eBay、セラーサミット開催。Shopify連携など2019年の取り組みやアワード受賞者発表

左から
イーベイ・ジャパン株式会社 代表取締役社長 佐藤丈彦氏
シュッピン株式会社、小野氏
FTF株式会社 片桐氏、武井氏
株式会社デファクトスタンダート 間谷氏
株式会社ティンパンアレイ 桜庭氏、有竹氏、細川氏
シュッピン株式会社 黄氏

2月4日、イーベイ・ジャパン株式会社(以下、イーベイ・ジャパン)は日本で3回目となる「eBay Japan Seller Summit 2019 」を開催。Shopifyとの連携など2019年の新たな取り組みについて発表がなされた。

また、サミットの後半では2018年度にめざましい活躍で優秀な成績をあげた日本のセラーを表彰する「セラー・オブ・ザ・イヤー」の受賞者発表、及び表彰式が行われた。

越境EC業界とeBayの2018年を振り返る

越境EC業界とeBayの2018年を振り返る

まずはじめにイーベイ・ジャパン株式会社 代表取締役社長の佐藤 丈彦氏より、2018年の振り返りと2019年の意気込みが語られた。

越境EC全体の振り返りとしては、日本の越境EC市場は国内のBtoC市場と比較するとまだまだ小さいものの、成長率は約21.7%と国内市場に比べても伸び率は良い。また、日本では越境ECの利用率が6%に止まっているが、それに対しては「まだまだ越境ECが伸びる証拠」だと佐藤氏は語る。

次に国別の成長率を見ていくと、米国・英国・ドイツ・タイ・台湾が並んだが、インバウンドの数値も伸びているタイや台湾の成長が著しく見られるとのこと。

各国のバイヤートレンドとしては、米国では今年40周年を迎えたガンダムのプラモデルなどの玩具、英国ではメンズアパレルの他、ボクシング用の商品など特徴的な商品の動きも見られた。

ドイツではアニメ関連商品のほか、ホビー&クラフト系商品の動きもよく見られたという。また成長率が高いタイでは楽器やエンタメ商品、台湾ではエフェクターなどの商品の動きがよく見られたそうだ。

次にイーベイ・ジャパンの取り組みについて振り返ると、eBay全体での取引高は約10.6兆円、出品数は12億商品にのぼった。また、1年のうち1度でも動きのあったアクティブユーザー数は1.79億人となった。

実施した施策としては一つ目に、2018年はグローバルプログラムを利用しさらなるバイヤーの拡大施策を実施。具体的には偽物ではないことを保証するプログラム『eBay Authenticate』の取り組みについて語られた。現在はハンドバッグと時計のみが対象となっているが、今後は商材カテゴリーを拡大し、日本セラーが越境ECにさらに参加しやすい仕組みを作っていくという。

二つ目は海外インフルエンサーとの取り組みによるファン拡大だ。まだまだ海外から購入されることに対して不安を抱えているセラーに対して、海外のインフルエンサーの言葉を借りることで、安全性などを伝えてきた。2019年も引き続き実施予定だ。

3つ目は株式会社サンリオとの取り組みだ。おもちゃ業界は日本で有数の古い業界であるとし、今後もそういった業界・業態と組むことで、越境ECに関する取り組みを理解してもらい、販売やすい環境を整えていくという。

2019年に実施する6つの取り組み

2019年に実施する6つの取り組み

また、2019年で実施する6つの取り組みについても発表がなされた。

まず、1つ目に「カーフィットメントツール」を3月上旬に正式リリースすることが発表された。この「カーフィットメントツール」は2014年から2017年に販売された日本の車種に対応したデータを提供するもので、バイヤー目線で購入しやすい環境を作る。

2つ目は「セラーポータル」の機能拡張だ。ビジュアル化されたレポート。ダッシュボードやeラーニング・セミナー等のカスタマイズコンテンツを提供していく。こちらは6月下旬までにセラーポータルに実装予定だという。

