損失が増え続けるOYO、経営回復に焦るソフトバンク

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※本記事は提携するTech in Asia「Losses widen at Masayoshi Son-backed Oyo」の抄訳になります。

インドのホテル・チェーン「OYO」は、新規市場開拓による損失が増加し続けている。2019年3月に発表された年間決算によれば、OYOの純損失は昨年の5,200万米ドルから3億3,500万米ドルへと増加している。なお、収益は4.5倍の9億5,100万米ドルで、そのうち6億400万米ドルがインド国内における収益だとされている。

Photo credit: Oyo

同社によれば、収益に対する純損失の割合は、昨年の25%から今年は35%まで上昇したという。インド国内市場においての損失は5,000万米ドルから8,300万米ドルに上昇したが、収益との割合を見ると、24%から14%へ収縮していることが分かる。

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売上に占める純損失の割合が拡大していることがわかる
Source: Oyo

OYO は本件について、業績発表の際に以下のようにコメントを残した。

この純損失率の増加は、人材獲得・市場参入・運用経費など、新しい市場を開拓するための初期コストによるもので、短期的だと考えられます。

現在の投資家の懸念は、WeWork のデジャブが Oyo で起こるか否か、という部分にある。米国のコワーキング・スペース企業WeWorkは、投資家らによって懸念された経営上の複数の要因によって上場廃止を余儀なくされたソフトバンクの投資先の一企業である。同社は株式を10億米ドルの評価額で販売することに悪戦苦闘し、結果的にソフトバンクは収益性を勘案した方向転換を余儀なくされることになった。

OYO は現在、事業の持続可能性を維持すべく再建に取り掛かっている。1月には、中国で600人、インド国内で1,200人の従業員の解雇を連続で実施し、その数日後には、アメリカの従業員を360人の首を切っている。さらに日本では、ヤフーが、アパートレンタルサービスを提供するOYOとの合弁会社「OYO LIFE」の共同運営から突如撤退し、OYO がヤフーから株式を買い取る形で分離が行われた。

以上のような積み重なる損失及びネガティブなニュースにも関わらず、OYO は昨年11月、アメリカとヨーロッパにおけるサービス拡大を見越して、孫正義氏率いるソフトバンクとRA Hospitality から合計で15億米ドルの資金調達を実施している。なお、本調達により同社の評価額は100億米ドルにまで達している。

収益化に向けて

また OYO のインド・南アジア地域担当チーフエグゼクティブ Rohit Kapoor 氏は、以下のようにコメントしている。

もちろん、我々は収益の成長にフォーカスしています。我々が取り組んでいることには全て大きな意味が存在しています。

同社によれば、インド市場は同社の全体収益の64%を占めており、また、同市場での収益はおよそ3倍近く増加しているといいます。粗利は昨年の10.6%から14.7%にまで上昇している。また東南アジア市場においてもビジネスは好調だといい、同社は既に、インドネシアやマレーシアの30以上の地域において、10万以上の部屋の提供を実施している。

苦戦する海外展開

ただ、それ以外の市場では未だ悪戦苦闘が続いている。2019年、全体収益の36.5%を占める海外市場でのビジネスは、同時に全体損失の75%を占めている。インドや中国以外にも、OYO は現在アメリカやヨーロッパ、イギリス、中東、日本などを含む80ヶ国800都市においてサービスを展開している。

それでも、OYO は収益化に向けて非常に楽観的に捉えており、これまでインドで成功させてきたマネタイズの原理・仕組みが、新規参入マーケットにも通用すると自信を持っている。コロナウイルスの影響は未だ図りかねるが、例えば OYO は中国市場で高いドミナンスを獲得しており、損失も少ないという。

また、Kapoor 氏によれば、同社はキャンセルを除外した収益から利益を換算するという、ホテル業界では一般的な方法から脱却したとしており、そのため今年初め及び最新の決算における数値では、より正確な算出方法を採用しているということだ。

【via Tech in Asia】 @techinasia

【原文】

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