類、特にタコやコウイカの研究を通じて「心とは何か?」を研究しまとめたのが本書らしい。 決してイアイアな話ではない。 pic.twitter.com/5ewmPZa1MQ

2019-04-21 08:24:18
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

タコが非常に知能が高く、瓶を開けたりワールドカップの勝敗を予想したりできるのはよく知られているが、本書で紹介されるタコの知性はそれ以上というか、まさに人間とは違う「心」の存在を感じさせる事例が目白押しである。実に興味深い(*´ω`*) pic.twitter.com/xzXagmCB10

2019-04-21 08:26:21
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

飼育下の数々の実験により、タコやイカは人間を明確に認識し個体識別できることが判明している。彼らには「お気に入りの人間」や「嫌いな人間」が存在し、嫌いな人間や見知らぬ人間が近寄ると水槽から水をかけるタコと言う事例は良く見られる。 驚くべきことに、服装を変えても彼らは間違えないとか。

2019-04-21 08:29:27
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

タコたちを用いた実験は難しい面がある。なぜなら彼らは非常に「個性的」で同じ実験をしても個体ごとで結果が違うからだ。レバーを引けば餌が与えられるという簡単な実験でも、「餌が好みじゃないから」という理由でスルーするタコが出てくる。タコは一般的に非常に我が強い生き物だとか。 pic.twitter.com/V0Ibohzcht

2019-04-21 08:32:42
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

飼育下のタコの中には、好きではない餌を与えるとわざと人間の前で餌で遊んだ後ポイ捨てする行儀の悪いタコもいる。彼らは好みの餌を与えられるまで、同じ行動を繰り返すという。 人間と餌の因果関係を理解し、自分からアプローチをしているのだ! pic.twitter.com/Ev8hP1n86U

2019-04-21 08:34:52
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

飼育下のタコは、よく脱走を図ることが多いらしい。興味深いのは、タコの「脱走」は必ず人間が居ない/目を離している間に行われるということだ。彼らは人間が自分たちを閉じ込めていることや、人間が自分たちを見ていることを理解している。 pic.twitter.com/5lXx7aHdXe

2019-04-21 08:37:29
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

これは他の魚介類には見られない特性らしい。一般的に魚の場合、自分たちが「水槽」という特異な環境に閉じ込められていることに何ら反応を示さないが、好奇心旺盛なタコたちは水槽内を探検し様々な器具を触って自分が置かれた環境を認識しようとする。 中にはライトに向かって水を吹きかけるタコも。

2019-04-21 08:39:57
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

そう、タコは好奇心構成な生き物なのである。彼らは未知の物体を見つけた場合まず食べられるかを確認するが、食べられなくても興味を失わないことが多い。カラスのように巣穴に持ち帰ってコレクションしたり、それを使って遊んだりする。 飼育下のタコは明確に「遊び」を行うことが確認されている。 pic.twitter.com/xDfZ1DdoqS

2019-04-21 08:42:13
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

野生でもココナツの殻を持ち歩くタコの存在が知られている。このタコはココナツの殻をヤドカリのようなシェルターとして活用している。これはタコが殻を使って試行錯誤した結果であると考えられている。 瓶の開け方を「学習」する件など、タコが試行錯誤し経験から学習することが確かめられている。 pic.twitter.com/TzXXdHmQD6

2019-04-21 08:45:33
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

また、二枚貝を食べない地域のタコに対し二枚貝を餌として与えると最初は硬い殻を閉ざした二枚貝を餌とは認識しないが、殻を砕いた貝を与えると「食べ物」と認識し、それから殻付き二枚貝をなんとか食べるために様々な創意工夫をすることも実験で確かめられている。 最終的には無理やりこじ開けるが。

2019-04-21 08:48:04
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

タコは単独生活や共食いを行う生き物であり、野生環境で本来は知性を発達させる高度なコミュニケーションを必要としないと考えられていた、しかし、近年では例外も見つかっている。 タコの集合住宅「オクトポリス」である。 google.co.jp/url?sa=t&rct=j…

2019-04-21 08:50:37
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

このタコの集落(?)はおそらく偶発的な要因でできたと考えられているが、タコたちが安全に生活できるオクトポリス(ホタテ貝の殻の堆積物によるタコの隠れ家)で多数のタコたちが密集して暮らすようになった結果、タコたちは共食いを避けあるいは積極的なコミュニケーションを行うようになったとか。 pic.twitter.com/VXGLRFmsSD

