米金融サービス大手、4.8兆円で決済会社を買収
【ニューヨーク=関根沙羅】米金融サービス大手、フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)は18日、決済サービス大手のワールドペイを買収すると発表した。負債を含めた買収総額は430億ドル(約4兆8000億円)。世界で成長が見込まれる電子商取引(EC)やオンライン決済の分野で、買収による規模の拡大をめざす。
買収は現金と株式交換を組み合わせ、2019年下半期の完了を見込む。両社を合算した18年度の売上高は約123億ドル、本業の稼ぐ力を示すEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は約49億ドル。
FISは小売りや金融機関向けに、決済や資産管理のソフトウエアなどを提供する金融サービス大手。ワールドペイはクレジットカードやオンライン決済の分野が強く、米国や英国を中心に世界146カ国に展開する。126の通貨に対応し、年間で400億件以上の取扱件数がある。
FISはワールドペイの買収により、EC決済の分野でシェアの拡大を狙う。FISのゲイリー・ノルクロス最高経営責任者(CEO)は声明で「急速に変化する我々の産業では、規模(の追求)が重要だ」と狙いを強調した。
ワールドペイは17年に米決済サービス大手のバンティブに約100億ドルで買収された。その後もワールドペイの社名を残して事業を続けていたが、今回、さらに巨額の資金を投じるFISの傘下に入ることになった。
世界的なスマートフォン(スマホ)の普及を背景に、電子商取引やオンライン決済は金融の成長領域になっている。今年1月には金融のデータ処理を手がけるファイサーブが、電子決済大手ファーストデータを約390億ドルで買収すると発表。決済大手のペイパルも昨年、小規模事業者向けの決済サービスを提供するスウェーデンのアイゼトルを買収している。