評価額はSlack以上、買い物代行「Instacart」は何がすごいーー76億ドル評価、年商20億ドルのビジネスモデルを改めておさらいしよう

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Photo by Erik Scheel on Pexels.com

ピックアップ:Instacart is now valued at $7 billion via CNN

ニュースサマリ:買い物代行のInstacartが6億ドルの資金調達に成功した。10月16日に同社が公表した情報としてCNNが報じた内容によると、今回の調達ラウンドにおける同社の評価額は76億ドル。サンフランシスコ拠点のInstacartの創業は2012年。Costco, Walmart and Sam’s Clubなど300店舗が利用可能になっている。今年9月にはトロントにR&D部門を立ち上げた。

話題のポイント:国内でもお買い物代行を使われている方が増えているのではないでしょうか。Instacartはその先駆けとして2012年に登場したスタートアップで、今回評価額としてはおなじみSlack(71億ドル)やインドコマース大手Snapdeal(70億ドル)を上回る規模になりました。

Instacartはウェブやアプリから欲しい商品を選び、ピックアップの時間を設定して決済するとスタッフが代わりに買い物を済ませて届けてくれます。

  • 消費者が商品をオーダー
  • 同社のショッパー(スタッフ)に上記内容の通知が届く
  • ショッパーはオーダーによって指定されているスーパーにて買い物を済ませ、消費者に商品を届ける。ショッパーはコミッションか時給制の2つの給与モデルを選ぶ

スタッフは商品をローカルのWhole Foods(Amazonが買収)、Trader Joe’s、Safewayなど、日本でいうところの西友やイオンにあたる店舗で直接買ってきてくれます。

私も何度も使ったことがありますが、スタッフが買い物中にテキストや電話で「このブランドのサラミ売り切れだけど違うのでもいい?」などとリアルタイムに連絡してきてくれたりします。国内でも利用できるAmazonFreshが体験として近いですが、こういうフランクなコミュニケーションはInstacartならではですね。

ビジネスモデルは都度払い(5.99ドルから)と年額のサブスクリプション(149ドル)のデリバリーフィーとメーカーが商品の認知を拡大したい場合に使えるマークアップ(広告枠)が柱としてあります。

Forbesが昨年末に試算した記事によると、同社は50万以上の顧客を持ち、グロスの売上高は年間で約20億ドル。平均的な顧客は月に2度注文し、1回の注文額が95ドル。年間149ドルを支払っている優良顧客の平均は月に4回注文し、年間で約5000ドルを消費するそうです。なかなかよい数字ですね。

ちなみに競合だったアラバマ州拠点のShiptは2017年末に米国小売大手のTargetに5億5000万ドルで買収されています。実はそれ以外にもUber的なオンデマンド・デリバリー系サービスは結構な数出てきました。彼らが生き残った理由はどこにあるでしょうか?

その点について興味深い理由を指摘している記事がありました。「在庫管理」です。

注文を受けた在庫管理において他のスタートアップが失敗したのに対し、同社は既存の小売事業者とパートナーシップを結び、オンタイム(定時)にデリバリーすることのみにフォーカスをしていました。結果的に品質の高い配送が可能になりますから、パートナー店舗とも良好に付き合えたそうです。

WhatやWhyを持っているスタートアップは多けれど、Howを見つけられる起業家は一握り、という実例のようでもあります。

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