ヤフーは9月9日、「Yahoo! JAPAN ID」ユーザーの行動などを分析し、信用度を数値化するサービス「Yahoo!スコア」の仕様を10月1日に変更すると発表した。従来はスコアの算出・利用をデフォルトで「オン」にしていたが、10月1日以降は「オフ」とし、ユーザーが同意しない限り算出しない。9月30日以前に算出したスコアのうち、パートナー企業へのスコア提供に同意していないユーザーのものは全て削除する。
ヤフーは仕様変更について「お客さまや有識者からのご意見・ご指摘、さらにプライバシーに関する社会情勢も踏まえた」と説明している。
Yahoo!スコアは6月ごろ始まったサービス。「ヤフオク!」の取引実績、「Yahoo!知恵袋」での活躍度、宿泊・飲食店の予約キャンセル率、Yahoo!ショッピングなどの利用金額――といったYahoo! JAPAN IDにひもづくデータを分析し、ユーザーの信用度をスコア化する仕組みで、7月からはスコアをパートナー企業(ランサーズ、OpenStreet、TableCheck、クラウドワークス)に提供していた。
スコアの提供は提携先のパートナー企業ごとにユーザーの同意を必要としていたが、スコア自体はデフォルトで算出する仕様だった。
デフォルトでの作成についてヤフーは当初、「利用規約とプライバシーポリシーに基づいて作成している」としていたが、ユーザーからは「スコア作成については明確に同意していない」など批判の声が挙がっていた。
【訂正履歴:2019年9月9日午後3時30分 従来のスコアの算出と提供方法について記述をあらためました】
ヤフーは当初、批判に対して「利用規約とプライバシーポリシーに基づいて(スコアを)作成している」とコメントしていたが、8月に「プライバシーに関する有識者会議」を設置し、サービスの正当性を客観的な立場から検証したという。
同会議では、東京大学の宍戸常寿教授を座長とし、情報法制研究所(JILIS)の鈴木正朝理事長や、海賊版サイトのブロッキング議論で反対意見を貫いた森亮二弁護士などが、ヤフーのプライバシーポリシー改定やスコアについてヤフー経営陣と議論した。
その結果、ヤフーは(1)Yahoo!スコアの作成をデフォルトでオフにする、(2)パートナー企業への提供に同意しているユーザーのスコアのみ、各社への提供を継続する、(3)パートナー企業への提供に同意していないユーザーのスコアは、9月30日以前の作成分を消去する──という方針転換が最適だと判断したという。
また、Yahoo!スコアだけでなく、10月1日からプライバシーポリシーを改定することも決めた。
社名を「Zホールディングス」に変更し、持株会社制へ移行することに伴った施策といい、ヤフーは「ユーザー体験の向上を目的としてグループ企業へのデータ連携を順次開始する」(同社)とした上で、「初期設定ではデータが連携されない仕様とし、お客さまが企業単位で連携を自由に設定できる機能を提供する」としている。
連携するデータと連携しないデータの例は以下の通り。住所や氏名といった直接的に個人を識別できる情報や、連絡先、金融関連情報、人種や病歴・犯罪歴といった配慮を要する情報などは特別に同意がない限り連携しないとしている。
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