AIはどうやってWebサイトやランディングページのUXを改善するのか

David Kosmayer

DavidはBookmark.comの創設者でCEOです。また、AIによってWebデザインに革命を起こすWeb制作者でもあります。

この記事はUsabilityGeekからの翻訳転載です。配信元または著者の許可を得て配信しています。

How AI Can Improve The UX Of Websites and Landing Pages

参照:Depositphotos

人工知能(AI)はもはや将来の理想ではありません。すでに運用されており、ビジネスを改善する取り組みに大きな影響力を持っています。AIがビジネスに大きく貢献できる分野の1つが、ユーザー体験とデザインです。

AIによって、組織は日々移り変わるトレンドやユーザーの行動にWebサイトを適合させ続け、ユーザビリティとユーザー体験全般を向上できるようになります。ユーザーからの関心を集める競争が激化するにつれ、ユーザーはオンラインのインタラクションにより多くを求めるようになりました。そのため、Webサイトはこうしたユーザーの要求に応える必要があるのです。

AIを駆使して、Webサイトやランディングページにおける2つの重要なトレンドに集中することで、企業はユーザーが欲しいものを与えられるようになります。その2つとは画像とパーソナライズです。

AIと画像

画像はユーザーの関心を引き付けられるので、Webデザインには欠かせないものです。特定のユーザーの体験を総合的に向上させるためにはどのようなビジュアルがもっとも効果的かをデータに基づいて判断する際に、AIが役立ちます。

画像認識

AIの技術があれば、名前によって画像をカテゴライズする必要がなくなります。なぜならAIは画像のパターン構造を識別し、似たパターン構造を持つ関連画像を推奨できるからです。これによって、これまで以上にユーザーの行動に基づいて最適化できるようになります。

ユーザーの購入履歴や製品ページでのインタラクションに応じたプロダクトやサービスの画像をサジェストすることで、ランディングページをカスタマイズしましょう。こうした関連画像を優先的にページに表示し、興味を引きそうなプロダクトを見せることでユーザー体験を向上させることができます。

将来的にWebサイトが膨大なデータセットをフィルタリングし、個別や全体のユーザーパターンを認識できるようになると、このAI機能は間違いなく重要になるでしょう。特定のパターン基準を満たしたユーザーはグループに分類され、彼らのWebサイト体験に、カテゴリーに関連した選択画像を含めることができます。

このAI技術をFood Network(料理番組)のWebサイトで上手く応用すると、表示されている画像を解析してその画像に写っている食べ物のレシピをレコメンドできるようになります。この過程は、これまでの検索結果もすべて考慮して最適化されます。たとえば、ユーザーがグルテンフリーのレシピを検索する場合、AIのアルゴリズムがレシピのレコメンデーションと一緒に、そのレシピにあるグルテンフリー食品の画像もサジェストしてくれるのです。

以上の例はきわめてニッチな分野の話ですが、AI技術ははるかに広範囲にも影響しています。AIは特定のユーザーパターンや特徴に基づいて、自ら個々のユーザーをより大きく似通ったグループに分類し、そのユーザーグループに対するWebサイト画像のレコメンドを最適化できます。

視覚的センチメント分析

visual sentiment analysis(視覚的センチメント分析)は、動画や画像といった視覚刺激に対する感情的な反応を分類し、調査する新しい手法です。この手法は、視覚データの深く高度なコンテンツを解釈し、理解することを目指します。

この高度なコンテンツを調査するために作られる画像解析アルゴリズムでは、モデルは視覚刺激を与えるそれぞれの部分だけでなく、動画や画像全体も分類しようとします。つまりこの技術は、画像全体の状況を伝える手がかりになっている画像内のシグナルを特定するものなのです。

AIはどの画像が特定の視覚的な感情を伝えているのか理解できるほど進化しているため、画像を分類に基づいてカテゴライズすることができます。そしてそれらの画像は、同じような画像を見ている中でもっとも一致したユーザーとマッチングします。

将来的には、画像のカテゴリーをユーザーの特定のインタラクションと対応させることで、ユーザーに合わせた画像をWebページに表示できるようになるでしょう。それによって、Webサイトはもっともパーソナライズされたビジュアル体験を提供できるはずです。

Adobe Sensei

Adobeは、デザインに焦点を置いたSenseiというAIアシスタントを開発しています。このアシスタントは、Webページにもっとも適したレイアウトや色、画像やそのサイズを推奨します。また、Webサイトのカテゴリーや機能に合わせて機械学習し、それに基づいてサジェストを提供します。

加えてこのAIは、トリミングなどの細かい写真編集や画像認識技術といった、特定のプロセスやタスクを自動化します。自動化はデザインを考慮する作業のみにとどまりません。レコメンドを自動化し、アシスタントが含めるべき要素を提案することで、クライアントのデータベース(CMS)内のメタデータや写真すべてを最適化することができるのです。

人の能力を拡張したデザイン」と宣伝されているSenseiは、インターフェイス全体を再考し、複雑なUIやUXの意思決定をするわけではありません。そうではなく、ユーザーのセグメントに応じて、どのページにどのような写真やテキストを配置するべきか素早く判断する手助けをするのです。

このプラットフォームによって、企業はカスタマイズされたコンテンツを作れるようになるため、コンテンツのばらつきや画像の選別といった制作上の障壁を乗り越えやすくなるでしょう。こうした機能はすべて最高のユーザー体験を提供することを目的としています。

