【6月26日 AFP】(更新)米オートバイメーカーのハーレーダビッドソン(Harley-Davidson)は25日、欧州連合(EU)が先週発動した対米報復関税を回避するため、生産の一部を国外に移転する計画を発表した。これを受けドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領はツイッター(Twitter)に「最初に白旗を揚げたのがハーレーであるのに驚いている」と投稿した。

 創業117年の歴史を誇る同社はまた、トランプ大統領が課した関税による鋼鉄材料費増加のあおりも受けている。トランプ氏は就任直後、米工業を代表する企業として同社をたたえていた。

 EUは22日、トランプ大統領が課したアルミニウム・鋼鉄への関税に対する報復として、米車両を標的にした関税を発動し、米二輪車の輸入関税を以前の6%から31%へ引き上げた。これによりEU内の消費者向けのコストは1台当たり2200ドル(約24万円)増加する。

 同社が提出した規制関連文書によると、生産の国外移転には9か月~1年半かかる見通しで、この間に発生するEU関税は同社が負担する。これにより、今年の残りの期間で3000万~4500万ドル(約33億~49億円)、年間で9000万~1億ドル(約99億~110億円)のコストが発生するとみられる。

 同社は、「EU関税負担の緩和のための国外生産拡大はわが社にとって好ましいことではないが、自社の二輪車をEU消費者に提供し、欧州で存続可能な事業を維持する上で、持続可能な選択肢はそれしかない」と説明している。

 同社は現在、ブラジルやインド、オーストラリアに製造工場を持ち、タイにも工場を建設している。国外生産拡大の実施場所は明らかにされていない。

 トランプ大統領はツイッターに「自分は彼らのために戦ってきた」とし、「税金は言い訳だ。ハーレーは我慢しろ」とも書き込んだ。(c)AFP/John BIERS