3つ目は、プロモーテッド・リスティング及びWebInterpretだ。日本独自でのプロモーションを組みながら購入を促す。またWebInterpretでは多国展開をしていくことに慣れてもらうために無料枠を設けて提供している状況だが、まずはどの国に売れるのかを試す、テストマーケティングにも活用して欲しいと語られた。

4つ目には、Shopifyとの提携だ。越境ECでの成功セラーを輩出することを目的に提携が合意されたというが、正式な連携内容については明かされていない。しかし、こうした連携を行いながら、越境ECの環境を整えていくという。

また、最後には昨年事業買収を行ったQoo10についても触れられた。Qoo10のユーザー層はECの利用者層でもある10代〜30代の女性が利用者層であり、「マーケットプレイスの方は喉から手が出るほど欲しい層じゃないでしょうか」と語る佐藤氏。今後は越境ECだけでなく、日本のマーケットの中からも顧客を獲得したいセラー向けにeBayとQoo10を行き来したり、同時に出品できる仕組みなどを提供していくそうだ。

「今年の9月にはラグビーW杯がありますし、来年はオリンピック、2025年は大阪で万博が開催され、そのタイミングでは海外からのトラフィックが増えると思います。それを無駄にせず、我々には何ができるのかということを考えながら、取り組んでいきます。皆さんのご協力を得ながら、飛躍の年にしたい。」と発表を締めくくった。

また、講演ではフェイスブックジャパン 執行役員営業本部長 鈴木 大海氏やイーベイ・ジャパンのカテゴリーマネージメント部長 岡田 雅之氏、同社のグローバルカスタマーエクスペリエンス部長 ジェリー・カレン氏等が登壇し、これまでの実績や今後の展望が語られた。

栄えある「セラー・オブ・ザ・イヤー」はブランディア運営のデファクトスタンダードが受賞

栄えある「セラー・オブ・ザ・イヤー」はブランディア運営のデファクトスタンダードが受賞

セラーサミットの後半では全4部門のアワードを受賞したセラーの発表及び表彰が行われた。

2018年のeBayにおける販売実績等の総合的評価「セラー・オブ・ザ・イヤー」をネットに特化した買取サイト「Brandear(ブランディア)」を運営する株式会社デファクトスタンダードが受賞。同社のソリューション部 間谷 力氏は「今後はインフルエンサーを使って、商品の検索だけでなくショップ名検索からの売上も上げていきたい。」と意気込みを見せた。

続いて、アメリカ以外に販売した国・地域の売上が最も多かったセラーである「グローバル・セラー・アワード」は「フェースレコード」を運営するFTF株式会社が受賞。少なくとも50以上の地域に発送しているという同社の代表取締役 CEOの武井氏は「ファンが増えているのはeBayさんのおかげだと思うので、今後も連携をしていきたいと思います。」と語った。

そして、2018年に販売金額も多く、かつDEFECT Rateが低く、Positive Feedbackが多いセラー「バイヤー・エクスペリエンス・アワード」を受賞した「マップカメラ」を運営するシュッピン株式会社では実店舗も運営していることから次のように今後の展望を語った。「越境ECでより多く販売していくところに主眼があるが、それだけでなく海外の方が来店された際にカメラを購入する先として考えてもらえるようにしたい。」(グローバル戦略部の小野 新平氏)

最後に2018年に新しくeBayで販売を開始し、最も実績を上げた企業が選ばれる「ライジング・スター・オブ・ザ・イヤー」は「Ragtag」を運営する株式会社ティンパンアレイが受賞。eBay出店から1年程度であるが、WEB事業グループ 桜庭 邦洋氏は「2年後には売上を今の2倍にしたい。」と力強く語った。

90社130名ものセラーが集った「eBay Japan Seller Summit 2019 」は越境ECに対する希望に満ち、活気に溢れていた。日本国内では市場規模の縮小が懸念されていることもあり、海外へ目を向けるEC事業者は多いが、こう言った場所で情報を収集し、今後のビジネスに活かして欲しいと思う。