2019-04-21 08:53:17
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

今はまだ「社会」と呼べるようなものではないが、それでもタコたちは互いにハイタッチをして敵意が無いことを確認し、「よそ者」が来たら容赦なく追い払い、タコ同士で大けがをしない程度に喧嘩をして序列を確認する。 中には、知り合い以外のタコを追い払う駐在的なタコもいるとか、

2019-04-21 08:55:16
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

なお、作者がオクトポリス観察のためにカメラを仕掛けているとたまにタコに倒されるらしい。「三脚付きカメラが立ち上がって威嚇するタコに似ているせいでは?」とか書かれている。 確かに似てなくもない(;゚Д゚) pic.twitter.com/9LaGWPRH16

2019-04-21 09:02:34
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

タコやイカは飼育環境でなくとも人間に興味を示すことが多い。ダイバーなどが近づくと近寄って観察したり触ろうとしてくる好奇心の強いタコは珍しくないないとか。 まあ、ここらへんはタコに限った話ではなく、魚でも「顔見知り」のダイバーになつくらしいが。 pic.twitter.com/hg1LVh8GNw

2019-04-21 09:05:13
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

どうでも良いが、このダイバーのクソ度胸はぱねぇ(; ・`д・´) pic.twitter.com/NFwO7yxmiO

2019-04-21 09:07:48
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

タコ以上に「人懐っこい」のがコウイカ 作者は主に体長1mを超える「ジャイアントカトルフィッシュ」を観察対象にしている。 コウイカ類の知性に関する研究はまだ少なく、タコほど器用な生き物ではないらしいが、彼らは彼らで興味深い生態を持つ。 pic.twitter.com/bYvMKmp74P

2019-04-21 09:11:23
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

コウイカは自分よりも大きな生き物であるダイバーに対し様々なアプローチを行う。 近寄って触ってくるモノもいれば、明らかにダイバーの目の前でダンスを踊るモノもいる。中にはガンスルー個体も存在する。

2019-04-21 09:13:02
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

この「無視」する個体は単にダイバーの存在に気が付かないのではなく、あえて「存在しないもの」として振る舞っている節があるらしい。 通せんぼをするとギリギリまでは無視して進もうとするが、ぶつかりそうになると相手の存在を認め横をすり抜けぬけ、再び「居ないもの」として振る舞ったりする。

2019-04-21 09:16:46
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

なお、タコやコウイカはカメレオンのように(あるいはそれ以上に)体色を自在に変化させることで知られるが、慣れてくるとそこからも彼らの「個性」が見えてくるので色のパターンで個体識別ができるらしい。 中には、特に意味も無く色を変える「独り言」を行う個体もいるとか。 pic.twitter.com/gr20aM1sRh

2019-04-21 09:19:11
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

こんな風に、タコやコウイカの観察・実験でその知性を確かめるとともに、進化論的なアプローチでも「心」とは何かを作者は考察している。 具体的には、系統樹をベースに原初の生命から人間やタコに至るまで、生物がどうやってコミュニケーション能力を発展させてきたかを考察している。 pic.twitter.com/lLgfF5u3lY

2019-04-21 09:23:58
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

作者は、「心(あるいは知性)」の発達は外界とのコミュニケーションによって生まれたと考えているらしい。(ここら辺ちょっと自分の解釈に自信が無い) 生物のコミュニケーションは、原始的な単細胞生物の時点で外界の情報をインプットし、何らかのアクションをアウトプットするという形で行われる。 pic.twitter.com/MZfJuTKF7l

2019-04-21 09:28:00
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

ただ、有名なエディアカラ生物群あたりまでは生物は複雑なコミュニケーションを必要としなかった。この時代までの生物は基本的に有機物やバクテリアを食べるだけなので外界や他の生物を「認識」する必要性が薄く、生物の情報交換は個体内部での細胞や内臓の調整ぐらいしかやることがない。 pic.twitter.com/aiPqyHV0mg

2019-04-21 09:31:51
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

まあ、つまり「敵」や「獲物」が居ないので自分以外の何かを認識する必要性がなかったのである。 究極のコミュ障/引きこもり社会だったわけだ(´・ω・`)

2019-04-21 09:33:15
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

みんな大好きカンブリア紀になると激変する。 食物連鎖という名の激しい競争社会では、コミュ障は生き残れない。「眼」をはじめとする感覚器官を発達させ、ニューロン神経系を生み出し素早く動けるようになった。 他者を認識し、情報を処理し、何らかの行動を起こす。コミュニケーションの誕生である。 pic.twitter.com/3wMWWV0Oj6

2019-04-21 09:38:19
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