Googleは11月12日、ローカル キャンペーン(local campaigns)とそのプロダクトを拡大させた。これによって、Googleマップを使って経路を調べるユーザーに対して、プロモーション用のピンを表示させることができる。ユーザーがピンをクリックすると、経路にその場所を追加できるというものだ。
Google マップ(Google Maps)で広告を見るのは新しいことではない。だがGoogleは、実店舗を有する企業が、位置情報ベースのサービスを利用している人たちに自社の広告を出稿し、訪問を促すことを、これまで以上に簡単かつ効果的にしている。
Googleは11月12日、ローカル キャンペーン(local campaigns)とそのプロダクトを拡大させた。これによって、Google マップを使って経路を調べるユーザーに対して、プロモーション用のピンを表示させることができる。ユーザーがピンをクリックすると、経路にその場所を追加できるというものだ。
Googleはまた、ローカルアクション(local actions)を拡大して、より幅広い企業で利用できるようにした。ユーザーが広告主の問い合わせ先に直接電話したり、簡単に道順を調べたりできるようになるという。
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これらの新機能はどれも、広告主の企業がGoogleから購入した広告のリーチを拡大する助けとなる。それによって人々が実店舗を訪れたり、特定のロケーションに来ることを促すことができるだろう。広告はマップだけでなく、検索、ディスカバー(Discover)、YouTube、ウェブサイト、その他のアプリにも適用される。
高まる位置情報の価値
Googleによる新しいローカル機能は、よりモバイル化が進む世界において、ロケーションベースの広告ターゲティングが垣間見せる可能性のいくつかを実現している。Google マップは15年前の公開以来、220カ国以上の地図を描き、世界中の1億5000万を超える企業や場所について情報、評価、レビューを掲載してきた。
過去10年だけでも、「ローカル(local)」「自分の近く(near me)」といった検索に対する興味は350倍に膨れ上がった、とGoogle広告グローバル・プロダクト部門ディレクターのキム・スポールディング氏はいう。
これに反応する形で、各地の企業はデジタル広告に投資を増やしている。BIA顧問サービス、ローカル広告予測(BIA Advisory Services Local Advertising Forecast)によると、米国におけるローカルビジネスのメディア支出は1488億ドル(約16兆円)に達するという。そしてその大部分はダイレクトメール(25%)、そしてローカルな動画(19.9%)に行くものの、モバイルは218億ドル(約2.3兆円)を占めており、これはローカルビジネスのメディア支出全体の14.6%になる。
ホリデーシーズンが近づき、いまは各地の企業にとって、モバイルで地元のユーザーたちに広告を行う絶好のタイミングだ。2019年のNPDグループホリデー購買意図調査(NPD Group 2019 Holiday Purchase Intentions Survey)によると、消費者の75%は、オンラインでショッピングをする計画があり、半分以上はホリデーの買い物は実店舗において行われるだろうとのことだ。また調査の結果、買い物客のうち25%はスマートフォンを使って買い物をする計画があるという。これは昨年の19%から増加している。
邪魔にならない広告機能
Google マップ、プロダクトマネージメントのディレクターであるオーレン・ナイム氏は、「ユーザーがアプリを使う目的の邪魔にならない方法で、ユーザー体験に良い物を付け足すようになること」について注意しながら広告機能を作りたかったという。
これらの新しい機能はすべて、各ユーザーがどれだけの情報をGoogleとシェアするかに依存している。彼らが関連のあるプロモーテッドピンを表示させるために使う情報は、IPアドレス、デバイスのロケーション、そして検索に使われた単語だ。ユーザーが、位置情報のトラッキングを許可すれば、Googleはリアルタイムで周辺のビジネスを表示することができ、またこれまでの位置情報の履歴に基づいた提案も出すことができる。
たとえば、ひとりのユーザーが黒いワークブーツを特定のサイズで検索したとする。すると周辺のリテーラーのうち。このブーツを販売するところが広告として表示されるかもしれない。
「まだ『初期段階』にある」
フォースクウェア(Foursquare)のプロダクト部門シニア・バイスプレジデントであり、Googleのパブリッシャー広告プラットフォーム郡の元グループ・プロダクトマネージャーであったジョッシュ・コーエン氏は過去数年のあいだに、位置情報をもとにした広告ターゲティングは大幅に進化したものの、まだ「『初期段階』にある」と述べた。
「文脈に即した、パーソナルなメッセージを作ることができれば、より広告は効果的になる。ロケーション情報はその点で非常に強力な駆動力となり得る」とコーエン氏はいう。ユーザーの現在位置と以前のロケーション履歴はどちらも「効果的な広告の強力な構成部分となる」とのこと。「ロケーションベースの文脈に沿った通知をどうやって使うか、非常に多くの可能性がまだまだ潜んでいる。ユーザーにとってもマーケターにとっても、まだ氷山の一角を見ているだけだ」と述べた。
コーエン氏はまた、ローカルなデジタル広告に結びつく客足のトラフィックを測るのはこれまで難しかった、と述べる。しかし、ユーザーが移動するA地点からB地点のあいだにあり、ユーザーの好み、もしくは目的に一致した店舗を見つけられる広告だけをロケーションベースのアプリやプラットフォームが提供すれば、そしてそれが成功すれば、「エンドユーザーに情報を提供する非常にパワフルなきっかけになり得るだけでなく、ユーザーたちは実店舗などロケーションへと足を運ぶことになるだろう」と語った。
Deanna Ting(原文 / 訳:塚本 紺)