AIとパーソナライズ

消費者の周りはかつてないほど情報に溢れています。ユーザーにWebサイトに興味を持ってもらいたいなら、あるいはプロダクトやサービスを購入してもらいたいなら、ユーザーのニーズを予測し、嗜好に合わせてパーソナライズされたWebデザインを提供できるようにならなければなりません。

予測技術

見出しのとおり、AIはユーザーのページ訪問や商品選択、Webサイトでのインタラクションから集められたデータをもとに消費者行動を分析することで、未来の行動を予測します。つまり、このAIは過去のインタラクションを用いてユーザーに好みの目的地や商品などを推奨するのです。

AIは購買履歴を識別して未来の購買パターンを予測することもできます。これによって企業はユーザーのニーズを予測できるため、購買をうながすもっとも簡単な方法を見つけやすくなります。予測が正確であるほど、企業はより多くのインサイトを引き出し、より優れたユーザー体験を提供することができるでしょう。

将来的にAIの予測技術は、Webデザインをユーザーに合わせてカスタマイズするのに役立つでしょう。色、画像の表示サイズ、クリエイティブなWebページのアセットの形、好きなフォントなどを予測して、それぞれの訪問者に対応したWebサイトを作る助けになるはずです。

セマンティック検索

検索バーは、標準的なナビゲーションよりも関連した結果を得られるので、あらゆるWebサイトに適した機能です。検索バーを使う人々は、目的をもって情報を収集したりショッピングしたりしています。単にWebサイトを閲覧しているだけではなく、自分の欲しいものを知っているのです。

訪問者がユーザーフレンドリーな検索を体験することで、彼らの満足度は上がり、リピーターが増える可能性は大きく広がります。セマンティック検索は検索の精度が高いため、ユーザーの意図やコンテキストをより深く理解することを通して、ユーザーの満足度を上げることができます。

多くの大企業は、Web検索技術に投資する価値を見出しています。たとえば、EtsyはBlackbird Technologiesに投資しました。この会社は機械学習によるユーザーの行動分析を専門としています。また、このような事例の筆頭であるGoogleは、インタラクティブにクエリを埋めるテンプレートが膨大な質問にリアルタイムで答える技術を開発しています。どちらの技術もユーザーの検索意図を最適化することで、より自然で正確なユーザー体験を目指しています。

これらの技術は大量の消費者の意見やレビューを分析するために、自然言語処理や機械学習を利用しています。AIは消費者のコメントからインサイトを見つけて、小売業者が検索結果ではなく消費者の検索意図を満たす最適な製品を特定し、配置する手助けができるのです。

コンテンツとレイアウト

将来、AIは個々人に完璧に相応したWebサイトを増やすことができるかもしれません。レコメンド機能やサジェスト機能などに特化するのではなく、ユーザーがWebサイトを訪れたらすぐに興味のあるコンテンツを表示できるようになるでしょう。

機械学習では、すでにユーザー体験のカスタマイズに利用するデータを、コンピュータやアプリが学習できるようになっています。その結果、ユーザーは探しものをする時間が減り、興味のあるものにより多くの時間を割けるようになりました。たとえば、ランディングぺージに着いたら、すでにAIによってユーザーの興味に合わせた記事やブログ、ユーザーの職種や業界に特化したコンテンツが表示されているでしょう。

このような仕組みはWebサイトのレイアウトにも応用されています。アダプティブなUIで機械学習を駆使することで、ユーザーがWebサイトの閲覧に利用しているデバイスやオペレーティングシステム、プラットフォームを認識し、そのプラットフォームで最高の体験ができるよう適宜調整することができます。

加えてこの技術は、最善のユーザー体験を構成するWebサイトの特定の部分にも適用できます。この技術を利用している会社の好例として、Netflixの「~をご覧になったあなたへ」というサジェスト機能が挙げられます。この機能では、「『X』をご覧になったあなたへ『Y』をおすすめします」というように、視聴者に推奨していることが明確に示されています。したがって、サジェストした番組により多くの視聴者を呼び込むことができるのです。

Netflixはコンテンツをパーソナライズするだけでなく、個々のユーザーに適切に表示することでユーザーの注意を向けられることを理解しています。番組のサムネイルが複数パターン用意されているのもこのためです。あるサムネイルは、ほかの画面よりも特定のユーザーを引き付けるのに有効かもしれません。アダプティブなUIを利用することで、Netflixはユーザーやセッション、使用しているデバイスに応じてトップページのレイアウトも変化させ、より多くの視聴者を集めています。

機械学習アルゴリズムのアウトプットをより自由に操作できるようになれば、ユーザーは自分たちにとって自然で理解しやすい方法でアウトプットを選択、分類し、整理し直すことができます。これによって、より良いユーザー体験のためにレイアウトを変更したり、レコメンドを提供したり、コンテンツをパーソナライズしたりするときに、アルゴリズムはより正確な情報を使えるでしょう。

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このように、画像に描かれている状況を分析し、それをユーザーの興味とマッチングさせたり、ユーザーの行動を予想したり、アダプティブなUIでレイアウトやコンテンツを修正したりすることを通して、AIはユーザー体験を飛躍的に改善しているのです。


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